『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

リフトの歪み

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ミリアの施術が始まった頃、リフトは自宅であるアウナス邸へ帰り着いていた。


「ただいま戻りました」


リフトは父であり司教であるクリフ・アウナスの執務室へ赴き、帰宅の挨拶をした。
クリフは椅子に腰かけたまま、書類から目を離さずに


「うむ」


とだけ答える。
長旅から返ってきた息子に対して、彼が発した言葉はそれだけだった。
「疲れたか?」「休め」その程度の言葉すら発することはない。
あまりに息子に対して冷たい対応であったが、これは今に始まったことではない。


「・・・っ」


リフトは何か言葉を発しようと口を開こうとするが、クリフは書類をパラパラとめくりながら目を通し、全くリフトの方を見ようとしない。
これは「忙しいからもう下がれ」と言っているも同然のクリフの態度であることを、リフトはよく知っている。


「・・・それでは、これで失礼します」


到底親子らしい会話も出来なかったことにリフトは不満があったが、それでもこれ以上長居しても何かが変わるわけではない。むしろクリフが不機嫌になるだけだということが分かりきっているので、リフトは黙って部屋を後にした。

リフトの心の中を黒いものが渦巻いていく。
教団の司教であり、リフトが尊敬している父クリフは残念なことに息子リフトに全く興味を持っていなかった。
リフトには兄がいるが、兄はもっとクリフに気にかけてもらっており、今では教団の司祭となって教会を一つ任されている。


(どうして僕は気にかけてもらえないんだ?どこまで頑張れば僕は・・・)


リフトは自室に戻ると、深く溜め息をつく。
リフトには聖魔法と剣術の素質があった。
王国のために、平和のために聖騎士となって活躍し有名になればいつかは自分も見てくれるだろうと思い、リフトは勇者パーティーへ加入した。
だが、どれだけ王国で名を上げても、どれだけ困難な冒険を成し遂げても、クリフはリフトを見なかった。認めなかった。

リフトの『カリスマ』を持ってしても、クリフの心はピクリとも動いていない。リフトにはそれがはっきりとわかっていた。


(ミリアだってそうだ。これまでは能力が効いているかのように従順だったのに、今は・・・)


リフトは常に父の心を欲していた。
だが今はそれどころか、これまで掴んでいたと思っていたミリアの心すら離れて行っているような、そんな気がリフトはしてならない。


(父どころか、ミリアにまで見放されるのか?)


普段はここまでマイナス思考ではないリフトも、長旅の疲れと本日のミリアとの衝突で不安定になっていた。
そしてリフトは疲れた思考力で、一つの結論を導き出していた。


(あぁ、そうだ・・・ミリアを惑わしているのはゴウキだっけ)


そうだゴウキ。
ゴウキが全てを狂わせている。
自分の元から全てを遠ざけようとしているゴウキ・・・やはり自分のパーティーに戻ってくるなどあってはならない。
リフトの思考は更に歪みだしていた。
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