『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

勇者クレア達 その2

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「たっ・・・助けてくれーーっ!」


王都への帰路につくクレア達の馬車に、必死で叫ぶ男が向かって来た。


「何ごと!?」


クレアは異常を察知し、即座に御者に馬車を止めさせる。


「助けてくれ!ストーンゴーレムが出てきたんだ!!」


男は必死の形相で叫んだ。
ストーンゴーレムとはダンジョンにのみ生息する強力な魔物だが、稀にダンジョンからこそこそ抜け出て、今クレア達がいるような街道でうろうろしているところを発見されることもあった。

どうやら今回その稀なケースが発生したのだとクレアは理解する。街道の魔物よりもダンジョンのそれは強力なので、街道なんかで出没する魔物としか相対したことのない人間からすると圧倒的な恐怖を感じることだろう。
よく見ると男の手には折れた剣が握られていた。戦おうと思ったがまるで歯が立たなかったのだろう。ストーンゴーレムの表面は固いので、そこそこの得物でないと切ることは難しい。


「私に任せなさい!」


クレアは勇んで前に出た。
そして遠征先で買ったばかりのエクスカリバーを手に取り、鞘から引き抜いた。

まばゆい光沢、圧倒的なオーラ、不謹慎ではあるが、クレアは剣を引き抜いた瞬間に少しばかり高揚していた。
書物の中でしか確認していなかった伝説の剣を自分が手にし、そして今試し斬りをする機会が来たのである。


「来た!」


男を追いかけてきたのか、ストーンゴーレムがドスドスと足音を響かせながら現れる。
パーティーメンバー達はクレアの試し斬りの邪魔はすまいと、一歩下がって彼女の様子を見守っていた。


「行くわよっ!」


そう叫ぶと、一般人の目にも見えぬ速さで飛び込み、ストーンゴーレムを間合いに入れる。
いつもよりテンションも高く、クレアはエクスカリバーを振りかぶってストーンゴーレムに振りかぶった。
が・・・


バキィィィン


エクスカリバーの刀身はストーンゴーレムの表面を切り裂くことは出来ず、派手な音を立てて四散した。


「え・・・?」


呆気に取られたクレアは、ストーンゴーレムの反撃に反応することが出来なかった。


ズゥゥゥゥン


ストーンゴーレムの振り下ろす拳をもろに浴びたクレアは、かつてのリフトのように地面に頭から突き刺さった。滑稽にも足をばたつかせるが、中々抜けないのかしばらくそのままである。


「えっ・・・?あ、ま、まずい!」


傍観していた勇者パーティー達は、慌ててストーンゴーレム退治に乗り出す。


「あれ・・・あの人勇者クレアなんじゃ・・・?」


助けを求めに来た男と御者はその光景を前に呆然としていた。哀れクレアは大失態を見られてしまったのである。
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