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勝手な者同士 ~ウラエヌス目線~
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「ワシは随分自分勝手じゃったな。悔いておるよ」
「あら、そんなことはありませんわ。私も結構自分勝手ですのよ」
「何をまさか・・・」
「教団の望むように、私は聖女として最近まで何十年と休まず励んできました。それこそ、家族を放置してまでもです」
「家族・・・?」
「私は娘を産みましたが、子育ては他人任せで、ただの一度もまともに母親として接したことはなく、ずっと教団のお役目を果たすことに徹してきました。今の今まで、です。子にしてみれば最低で自分勝手な親でしょう」
ワシはイライザの言葉に動揺した。
自分で捨てておいて勝手極まりないとは思うが、彼女が自分以外の男と結ばれていたという事実に複雑な気持ちになる。当然といえば当然であるし、こんなことを考えること自体がキモいし勝手すぎるのだが。
「それに、子を産んだことを貴方に一切報告しなかったのも私のエゴによるものです」
「・・・は?」
イライザの言葉が理解できない。なぜワシへの報告が必要なの・・・じゃ・・・ あれ、まさか・・・?
「アナタとの子なのですよ。その子は。あ、ちなみに名はレイラと名付けました」
イライザが悪戯っぽく笑った。とんでもないことを言いながら。
「はっ?はぁぁぁ?? まさかお主、あの時既に・・・!」
ワシが別れを告げていたあのとき、既にワシとの子を身籠っていたという。
ワシはこのときこれまでの人生で最大の衝撃を受けていた。
「レイラのことを告げると貴方は自分のしたいことを我慢して残ってしまう。だから、私は貴方に伏せておくことに決めました。まぁ私を捨てていくことへの当てつけも少しはありましたが」
「当たり前じゃ!どうして話してくれなかった!!」
ワシは激昂した。いや、怒れる立場にないことはわかっているが、それでも怒らずにはいられなかった。
「私は教団の指示に従いながら人を救うことを決めました。けど、貴方は自分で救う人を選んで救う道を選んだ。私には出来ない、決断できぬことを貴方はやると決めた。その貴方の行く末を、私はどうしても見てみたかったのです。何を為すのか、何を見せてくれるのか、それがどうしても」
「なっ・・・」
「そして、貴方はやり遂げましたわ。勇者バリーを助け、魔王を討伐するという快挙を。結果として貴方は私一人が教団で出来るより、遥かに多くの人を救ったのです。私の目に狂いは無かった。貴方はやはり素晴らしい方でした」
そう言って正面からワシの目を見つめてくるイライザの目は、若き日の彼女のそれと何も変わっていなかった。
ワシはイライザの元の離れてから俗世間に溺れ随分と変わってしまったと自覚しているが、しかしそんなワシのことをイライザは敬意を持ってくれている。
「私は私なりに貴方に負けまいと休まず教団で人の治療に当たってきました。我が子を放っておいてまで。貴方は自分に罪があるとお考えかもしれませんが、私も大概ですわ。自分の目的のために、何十年と大事にするべきものを蔑ろにしてきたのです。悔いがあるとすれば、貴方にレイラのことを告げ、普通の夫婦として生きていれば、どんな人生が歩めたか・・・それを知れずに果てることくらいでしょうか」
「・・・」
ワシの口からは何も言葉が出なかった。
「私も法術の使い過ぎで、もう余命があまりないことが自分でもわかっています。だから最後の最後まで勝手だけど、自分の好きなようにして終わりたいと思っているのです。貴方が処刑されるというのなら、私もそれを見届けた上で果てたいと。そう考えています」
「あら、そんなことはありませんわ。私も結構自分勝手ですのよ」
「何をまさか・・・」
「教団の望むように、私は聖女として最近まで何十年と休まず励んできました。それこそ、家族を放置してまでもです」
「家族・・・?」
「私は娘を産みましたが、子育ては他人任せで、ただの一度もまともに母親として接したことはなく、ずっと教団のお役目を果たすことに徹してきました。今の今まで、です。子にしてみれば最低で自分勝手な親でしょう」
ワシはイライザの言葉に動揺した。
自分で捨てておいて勝手極まりないとは思うが、彼女が自分以外の男と結ばれていたという事実に複雑な気持ちになる。当然といえば当然であるし、こんなことを考えること自体がキモいし勝手すぎるのだが。
「それに、子を産んだことを貴方に一切報告しなかったのも私のエゴによるものです」
「・・・は?」
イライザの言葉が理解できない。なぜワシへの報告が必要なの・・・じゃ・・・ あれ、まさか・・・?
「アナタとの子なのですよ。その子は。あ、ちなみに名はレイラと名付けました」
イライザが悪戯っぽく笑った。とんでもないことを言いながら。
「はっ?はぁぁぁ?? まさかお主、あの時既に・・・!」
ワシが別れを告げていたあのとき、既にワシとの子を身籠っていたという。
ワシはこのときこれまでの人生で最大の衝撃を受けていた。
「レイラのことを告げると貴方は自分のしたいことを我慢して残ってしまう。だから、私は貴方に伏せておくことに決めました。まぁ私を捨てていくことへの当てつけも少しはありましたが」
「当たり前じゃ!どうして話してくれなかった!!」
ワシは激昂した。いや、怒れる立場にないことはわかっているが、それでも怒らずにはいられなかった。
「私は教団の指示に従いながら人を救うことを決めました。けど、貴方は自分で救う人を選んで救う道を選んだ。私には出来ない、決断できぬことを貴方はやると決めた。その貴方の行く末を、私はどうしても見てみたかったのです。何を為すのか、何を見せてくれるのか、それがどうしても」
「なっ・・・」
「そして、貴方はやり遂げましたわ。勇者バリーを助け、魔王を討伐するという快挙を。結果として貴方は私一人が教団で出来るより、遥かに多くの人を救ったのです。私の目に狂いは無かった。貴方はやはり素晴らしい方でした」
そう言って正面からワシの目を見つめてくるイライザの目は、若き日の彼女のそれと何も変わっていなかった。
ワシはイライザの元の離れてから俗世間に溺れ随分と変わってしまったと自覚しているが、しかしそんなワシのことをイライザは敬意を持ってくれている。
「私は私なりに貴方に負けまいと休まず教団で人の治療に当たってきました。我が子を放っておいてまで。貴方は自分に罪があるとお考えかもしれませんが、私も大概ですわ。自分の目的のために、何十年と大事にするべきものを蔑ろにしてきたのです。悔いがあるとすれば、貴方にレイラのことを告げ、普通の夫婦として生きていれば、どんな人生が歩めたか・・・それを知れずに果てることくらいでしょうか」
「・・・」
ワシの口からは何も言葉が出なかった。
「私も法術の使い過ぎで、もう余命があまりないことが自分でもわかっています。だから最後の最後まで勝手だけど、自分の好きなようにして終わりたいと思っているのです。貴方が処刑されるというのなら、私もそれを見届けた上で果てたいと。そう考えています」
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