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3話 邂逅編
19 触ンな※
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上の口でも下の尻でも、火群は奥が好きだった。深く深くへと呑み込んで咥え込んで、そういうのが良い。
火群の身体はたぶん、どこか深い深い奥にぽっかりと虚が空いている。火群はそう思っている。
上だろうと下だろうと入る深さに打ち止めはある。それぐらいは火群にもわかっていて、それでもとにかくその虚を埋めたくて仕方がない。誰と身体を合わせようとどんな魔羅を呑み込もうと、稀に張型を飲まされようとその虚には切っ先も届かない。届かなくても、何もしないよりは随分と楽だった。
火群は生臭い口内の唾液を飲み下す。腹の底にどろどろが落ちていく。こんなものでは埋み火が燃え上がるには、この身の空虚にはあまりに遠い。
目を細めて炎の幻影を見る。からだの中が渇いている。
――もしもこの胎に、紅蓮を呑み込めたのであれば。
あの炎を閉じ込めた切っ先は、きっとこの虚に届くのだろう。そうして灼ける程の熱で火群という人間のうちがわを埋めてくれるに違いないのに。
表情を歪める刻からその向こうの紅蓮へと火群は視線を転じる。赤の鋼は月影に佇み、静かに密やかに火群を見下ろしていた。
ぞわわっと、背筋に震えが奔る。後孔がきゅうと疼いて食む感覚があって、火群は弓なりに撓っていた背を弾けるように丸めた。
「ぁ、ん……ぅ♡」
思わず伏せた顔の前に刻の雄が反り返っている。刻の話など聞かずそのまま後ろに突っ込んでやってもよかったが、ぴりぴりと甘い痺れが腰に奔ってすぐには動けそうにない。
紅蓮に見られているのを感じながら、火群は再度刻の一物を口内に招き入れた。ねっとりと舌で雁首を舐め回し、頬の内側の肉と挟むようにして呑み込んでいく。喉はお気に召さないらしいので咥え込めるのは幹の中ほどまでだ。可哀想な根元には指を滑らせ、散々あやした双珠ごとむにむにと揉んでやる。
「ん、ぐ♡ ふっ……ふ、っう♡♡」
「っ」
頭を上下させれば口内で唾液と刻の先走りが混ざり合い、空気を含んでぐっぽぐっぽと粘着質な音が響く。舌と唇で扱き、喉の手前まで含んだところで頬肉を使って吸い込めば刻の腰がびくんと跳ねた。
ちらりと見上げれば刻は眉間にぎゅうと皺を寄せている。その向こうではじいっと、紅蓮が火群を見下ろしている。
火群ははっと息を吐き、一度刻の雄から唇を離した。酷く粘った液体が口の端からどろりと零れ、刻の腿に落ちて滴る。何とはなしに垂れたものを舐め取って吸えば、伏せた火群の頭に刻の手が置かれた。
「あ゛?」
見上げても、刻は何も言わない。火群の頭頂部を触れたか触れないかの距離で、けれど間違いなく覆う手。先ほどのように掴んで引くでもなく進むでもなく、ただそのまま。刻は変わらず眉間に皺を寄せ顔を顰めている。突き入れるでもなく、引き剥がすのでもない。
であればこの手は何なのか。催促の証か。火群としてはもう口で吸うのは十分なのだが。ならば最後にと再び夜目にも赤く熟れた亀頭を口に含んだ。
今度は強く吸いながら頭を上下に、あるいは捻るように左右に振って、ぐっぽ、ぐぽ、ぐぢゅと、高く水音を響かせた。幹を垂れ流れる粘りを両手で掬い取り、そのまま肉棒を掴んで上下に擦りながら亀頭を吸っては緩めてを繰り返す。手の中で幹の薄い皮が上下して、血管の隆起が浮き沈みしていた。
硬く反り返った魔羅は火群の掌と唇に包まれて、時折ビクンと痙攣する。もう構わないだろうと亀頭をちゅうと吸い、火群はそっと唇を離した。ぬとりと伸びた粘りが糸になって、そして途切れる。
刻の手の感触はとうになく、自身の顔の半分を覆っている。隙間から見える刻の眉間にはきつく縦皺が刻まれていた。
「あは……♡ もォ、いいよな? あ?」
親指の腹でふぐりを押し上げながら人差し指と薬指で太く育った幹を挟む。根元からゆるゆると擦り上げる。指の背に雁首の段差を乗せて弾き、泣き濡れる亀頭を親指も使ってくちゅくちゅと指先で弄んでやった。先を絞るように三本の指で摘み、最後には人差し指でつるつるしたまるい先端を押し下げる。
ぐぐと、火群の指に逆らうような反り返った雄の抵抗が可笑しい。笑いながら内腿に触れるか触れないかまで魔羅を押し込んだ。最後にぱっと離せば解放された勢いでぶるんと撓り、先端で珠を結んでいた淫靡な雫が飛び散った。
顎に散った刻の淫水を手の甲で拭い、べろりと舐め取って火群は身を起こした。寝衣の帯を解いて刻の腿を跨ぐ。褌は最初から身につけていない。用意されていたが揚がり間にそのまま置いてきた。
不意に、刻の手が開けたばかりの寝衣の裾に潜り込む。
「ン……あ゛ぁ? ンだよ」
「……いや」
不審の目を向ければ刻自身も迷った様子で、それでも指だけは迷いなく火群の腰から尻へ、その狭間へと触れていく。熱く腫れぼったい後孔の縁を指先が擽り、かと思えば今度は前へと戻っていく。
湿った薄い茂みを撫で、そのままいつの間にか兆していたものへ。先走りに濡れた火群の陰茎を、刻の指の腹が撫でる。
「触ンな」
火群は眉間に皺を寄せ、鈍く進む刻の腕を払い退けた。
「もォ挿入ンだよ、さっさとしろ」
口で、だの、頭に触れる手だの、これだの、いい加減煩わしい。刻とするのは楽だが、もの言いたげな空気だけは邪魔だ。言わないのなら余計なことはせず黙って腰を振っていればいい。刻が何を言いたいのか、何を考えているのかわからない。どうしたいのかも、何も。
火群が刻へ、ならともかく、刻が火群の魔羅を擦る理由が見えない。火群の後ろの口は中に食みたいと緩んでは窄まって、そして腹の奥はとっくに疼いている。今日は昼から何本か咥え込んでいるし、最後に肉棒を収めてからは間もない。つまり拡げる必要もない。そもそも火群の身体は慣らさずとも少々引き攣る感覚がある程度で、およそいつであろうとも魔羅を呑み込むのに不都合はないのだ。
曖昧な視線も、触れ合いも、言葉も要らない。ただ火群の望むように奥まで突き入れて、満たしてくれればそれでいい。
火群の身体はたぶん、どこか深い深い奥にぽっかりと虚が空いている。火群はそう思っている。
上だろうと下だろうと入る深さに打ち止めはある。それぐらいは火群にもわかっていて、それでもとにかくその虚を埋めたくて仕方がない。誰と身体を合わせようとどんな魔羅を呑み込もうと、稀に張型を飲まされようとその虚には切っ先も届かない。届かなくても、何もしないよりは随分と楽だった。
火群は生臭い口内の唾液を飲み下す。腹の底にどろどろが落ちていく。こんなものでは埋み火が燃え上がるには、この身の空虚にはあまりに遠い。
目を細めて炎の幻影を見る。からだの中が渇いている。
――もしもこの胎に、紅蓮を呑み込めたのであれば。
あの炎を閉じ込めた切っ先は、きっとこの虚に届くのだろう。そうして灼ける程の熱で火群という人間のうちがわを埋めてくれるに違いないのに。
表情を歪める刻からその向こうの紅蓮へと火群は視線を転じる。赤の鋼は月影に佇み、静かに密やかに火群を見下ろしていた。
ぞわわっと、背筋に震えが奔る。後孔がきゅうと疼いて食む感覚があって、火群は弓なりに撓っていた背を弾けるように丸めた。
「ぁ、ん……ぅ♡」
思わず伏せた顔の前に刻の雄が反り返っている。刻の話など聞かずそのまま後ろに突っ込んでやってもよかったが、ぴりぴりと甘い痺れが腰に奔ってすぐには動けそうにない。
紅蓮に見られているのを感じながら、火群は再度刻の一物を口内に招き入れた。ねっとりと舌で雁首を舐め回し、頬の内側の肉と挟むようにして呑み込んでいく。喉はお気に召さないらしいので咥え込めるのは幹の中ほどまでだ。可哀想な根元には指を滑らせ、散々あやした双珠ごとむにむにと揉んでやる。
「ん、ぐ♡ ふっ……ふ、っう♡♡」
「っ」
頭を上下させれば口内で唾液と刻の先走りが混ざり合い、空気を含んでぐっぽぐっぽと粘着質な音が響く。舌と唇で扱き、喉の手前まで含んだところで頬肉を使って吸い込めば刻の腰がびくんと跳ねた。
ちらりと見上げれば刻は眉間にぎゅうと皺を寄せている。その向こうではじいっと、紅蓮が火群を見下ろしている。
火群ははっと息を吐き、一度刻の雄から唇を離した。酷く粘った液体が口の端からどろりと零れ、刻の腿に落ちて滴る。何とはなしに垂れたものを舐め取って吸えば、伏せた火群の頭に刻の手が置かれた。
「あ゛?」
見上げても、刻は何も言わない。火群の頭頂部を触れたか触れないかの距離で、けれど間違いなく覆う手。先ほどのように掴んで引くでもなく進むでもなく、ただそのまま。刻は変わらず眉間に皺を寄せ顔を顰めている。突き入れるでもなく、引き剥がすのでもない。
であればこの手は何なのか。催促の証か。火群としてはもう口で吸うのは十分なのだが。ならば最後にと再び夜目にも赤く熟れた亀頭を口に含んだ。
今度は強く吸いながら頭を上下に、あるいは捻るように左右に振って、ぐっぽ、ぐぽ、ぐぢゅと、高く水音を響かせた。幹を垂れ流れる粘りを両手で掬い取り、そのまま肉棒を掴んで上下に擦りながら亀頭を吸っては緩めてを繰り返す。手の中で幹の薄い皮が上下して、血管の隆起が浮き沈みしていた。
硬く反り返った魔羅は火群の掌と唇に包まれて、時折ビクンと痙攣する。もう構わないだろうと亀頭をちゅうと吸い、火群はそっと唇を離した。ぬとりと伸びた粘りが糸になって、そして途切れる。
刻の手の感触はとうになく、自身の顔の半分を覆っている。隙間から見える刻の眉間にはきつく縦皺が刻まれていた。
「あは……♡ もォ、いいよな? あ?」
親指の腹でふぐりを押し上げながら人差し指と薬指で太く育った幹を挟む。根元からゆるゆると擦り上げる。指の背に雁首の段差を乗せて弾き、泣き濡れる亀頭を親指も使ってくちゅくちゅと指先で弄んでやった。先を絞るように三本の指で摘み、最後には人差し指でつるつるしたまるい先端を押し下げる。
ぐぐと、火群の指に逆らうような反り返った雄の抵抗が可笑しい。笑いながら内腿に触れるか触れないかまで魔羅を押し込んだ。最後にぱっと離せば解放された勢いでぶるんと撓り、先端で珠を結んでいた淫靡な雫が飛び散った。
顎に散った刻の淫水を手の甲で拭い、べろりと舐め取って火群は身を起こした。寝衣の帯を解いて刻の腿を跨ぐ。褌は最初から身につけていない。用意されていたが揚がり間にそのまま置いてきた。
不意に、刻の手が開けたばかりの寝衣の裾に潜り込む。
「ン……あ゛ぁ? ンだよ」
「……いや」
不審の目を向ければ刻自身も迷った様子で、それでも指だけは迷いなく火群の腰から尻へ、その狭間へと触れていく。熱く腫れぼったい後孔の縁を指先が擽り、かと思えば今度は前へと戻っていく。
湿った薄い茂みを撫で、そのままいつの間にか兆していたものへ。先走りに濡れた火群の陰茎を、刻の指の腹が撫でる。
「触ンな」
火群は眉間に皺を寄せ、鈍く進む刻の腕を払い退けた。
「もォ挿入ンだよ、さっさとしろ」
口で、だの、頭に触れる手だの、これだの、いい加減煩わしい。刻とするのは楽だが、もの言いたげな空気だけは邪魔だ。言わないのなら余計なことはせず黙って腰を振っていればいい。刻が何を言いたいのか、何を考えているのかわからない。どうしたいのかも、何も。
火群が刻へ、ならともかく、刻が火群の魔羅を擦る理由が見えない。火群の後ろの口は中に食みたいと緩んでは窄まって、そして腹の奥はとっくに疼いている。今日は昼から何本か咥え込んでいるし、最後に肉棒を収めてからは間もない。つまり拡げる必要もない。そもそも火群の身体は慣らさずとも少々引き攣る感覚がある程度で、およそいつであろうとも魔羅を呑み込むのに不都合はないのだ。
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