瀬戸口家のペットは人外生物のすーちゃん

うかかなむらる

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48 外に出たい

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 結局、龍斗と叶矢は授業をがっつりサボり、終礼にだけ参加した。終礼後、担任の吉野先生に呼ばれる。
「島田くん、瀬戸口くん。5、6時間目はどこで何をしていたんですか?」
「えっと……。」
叶矢が口ごもっていると、龍斗が叶矢の手首を掴んで、こう言った。
「詳細は、島田先生に聞いてください。あ、理科の方の。すみません。さようなら。」
龍斗に引っ張られ、叶矢は先生を振り返ってペコペコしながら廊下を進んだ。
「早く帰って、スコルピーの目を覚ましてやれ。」
龍斗が左てのひらで叶矢の腰を叩いた。
「痛っ!」
「早く帰れ!」
「……ありがとうな、龍斗。」
「ふっ。似合わねぇぞ、そんなの。」
「うるせぇ。」
叶矢は後ろの棚に隠していた虫かごを補助バッグに詰めて、早足で家に帰った。

 午後5時。リビング。ソファに座り、虫かごからスコルピーを出す。
「虫かごなんかに入れててごめんな……。」
叶矢は濡れたハンカチでスコルピーの口元を拭いた。念のため、スコルピーを虫かごに戻す。真っ赤に染まったハンカチに目を落とした。
「……。」

ガチャ

「えっ。」
泉歌が帰ってきた。
「お、おかえり。部活は?」
「今日は休みました。……すーちゃんは。」
「……まだ起こしてない。」
泉歌は自分の部屋に荷物を置き、叶矢の隣に座った。
「……すー、起きて。」
叶矢が虫かごを叩く。
「すーちゃん……?」
しばらくして、スコルピーが目を覚ました。
「す、すーちゃん……!」
「おはよう、すー。」
スコルピーは、あたりを見渡して怪訝けげんな顔をし、自分の服を見て目を見開いた。
「……すー?」
びっくりして叶矢を見る。
「すー……?どうした?」
スコルピーは、虫かごの蓋を指差した。
「出たい?」
コクリと頷く。泉歌が蓋を開けると、スコルピーはみずから虫かごの外に出た。叶矢が手を伸ばすと、スコルピーはその手をかわした。
「……すー。こっちに来て。話さないといけないことがあるだろ?」
スコルピーは、叶矢の真剣な瞳と泉歌の心配そうな瞳をただ見つめた。
「すーちゃん。ゆっくりお話をしましょう?」
しかし、微動だにしない。
「どうした、ほんと。1回こっち来て。」
スコルピーは、テーブルの端まで逃げた。
「……龍斗は、怒ってないからさ……本当に。だから、こっちにおいでよ。」
スコルピーは、首を横に振って俯いた。
「……知らない。」
「な、何を。」
「……覚えて、ない。」
「今日の事ですか?」
スコルピーは、また首を横に振った。
「……全部。あなたたちの事、すー、知らない。」


To be continued…
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