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反逆
アドルの後悔
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「父上、どうなのですか?」
レイドは押し黙るアドルに対し、再度問う。
アドルは憎悪の視線をカイにぶつけるが、当のカイは口角を上げ、何てこともないとばかりに軽く受け流す。
「レイド・・・それは・・・」
違うのだ。
そう言おうとして、アドルはその先を口に出すことが出来なかった。
レイドは男児であり、アドルのような騎士になりたいと願ってはいるが、潜在的な力は母であるカトレアのそれを色濃く受け継いでいる。レイドの持つその力とは、人の心の表面を視ることが出来るというものだ。
ざっくり言えば、人の発言の「真」と「嘘」の見極めが出来るのである。
それなりに集中しないと能力の発動はしないために、普段無意識化ではそれを知ることはない。だが、レイドがその気になればどれだけ巧妙な嘘であろうとも、即座にそれを見破ることが出来るのである。
カトレアは聖女を目指すほどの聖魔法の使い手ではなかったが、レイドと同じこの能力を生まれつき持っていた。
それを打ち明けたのはアドルと婚姻を結ぶ直前・・・やましいことのある男ならここでカトレアとの婚約を破棄するのだろうが、アドルは快くそれを受け入れた。心にやましいところなど無かったからである。
以来、カトレアは自身の能力を受け入れてくれたアドルを信頼し、寄り添っていくことになる。
そしてアドルもカトレアに能力を使われても何ら後ろめたいことのないように生きてきた。それはカトレアの能力を受け継いだレイドに対してもそうだ。長年、そうやって生きてきた。
だからーーー
「父上、本当にイリスさんを殺したのですか?」
レイドに再度そう問われて、アドルはすぐに返事をすることが出来なかった。
(カイめ・・・まさか家族に話すとは・・・!)
アドルの中でカイに対する憎悪が膨れ上がる。
レイドを始めとして、アドルの家族は皆がカイとイリスに馴染んでいた。レイドからすれば実の兄弟と違わぬほどに二人に信頼を寄せていたのをアドルは知っている。
だから、アドルは家族にはカイとイリスが反逆を企てたことだけは話したが、封魔殿での出来事だけは伏せていた。
勝つための戦術であったとはいえ、弱り無防備だったイリスを殺した事は決して騎士として胸を張れる行為ではないと思ったからだ。特に息子たちはアドルを見て騎士に憧れている・・・だから余計にそこであったことは話せなかった。
それをまさかカイに利用されることになるなど考えてもいなかったアドルは、カイへの恨みと一緒に、深い後悔の念を抱いていた。
レイドは押し黙るアドルに対し、再度問う。
アドルは憎悪の視線をカイにぶつけるが、当のカイは口角を上げ、何てこともないとばかりに軽く受け流す。
「レイド・・・それは・・・」
違うのだ。
そう言おうとして、アドルはその先を口に出すことが出来なかった。
レイドは男児であり、アドルのような騎士になりたいと願ってはいるが、潜在的な力は母であるカトレアのそれを色濃く受け継いでいる。レイドの持つその力とは、人の心の表面を視ることが出来るというものだ。
ざっくり言えば、人の発言の「真」と「嘘」の見極めが出来るのである。
それなりに集中しないと能力の発動はしないために、普段無意識化ではそれを知ることはない。だが、レイドがその気になればどれだけ巧妙な嘘であろうとも、即座にそれを見破ることが出来るのである。
カトレアは聖女を目指すほどの聖魔法の使い手ではなかったが、レイドと同じこの能力を生まれつき持っていた。
それを打ち明けたのはアドルと婚姻を結ぶ直前・・・やましいことのある男ならここでカトレアとの婚約を破棄するのだろうが、アドルは快くそれを受け入れた。心にやましいところなど無かったからである。
以来、カトレアは自身の能力を受け入れてくれたアドルを信頼し、寄り添っていくことになる。
そしてアドルもカトレアに能力を使われても何ら後ろめたいことのないように生きてきた。それはカトレアの能力を受け継いだレイドに対してもそうだ。長年、そうやって生きてきた。
だからーーー
「父上、本当にイリスさんを殺したのですか?」
レイドに再度そう問われて、アドルはすぐに返事をすることが出来なかった。
(カイめ・・・まさか家族に話すとは・・・!)
アドルの中でカイに対する憎悪が膨れ上がる。
レイドを始めとして、アドルの家族は皆がカイとイリスに馴染んでいた。レイドからすれば実の兄弟と違わぬほどに二人に信頼を寄せていたのをアドルは知っている。
だから、アドルは家族にはカイとイリスが反逆を企てたことだけは話したが、封魔殿での出来事だけは伏せていた。
勝つための戦術であったとはいえ、弱り無防備だったイリスを殺した事は決して騎士として胸を張れる行為ではないと思ったからだ。特に息子たちはアドルを見て騎士に憧れている・・・だから余計にそこであったことは話せなかった。
それをまさかカイに利用されることになるなど考えてもいなかったアドルは、カイへの恨みと一緒に、深い後悔の念を抱いていた。
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