『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

ミリアの闇

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リフトを帰した後、バークマン侯爵の元に一人の男がやってきた。


「お呼びにより参上しました」


恭しく礼をする男は、ローブに身を包んだ魔術師の風体をしている。
彼の名はロンダル。彼は世界的にも珍しい『精神魔法』の使い手である。精神魔法とは黒魔法とも白魔法とも分類されない『邪道』とされているジャンルの魔法である。相手の精神にのっとり、心を自在に操ってしまうという恐ろしい魔法だ。

精神魔法は基本的に人間と構造の違う魔物には効き辛いので、使われるとしたら人間相手なのだが、その用途によっては傾国の危機に陥ったり、社会の混乱の繋がるので使用そのものが現在は世界中で禁止されている。
平民とてこれを使えば王族に取り入ったり、貴族の社会を破壊することが出来てしまえるからだ。今では精神魔法に対する対策も講じられている上に、精神魔法の使い手を即座に処刑にするなど厳しい取り締まりを続けてきたこともあって精神魔法の使い手は昔ほど警戒されることがなくなってきた。というより存在を忘れ去られようとすらしていると言える。

だが、残念なことに精神魔法はその有用性故に需要が枯渇することはない。そして需要が高まれば、その使い手もどれだけ根絶やしにしようとしたところでひっそりと人知れず湧いてくる。
このロンダルという男は貴族のみを相手にして高額で依頼を受け、精神魔法を使って食いつないでいる闇の魔法使いであった。


「お孫さんに異変がありましたか?」


ロンダルがバークマン侯爵に問うと、彼はぶすっとした表情で頷いた。


「そうだ。また例の男のことを思い出したとしか思えん」


「ふむ、前と比べてスパンが短くなっていますね。旅の疲労か、それとも原因の男のことをお嬢さんが良く考えるようになってしまったか・・・」


顎に手を当て考える素振りを見せるロンダルに対し、侯爵は苛立たし気に制する。


「考えている暇などない。良いから早く処置をしてくれ。このままではミリアは結婚どころではない」


「もちろん、承知しております」


ロンダルはペコリと頭を下げると、侯爵の跡をついてミリアの部屋へと向かう。
ミリアの部屋の前では侯爵の妻であり、ミリアの祖母であるジェニファーが待っていた。


「どうだ?」


侯爵の問いに、ジェニファーは頷いてから答える。


「睡眠薬入りのお茶を飲ませてあります。そろそろ眠りについている頃でしょう」


「そうか」


侯爵はジェニファーの返答に満足すると、ミリアの部屋の扉を開けた。
ミリアはソファにもたれかかったまま眠りについていた。ジェニファーの言った通り、睡眠薬で眠ったようである。元々旅の疲れもあっただけに、ミリアは睡眠薬の効果が出るのが一瞬だったのか、飲みかけの紅茶のカップが床に落ちていた。


「それではさっさとやってくれ」


侯爵に促され、ロンダルは「かしこまりまして」と返事をしてからミリアの頭に手を伸ばし、そっと彼女の額に触れる。
精神魔術ロンダル・・・彼は侯爵の命令で、何年も前からミリアの精神操作を行っていた。もちろん、そんなことをされているなどとミリア本人が知るはずもない。
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