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第10話「39℃」
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先輩は、俺に千円札2枚と紙切れ1枚を渡した。買ってきて欲しいものが書いてあるメモらしい。
「すぐ買ってきます!」
「そんなに急がなくていいよー。」
そう言う樹さんの目は虚ろだった。結構酷い風邪なのかもしれない。
「では、行ってきます。」
「うん。あ、優真くん、俺、あそこの寝室にいるね。ここ、寒い。」
「あっ、はい。」
俺は早速買い物に出かけた。メモには『体温計、風邪の人が飲むせいりょう飲料水、安くてあったかいブランケット、余ったお金で適当に食べるもの』と書いてあった。"清涼"が思い浮かばなかったのかな。かわいい。
買い物終了。
「ただいま戻りましたー。」
俺は、寝室の扉をノックした。
「入っていいよ。」
買い物に出たときよりも弱々しい樹さんの声が聞こえた。ドアを開け、中に入る。ベッドの中で寒そうに布団にくるまっていた。マスクは息苦しかったのだろうか、外している。
「おかえり。」
「ただいまです。樹さん、まず熱を測ってください。」
俺は買ったばかりの体温計を開けた。
「測ってー。」
樹さんは右手の挙げた。
「俺の手、冷たいですよ。」
「いいよ。」
俺は、樹さんの服に下から手を入れた。お腹の辺りが温かい。
「脇どこですか?」
「もうちょっと上……そこ。」
「はい。挟んでください。」
手ごと腕に挟まれた俺は、変な体勢のまま体温計のピピピを待った。
ピピピ ピピピ
「体温計、取りますよ。」
体温計の結果を見る。
「何度?」
「39度です。」
「結構高いね。」
「病院には行きましたか?」
「行きたくなーい。優真くんが来てくれたから治るよ。」
「何言ってるんですか。病院、行かなくていいんですか?」
「うん。行かない。」
頑なだなぁ……。
「何か食べますか?」
「ううん。喉乾いた。」
食欲は無いのかな……。
「飲み物は飲めそうですか?」
「うん。ちょーだい。」
先輩がゆっくりと起き上がる。俺は、ペットボトルを渡した。
「ん……開かない。開けて。」
樹さんは、俺にペットボトルを差し出した。俺の不安は募るばかりだ。
俺は、先輩の要望にお応えして、おかゆを作っていた。シンプルな昆布だしのおかゆだ。料理は苦手な方ではない。出来上がったおかゆを持って、再び寝室へ。
「いい匂いがする!」
樹さんは、ベッドに座っていた。
「優真くん、食べさせて。」
To be continued…
「すぐ買ってきます!」
「そんなに急がなくていいよー。」
そう言う樹さんの目は虚ろだった。結構酷い風邪なのかもしれない。
「では、行ってきます。」
「うん。あ、優真くん、俺、あそこの寝室にいるね。ここ、寒い。」
「あっ、はい。」
俺は早速買い物に出かけた。メモには『体温計、風邪の人が飲むせいりょう飲料水、安くてあったかいブランケット、余ったお金で適当に食べるもの』と書いてあった。"清涼"が思い浮かばなかったのかな。かわいい。
買い物終了。
「ただいま戻りましたー。」
俺は、寝室の扉をノックした。
「入っていいよ。」
買い物に出たときよりも弱々しい樹さんの声が聞こえた。ドアを開け、中に入る。ベッドの中で寒そうに布団にくるまっていた。マスクは息苦しかったのだろうか、外している。
「おかえり。」
「ただいまです。樹さん、まず熱を測ってください。」
俺は買ったばかりの体温計を開けた。
「測ってー。」
樹さんは右手の挙げた。
「俺の手、冷たいですよ。」
「いいよ。」
俺は、樹さんの服に下から手を入れた。お腹の辺りが温かい。
「脇どこですか?」
「もうちょっと上……そこ。」
「はい。挟んでください。」
手ごと腕に挟まれた俺は、変な体勢のまま体温計のピピピを待った。
ピピピ ピピピ
「体温計、取りますよ。」
体温計の結果を見る。
「何度?」
「39度です。」
「結構高いね。」
「病院には行きましたか?」
「行きたくなーい。優真くんが来てくれたから治るよ。」
「何言ってるんですか。病院、行かなくていいんですか?」
「うん。行かない。」
頑なだなぁ……。
「何か食べますか?」
「ううん。喉乾いた。」
食欲は無いのかな……。
「飲み物は飲めそうですか?」
「うん。ちょーだい。」
先輩がゆっくりと起き上がる。俺は、ペットボトルを渡した。
「ん……開かない。開けて。」
樹さんは、俺にペットボトルを差し出した。俺の不安は募るばかりだ。
俺は、先輩の要望にお応えして、おかゆを作っていた。シンプルな昆布だしのおかゆだ。料理は苦手な方ではない。出来上がったおかゆを持って、再び寝室へ。
「いい匂いがする!」
樹さんは、ベッドに座っていた。
「優真くん、食べさせて。」
To be continued…
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