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反逆
聖女と聖騎士
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カイとイリスが15歳になる頃、サンクレアの重鎮達は頭を悩ませていた。
この日も会議を開かれたが、かかる時間の割に中々内容は纏まらず、皆がうんざりしながら溜め息をついた。
会議の議題は「聖女と聖騎士の選定」である。
サンクレアでは4年に一度、聖女候補の中から聖女が、騎士の中から聖騎士が選定される。
聖女は聖なる力で魔を祓う対魔族用の人類の決戦兵器と言える存在。聖騎士はそんな聖女を護衛する騎士だ。
聖女はただ一人にのみ、自分の聖力を使ってその人間に適した剣・・・聖剣を作ることが出来、聖騎士はその聖剣を使って聖女を守りながら、ともに魔族を滅していくのである。
故に聖女と聖騎士でワンセット。一人の聖女からは一人の聖騎士しか選べない。
女神ラビスのお告げにより、4年に一度聖女と聖騎士を4組選定しなければならないことになっているが、あくまで新たなに選び直さねばならず、適任者がいないからと一度選ばれた者が再選することはできない。
毎回選定にはかなりの時間がかけられて選ばれるが、今回はこれまでの選定の中でも群を抜くほどに苦労した選定となっていた。
聖女、聖騎士、ともに最後の一人が決まらなかったのである。
・・・正確には結論は出かかっていたが、その結論を下す勇気が彼らに無かった。
「聖女候補・・・順当に行けば、実力、市民からの支持率、ともにダントルであるイリスが適任である」
「聖騎士は、同じく実力、支持率ともにカイが適任とくるか・・・」
「しかしあの二人は平民だからな・・・」
「だが時に平民からも出さねば、市井から不満も噴出してしまうだろう。特にイリスとカイの支持率はどういうわけか圧倒的だ」
順当にいけば聖女はイリス、聖騎士はカイが選定されるべきであった。
だが、この二人は平民だ。聖女聖騎士選定は多分に政治的な思惑が絡む事案だけに、二人も平民から選出してしまうことに皆大きな抵抗があった。
しかし皮肉なことに平民であるが故に人一倍努力を怠らなかった二人が実力では圧倒的だった。しかも飾らない態度など様々な要因で市井の人気が非常に高い状態となっている。
世間的には実力、人格、ともに全く申し分がないのである。問題があるのは一部の者が気にする家柄だけだ。どうしてもイリスとカイを弾けるだけの要因を持った適任者がおらず、重鎮達は悩みに悩んだ。
それに家柄だけで強引に理由をつけて実力の伴わない者を選んだところで、厳しい魔族との戦いで死ぬだけである。
時間をかけてばかりいるが、重ねて言うが結論は既に出ているのである。彼らにそれを下す勇気がないだけなのだ。
「・・・まったく、カイを見出したのはアドル騎士団長だったか?余計なことをしてくれた」
「見込みが良いので徹底的に仕込んだところ、思う以上に伸びてしまったらしい」
「聖騎士になれるまで育てるとは加減というものを知らんのか。平民なんぞをつけあがらせおって」
「イリスの方も似たようなものらしいな」
「空気を読んでもらいたいものだな・・・全く」
「仕方ありますまい・・・時には平民からも選ばねば、我々の求心力に関わってきますしね」
「やれやれ、仕方がないのか・・・」
渋々、本当に渋々だが、最後の枠の聖女と聖騎士はイリスとカイの二人が選ばれた。選ばざるを得なかった。
この日も会議を開かれたが、かかる時間の割に中々内容は纏まらず、皆がうんざりしながら溜め息をついた。
会議の議題は「聖女と聖騎士の選定」である。
サンクレアでは4年に一度、聖女候補の中から聖女が、騎士の中から聖騎士が選定される。
聖女は聖なる力で魔を祓う対魔族用の人類の決戦兵器と言える存在。聖騎士はそんな聖女を護衛する騎士だ。
聖女はただ一人にのみ、自分の聖力を使ってその人間に適した剣・・・聖剣を作ることが出来、聖騎士はその聖剣を使って聖女を守りながら、ともに魔族を滅していくのである。
故に聖女と聖騎士でワンセット。一人の聖女からは一人の聖騎士しか選べない。
女神ラビスのお告げにより、4年に一度聖女と聖騎士を4組選定しなければならないことになっているが、あくまで新たなに選び直さねばならず、適任者がいないからと一度選ばれた者が再選することはできない。
毎回選定にはかなりの時間がかけられて選ばれるが、今回はこれまでの選定の中でも群を抜くほどに苦労した選定となっていた。
聖女、聖騎士、ともに最後の一人が決まらなかったのである。
・・・正確には結論は出かかっていたが、その結論を下す勇気が彼らに無かった。
「聖女候補・・・順当に行けば、実力、市民からの支持率、ともにダントルであるイリスが適任である」
「聖騎士は、同じく実力、支持率ともにカイが適任とくるか・・・」
「しかしあの二人は平民だからな・・・」
「だが時に平民からも出さねば、市井から不満も噴出してしまうだろう。特にイリスとカイの支持率はどういうわけか圧倒的だ」
順当にいけば聖女はイリス、聖騎士はカイが選定されるべきであった。
だが、この二人は平民だ。聖女聖騎士選定は多分に政治的な思惑が絡む事案だけに、二人も平民から選出してしまうことに皆大きな抵抗があった。
しかし皮肉なことに平民であるが故に人一倍努力を怠らなかった二人が実力では圧倒的だった。しかも飾らない態度など様々な要因で市井の人気が非常に高い状態となっている。
世間的には実力、人格、ともに全く申し分がないのである。問題があるのは一部の者が気にする家柄だけだ。どうしてもイリスとカイを弾けるだけの要因を持った適任者がおらず、重鎮達は悩みに悩んだ。
それに家柄だけで強引に理由をつけて実力の伴わない者を選んだところで、厳しい魔族との戦いで死ぬだけである。
時間をかけてばかりいるが、重ねて言うが結論は既に出ているのである。彼らにそれを下す勇気がないだけなのだ。
「・・・まったく、カイを見出したのはアドル騎士団長だったか?余計なことをしてくれた」
「見込みが良いので徹底的に仕込んだところ、思う以上に伸びてしまったらしい」
「聖騎士になれるまで育てるとは加減というものを知らんのか。平民なんぞをつけあがらせおって」
「イリスの方も似たようなものらしいな」
「空気を読んでもらいたいものだな・・・全く」
「仕方ありますまい・・・時には平民からも選ばねば、我々の求心力に関わってきますしね」
「やれやれ、仕方がないのか・・・」
渋々、本当に渋々だが、最後の枠の聖女と聖騎士はイリスとカイの二人が選ばれた。選ばざるを得なかった。
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