聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

束の間の籠城

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サンクレア騎士団は接敵して間もなく総崩れとなり、結果として数千の兵を失うという甚大な被害を受けた。
ユーライ国王軍は深入りはせず追撃もそこそこのところで止めたため、被害は極めて軽微なところで終わる。
健在なユーライ国王軍と違い、サンクレア騎士団はボロボロで完敗も完敗であり、ジーミルは悔しさに顔を滲ませた。


「なんという体たらくだ!!」


勢いでついそう叫ぶが、ジーミルとて実際はわかっていた。相手の軍に元聖騎士のカイがいる可能性について失念していたのは自分もそうだった。それ故に不注意な作戦を立案し、結果として被害を甚大なものにしてしまった。もはや戦犯とも言えるほどの過失である。



「相手はどうしている?」


「正面にて堂々と陣を張っておりますが、それ以外に特に動きは見せていません」



進駐軍は一切の迎撃から一転、首都を封鎖して籠城していた。
対するユーライ国王軍は力押しで攻めてくることはなく、大胆にも目の前で陣を張り始めたのだ。


「何だあれは?挑発のつもりか?実に安い挑発だ」


敵が目の前で堂々と陣を張っている。屈辱的ではあるが、ここで迎撃の兵を出すわけにはいかない。聖騎士カイがいるとわかった以上、無駄に兵を投入しても裏目に出ると思っていた。
実際にはカイはこの日、既に到底戦力になりそうなほどの余力はなかったのだが、それをジーミルが知る由もない。それどころか、一瞬にして首都の防壁を破るだけの力を持っているのではないか・・・そう警戒すらしていた。


「何があってもこちらからは動くなと伝えろ!ユーライ各地からの援軍が集結すれば奴らなど数の力で押しつぶせる!!」


開戦にあたり、ジーミルは早馬を出し周辺の占領地へ援軍を要請していた。二日ほどで第一陣が、五日あれば全ての地からの援軍が来る予定で、そうすればカイがいかに強かろうが数で押しつぶせる・・・そう考えていたのだ。
ジーミル達はそれまで籠城して国王軍からの攻撃を防ぎ切れば良い・・・ユーライ国軍の兵力では籠城する進駐軍をどうこうすることはできないはず。そう、ただ耐えていれば良い、待っているだけで必ず勝利する。それだけのはずだった。


だが、そう考えるジーミルのところへ凶報が届いたのは、夜が明けてからのことだった。
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