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ゴウキ・ファミリー
道化
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「あれは・・・ゴウキ!?」
スコットは大男の前に立ちはだかった男を知っていた。
最近では新聞に載ることもある王都ではかなりの有名人だが、メディアに取り上げられる前より凄腕の冒険者として憧れていた存在であった。
「ゴウキ・・・だよな・・・?」
しかしスコットの言葉が尻すぼみになる。
何故ならゴウキの恰好がスコットの知るそれを少しばかり違っていたからである。
「なんだありゃあ・・・」
スコット以外の周囲にいる人間も驚きを声を上げている。
何しろゴウキの服装は赤いスーツだったからだ。
貴族が着るにしても少々目立つその恰好で、庶民が使う街の酒場に現れれば異様に映るのは仕方がないことだった。
「ゴウキ・・・だ。それは間違いない・・・」
スコットはしっかりとゴウキの顔を見て確認する。
いつもおろしている髪型と違い、今はアップにしていて印象が違うが、それでも間違いなくゴウキである。
服装だけは似ているものを後であつらえたものだが、以前レジプスの夜会に参加したときと同じような恰好であった。
「なんだあ?道化師かてめぇは?」
酔った大男は、ゴウキのことを知らないようだ。
もっとも知っていても、今の姿を見てゴウキとすぐ結び付けられるのは親しくしているか、彼のことを強く意識していた人間くらいだろう。
「人がせっかくたまには違う所で飲んでみるかと立ち寄った店で、こんなバカ騒ぎを起こされちゃたまったもんじゃねぇんだよ・・・って苦情を言いに来た客さ」
ゴウキは不機嫌そうに大男の問いにそう答える。
(ちっ、スミレのやつが「契約してる店以外じゃあまりお節介を焼くな」とか言うから・・・)
ゴウキは大男が暴れているのを、最初は傍観していた。
ゴウキの名を出して巡回警備という仕事をしている以上、無暗に契約店以外を手助けするわけにはいかないとスミレが言ったからである。確かに契約店は金を払って安全を買っているので、ゴウキもこれには渋々であるが納得していた。
しかし、今この店では契約していた用心棒がノックアウトされている。
これ以上は大事になってしまうために、ゴウキも傍観し続けているわけには行かなくなった。
本当は極力こんなことはしたくなかった。それも目立つ格好をしているために。
だが、この目立つ格好もスミレがそうしろと強く言って来たからしているのである。
「これから極力、外ではそれ着ろよ」
「は、なんで?」
「いいからいいから」
何故唯々諾々と彼女の言いつけに従ってしまったのか。
ゴウキはこうして改めて注目されることで後悔していた。
(道化か。まさに道化だわ)
ゴウキが白目をむいてブルーになっていることには、誰も気づいていなかった。
スコットは大男の前に立ちはだかった男を知っていた。
最近では新聞に載ることもある王都ではかなりの有名人だが、メディアに取り上げられる前より凄腕の冒険者として憧れていた存在であった。
「ゴウキ・・・だよな・・・?」
しかしスコットの言葉が尻すぼみになる。
何故ならゴウキの恰好がスコットの知るそれを少しばかり違っていたからである。
「なんだありゃあ・・・」
スコット以外の周囲にいる人間も驚きを声を上げている。
何しろゴウキの服装は赤いスーツだったからだ。
貴族が着るにしても少々目立つその恰好で、庶民が使う街の酒場に現れれば異様に映るのは仕方がないことだった。
「ゴウキ・・・だ。それは間違いない・・・」
スコットはしっかりとゴウキの顔を見て確認する。
いつもおろしている髪型と違い、今はアップにしていて印象が違うが、それでも間違いなくゴウキである。
服装だけは似ているものを後であつらえたものだが、以前レジプスの夜会に参加したときと同じような恰好であった。
「なんだあ?道化師かてめぇは?」
酔った大男は、ゴウキのことを知らないようだ。
もっとも知っていても、今の姿を見てゴウキとすぐ結び付けられるのは親しくしているか、彼のことを強く意識していた人間くらいだろう。
「人がせっかくたまには違う所で飲んでみるかと立ち寄った店で、こんなバカ騒ぎを起こされちゃたまったもんじゃねぇんだよ・・・って苦情を言いに来た客さ」
ゴウキは不機嫌そうに大男の問いにそう答える。
(ちっ、スミレのやつが「契約してる店以外じゃあまりお節介を焼くな」とか言うから・・・)
ゴウキは大男が暴れているのを、最初は傍観していた。
ゴウキの名を出して巡回警備という仕事をしている以上、無暗に契約店以外を手助けするわけにはいかないとスミレが言ったからである。確かに契約店は金を払って安全を買っているので、ゴウキもこれには渋々であるが納得していた。
しかし、今この店では契約していた用心棒がノックアウトされている。
これ以上は大事になってしまうために、ゴウキも傍観し続けているわけには行かなくなった。
本当は極力こんなことはしたくなかった。それも目立つ格好をしているために。
だが、この目立つ格好もスミレがそうしろと強く言って来たからしているのである。
「これから極力、外ではそれ着ろよ」
「は、なんで?」
「いいからいいから」
何故唯々諾々と彼女の言いつけに従ってしまったのか。
ゴウキはこうして改めて注目されることで後悔していた。
(道化か。まさに道化だわ)
ゴウキが白目をむいてブルーになっていることには、誰も気づいていなかった。
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