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第2章
美凪side ② 後編 その④
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美凪side ② 後編 その④
お風呂から出た私は、隣人さんを呼んでドライヤーをかけて貰いました。
「隣人さん。今日もよろしくお願いします」
「了解だ。熱かったりしたら言えよ」
彼はそう言って、私の髪の毛にドライヤーを当てていきます。
ふふふ。二回目ですので、少しだけ慣れてきたような感じがしますね。
昨日より、ぎこちなさが無くなってきたように思えます。
とても……気持ちいいです……
「私……この時間が好きです」
「そうか……俺も、嫌いじゃない」
隣人さんはそう言ったあと、言葉を続けました。
「学校でも言ったけど、お前の髪の毛は本当に綺麗だな」
「…………あ、ありがとう……ございます……」
こ、これは……お風呂場で私が言った言葉に対しての返事ですね。
……私にはわかります。彼が私に対して少なくない好意を持ってることを。
両思いだってのもわかってます。
ですが、誕生日のときのあの反応を見ると、きっと隣人さんにはあと一歩を踏み出せない『理由』があるんだと思います。
どんな理由があるかは知りません。
ですが、私がやることは変わりません。
いっぱいいっぱいいっぱいいっぱい、彼にアプローチを掛けて、そんな理由なんか関係ないくらいに隣人さんをメロメロにしてやるんです!!
そして、隣人さんに髪を乾かしてもらった私は、彼にお礼を言いました。
「えへへ。ありがとうございます、隣人さん」
彼に乾かしてもらった髪の毛は、とてもサラサラです。
私は大満足です!!
「まぁ、俺もお前の髪の毛をこうして触れるのは幸せだ。ウィンウィンって奴だろ?」
ふふーん?やはり隣人さんも幸せだったんですね!!
ウィン・ウィンの関係なのは良い事です!!
そして、私たちは夕飯の支度をする為に台所へと向かいました。
隣人さんがカレーを温め直してる間に、私はサラダの準備をしていきます。
レタスをちぎった後に、きゅうりとトマトを包丁でカットしていきます。
カレーを食べるのでシーチキンは要らないかなと思ったので、野菜だけのサラダにしました。
サラダの準備を終えた私は、ボウルをテーブルに置いた後に炊飯器を開けました。
ブワッ!!と白い蒸気が立ち上りました。
隣人さんの水加減は完璧ですね。しっかりとお米が立ってます!!
「ご、はん!!ご、はん!!おーいしいごはん!!」
私はしゃもじで白米に空気を混ぜてほぐしていきます。
そして、白米の準備が出来たところでカレーの温め直しが終わりました。
私と隣人さんは、カレー用の深いお皿にご飯をよそった後に、たっぷりとカレーをかけます。
「わぁ!!とても良い匂いです!!もうお腹がやばいです!!」
「おかわりなら好きなだけ出来るからな。たくさん食え」
私のその言葉に、隣人さんが笑いながらそう答えました。
その時。私はSNSとかで有名な『あのシーン』が思い浮かんでしまいました。
なので、少しだけ苦笑いをしながら、
「お腹いっぱいになった所で毒ガス訓練とか無いですよね?」
なんて聞いてしまいました。
隣人さんはその言葉に、呆れたような表情をしながら
「そんなもんは無いから安心して食えよ」
と答えました。
あはは……ですよねぇ……
そして、私たちの目の前のテーブルにはカレーライスとサラダが並びました。
隣人さんの用意した付け合せの福神漬けとらっきょうもあります。
今日は辛いものを食べるので麦茶とコップを用意してありました。
「これはもう見ただけでわかります!!絶対に美味しいと思いますね!!」
「あはは。そうだな。腹も減ったし食べようか」
「それじゃあ。いただきます」
「いただきまーす!!」
私はそう言ったあと、カレーを一口食べました。
…………。
………………。
……………………。
これを、私が作ったんですよね。
美味しい……本当に美味しいです……
ほんの数日前までは何も出来なかった私が、彼のお陰でここまで出来るようになったんですね。
……美味しい以上に、私は嬉しい……
「うん。完璧だな。すごく美味しい」
彼の言葉が私の耳に入りました。
美味しいと……言ってくれました。
私はもう、我慢が出来ませんでした……
「…………ぅぅ」
「ど、どうした美凪!?か、辛かったか?」
私の様子に驚いた彼が、そう聞いてきました。
私は、彼に理由を話しました。
「……違います……美味しくて……感動して……涙が出てきました……」
「……美凪」
「……このカレーの下ごしらえは私がしたんだ。そう思うと、その想いもひとしおです」
「そうだな。これはもはや『美凪スペシャルカレー』と言っても過言では無いな」
『美凪スペシャルカレー』
もぅ……本当に、貴方は私が嬉しいと思う言葉を言ってくれますね……
私は彼に感謝を伝えました。
「えへへ。隣人さん。私に家事を教えてくれてありがとうございます」
私のその言葉に、彼は視線を外してカレーを口にしました。
そして、ぶっきらぼうに言葉を放ちました。
「まぁ……お前が家事を覚えれば俺も楽ができるからな」
もぅ……照れ屋なんですから!!
「もぅ……そういうことにしておいてあげますよ」
私はそんな隣人さんを可愛く思いながら、カレーを食べていきました。
そして、私と隣人さんはたっぷりとカレーを堪能しました。
私だけでなく、彼もおかわりをしていました。
三合炊いたのは正解でしたね。
明日の朝の分だけは残ってる。そんな感じでした。
「……もぅ、食えないな。腹いっぱいだ」
「そ、そうですね。ちょっと食べ過ぎちゃいました」
麦茶を飲みながら、隣人さんはお腹をさすっていました。
私もちょっと食べ過ぎちゃいましたね。
「明日はどうしますか?」
少しお腹が落ち着いてきた頃。私は彼に問い掛けました。
「ちょっと見たい映画があるんだよな」
「へぇ、そうなんですね。どんな映画なんですか?」
隣人さんの見たい映画。私気になります!!
「アニメ映画なんだけどな。『カラスの扉』って奴だな」
「あ、それ私も気になってたんですよ。それじゃあ明日は映画館へ行きましょう」
彼と一緒に映画館へ行く。
えへへ。何だかデートっぽいデートな感じがしますね!!
そんなことを思っていると、隣人さんは少しだけ真面目な表情をしたあと、椅子から立ち上がりました。
そして、棚の方へ身体を向けました。
「おや?どうしたんですか、隣人さん」
「いや。お前に渡したいものがあってな」
彼はそう言うと、私が届きもしないような場所。
棚の上から小さな箱を取って持ってきました。
「今日のデートの記念で買ったものだ。良かったら明日のデートの時に着けてきて欲しいかな」
え、え、え、え、ええええええええええええぇぇぇ!!!!!!!!!!!!????????
彼はそう言って、テーブルの上にその小箱を置きました。
「い、いつ買ったんですか……」
そ、そうですよ!!だって貴方は私とずっと一緒に居たじゃ無いですか!!
「お前が試着室で着替えをしてる時だよ。何を買うかは予め決めてたからな」
は、はぁ!!!???
「す、スマート過ぎませんか……っ!!」
私は隣人さんのあまりのスペックの高さに驚きが止まりません……
「まぁ、俺も男だからな。カッコつけたい時もあるよ」
そう言って隣人さんは苦笑いをしながら言葉を続けました。
「受け取ってくれないか、美凪」
も、もぅ……隣人さん……
こんなにして貰って、私はまだ何も、貴方に返せてないのに……
「……ありがとうございます。本当に……私ばかりが貴方から貰ってばかりで申し訳ないです……」
「何言ってんだよ。俺の方こそお前からはたくさん貰ってる。こんなんで返せてるとは思えないくらいにはな」
もぅ……カッコよすぎですよ……バカ……
私は、彼から貰ったプレゼントを抱きしめて、そう呟きました。
本当に……本当に……貴方って人は……
「何が入ってるかは部屋で確認してくれ。目の前で開けられるのは少しだけ恥ずかしいからな」
「あはは。そうですね。では、この後の楽しみにしておきます」
このサイズ感は『アクセサリー』だと思います。
初めてのデートでアクセサリーのプレゼント。
貴方は本当に『カッコつけたがり』ですね!!
私がそう言うと、彼は椅子から立ち上がりました。
「ちょっと食後の運動がてら外を歩いてくるよ」
「あ、それでしたら私もお供しますよ!!」
私もそう言って、彼に続きました。
「そうか。じゃあ一緒に夜の散歩を楽しもうか」
「はい!!」
こうして、私と彼は夜の散歩へと向かいました。
「四月の夜はやはり少し肌寒いですね」
「そうだな。でも俺としてはこのくらいの方が過ごしやすくて好きだな」
夜。私と隣人さんは二人で外に出ました。
少しだけ肌寒いと感じましたが、彼と手を繋いでいるので、心はとても温かいです。
「今日は本当に楽しかったです。ありがとうございます、隣人さん」
私がそう言うと、隣人さんは優しく微笑みながら言葉を返してくれました。
「俺も楽しかったよ。明日も一緒に楽しもうな、美凪」
「はい!!」
そんな話をしていると、小さな公園が見えてきました。
「へぇ、こんな所に公園があったんだな」
「隣人さん!!私ちょっとブランコを漕いでみたいです!!」
少しだけ童心を取り戻した私は、公園の中を進みます。
「勢いよく乗って、ブランコをぶっ壊すなよ?」
「な、なんてことを言うんですか!!そんなに重くありません!!」
し、失礼な事を言わないでください!!
ちょっとだけ不安になった私は、そっとブランコに乗りました。
だ、大丈夫です!!
私はゆっくりとブランコを漕ぎました。
「あはは!!これは楽しいです!!」
「……お前は本当に笑ってる姿が可愛いな」
ブランコを漕ぐ音で、隣人さんが何を言ったのかは聞こえませんでした。
そして、私はひとしきりブランコを楽しみました。
「楽しかったです!!」
ブランコから降りた私は隣人さんにそう言いました。
「あはは……それは良かったよ。ほら、そこの自販機でホットココアを買ったから、少し飲んでから行こうか」
「わぁ!!ありがとうございます!!」
私は彼から温かいココアを貰って、ベンチに座りました。
「うひぁ!!冷たいですね!!」
「だな。ちょっとびっくりしたよ」
ベンチの冷たさにびっくりした後、私と彼は缶のプルタブを開けて、ココアを飲みます。
「甘くて美味しいです」
「甘い物は別腹って気持ちがわかるよな」
「あはは……これはそう言うのとは違うと思いますけど」
「だよな」
なんて話をしながら、私は隣人さんと空を眺めます。
「『星』が綺麗ですね」
私は、彼にそういいました。
「『月』も綺麗だと思うぞ」
私の言葉に、彼はそう返してくれました。
…………はぁ。わかりましたよ。
…………待ちますよ、私。
でも、アプローチを掛けるのは辞めませんからね?
静かな夜。星空の下で、私と隣人さんは公園のベンチでココアを飲みました。
「帰りますか、隣人さん」
「そうだな、美凪」
空き缶をゴミ箱に捨て、私と彼はそう言って帰路に着きました。
しばらく歩くと、私たちのマンションに到着しました。
そして、私の持ってる合鍵で部屋の扉を開けました。
「ただいま」
「ただいまです!!」
『我が家』に帰ってきた私と隣人さんは洗面所で手洗いとうがいをしたあと、自分の部屋へと向かいました。
そろそろ寝ようと思いますからね。
「それでは、おやすみなさい。隣人さん」
「あぁ、おやすみ。美凪」
部屋の前でそう言って、私は彼に言葉を返します。
「今日はとても楽しかったです。本当にありがとうございます」
「俺も楽しかったよ。明日もよろしくな」
「はい!!こちらこそ!!」
こうして、私と彼が共に過ごす一日目が終わりました。
お風呂から出た私は、隣人さんを呼んでドライヤーをかけて貰いました。
「隣人さん。今日もよろしくお願いします」
「了解だ。熱かったりしたら言えよ」
彼はそう言って、私の髪の毛にドライヤーを当てていきます。
ふふふ。二回目ですので、少しだけ慣れてきたような感じがしますね。
昨日より、ぎこちなさが無くなってきたように思えます。
とても……気持ちいいです……
「私……この時間が好きです」
「そうか……俺も、嫌いじゃない」
隣人さんはそう言ったあと、言葉を続けました。
「学校でも言ったけど、お前の髪の毛は本当に綺麗だな」
「…………あ、ありがとう……ございます……」
こ、これは……お風呂場で私が言った言葉に対しての返事ですね。
……私にはわかります。彼が私に対して少なくない好意を持ってることを。
両思いだってのもわかってます。
ですが、誕生日のときのあの反応を見ると、きっと隣人さんにはあと一歩を踏み出せない『理由』があるんだと思います。
どんな理由があるかは知りません。
ですが、私がやることは変わりません。
いっぱいいっぱいいっぱいいっぱい、彼にアプローチを掛けて、そんな理由なんか関係ないくらいに隣人さんをメロメロにしてやるんです!!
そして、隣人さんに髪を乾かしてもらった私は、彼にお礼を言いました。
「えへへ。ありがとうございます、隣人さん」
彼に乾かしてもらった髪の毛は、とてもサラサラです。
私は大満足です!!
「まぁ、俺もお前の髪の毛をこうして触れるのは幸せだ。ウィンウィンって奴だろ?」
ふふーん?やはり隣人さんも幸せだったんですね!!
ウィン・ウィンの関係なのは良い事です!!
そして、私たちは夕飯の支度をする為に台所へと向かいました。
隣人さんがカレーを温め直してる間に、私はサラダの準備をしていきます。
レタスをちぎった後に、きゅうりとトマトを包丁でカットしていきます。
カレーを食べるのでシーチキンは要らないかなと思ったので、野菜だけのサラダにしました。
サラダの準備を終えた私は、ボウルをテーブルに置いた後に炊飯器を開けました。
ブワッ!!と白い蒸気が立ち上りました。
隣人さんの水加減は完璧ですね。しっかりとお米が立ってます!!
「ご、はん!!ご、はん!!おーいしいごはん!!」
私はしゃもじで白米に空気を混ぜてほぐしていきます。
そして、白米の準備が出来たところでカレーの温め直しが終わりました。
私と隣人さんは、カレー用の深いお皿にご飯をよそった後に、たっぷりとカレーをかけます。
「わぁ!!とても良い匂いです!!もうお腹がやばいです!!」
「おかわりなら好きなだけ出来るからな。たくさん食え」
私のその言葉に、隣人さんが笑いながらそう答えました。
その時。私はSNSとかで有名な『あのシーン』が思い浮かんでしまいました。
なので、少しだけ苦笑いをしながら、
「お腹いっぱいになった所で毒ガス訓練とか無いですよね?」
なんて聞いてしまいました。
隣人さんはその言葉に、呆れたような表情をしながら
「そんなもんは無いから安心して食えよ」
と答えました。
あはは……ですよねぇ……
そして、私たちの目の前のテーブルにはカレーライスとサラダが並びました。
隣人さんの用意した付け合せの福神漬けとらっきょうもあります。
今日は辛いものを食べるので麦茶とコップを用意してありました。
「これはもう見ただけでわかります!!絶対に美味しいと思いますね!!」
「あはは。そうだな。腹も減ったし食べようか」
「それじゃあ。いただきます」
「いただきまーす!!」
私はそう言ったあと、カレーを一口食べました。
…………。
………………。
……………………。
これを、私が作ったんですよね。
美味しい……本当に美味しいです……
ほんの数日前までは何も出来なかった私が、彼のお陰でここまで出来るようになったんですね。
……美味しい以上に、私は嬉しい……
「うん。完璧だな。すごく美味しい」
彼の言葉が私の耳に入りました。
美味しいと……言ってくれました。
私はもう、我慢が出来ませんでした……
「…………ぅぅ」
「ど、どうした美凪!?か、辛かったか?」
私の様子に驚いた彼が、そう聞いてきました。
私は、彼に理由を話しました。
「……違います……美味しくて……感動して……涙が出てきました……」
「……美凪」
「……このカレーの下ごしらえは私がしたんだ。そう思うと、その想いもひとしおです」
「そうだな。これはもはや『美凪スペシャルカレー』と言っても過言では無いな」
『美凪スペシャルカレー』
もぅ……本当に、貴方は私が嬉しいと思う言葉を言ってくれますね……
私は彼に感謝を伝えました。
「えへへ。隣人さん。私に家事を教えてくれてありがとうございます」
私のその言葉に、彼は視線を外してカレーを口にしました。
そして、ぶっきらぼうに言葉を放ちました。
「まぁ……お前が家事を覚えれば俺も楽ができるからな」
もぅ……照れ屋なんですから!!
「もぅ……そういうことにしておいてあげますよ」
私はそんな隣人さんを可愛く思いながら、カレーを食べていきました。
そして、私と隣人さんはたっぷりとカレーを堪能しました。
私だけでなく、彼もおかわりをしていました。
三合炊いたのは正解でしたね。
明日の朝の分だけは残ってる。そんな感じでした。
「……もぅ、食えないな。腹いっぱいだ」
「そ、そうですね。ちょっと食べ過ぎちゃいました」
麦茶を飲みながら、隣人さんはお腹をさすっていました。
私もちょっと食べ過ぎちゃいましたね。
「明日はどうしますか?」
少しお腹が落ち着いてきた頃。私は彼に問い掛けました。
「ちょっと見たい映画があるんだよな」
「へぇ、そうなんですね。どんな映画なんですか?」
隣人さんの見たい映画。私気になります!!
「アニメ映画なんだけどな。『カラスの扉』って奴だな」
「あ、それ私も気になってたんですよ。それじゃあ明日は映画館へ行きましょう」
彼と一緒に映画館へ行く。
えへへ。何だかデートっぽいデートな感じがしますね!!
そんなことを思っていると、隣人さんは少しだけ真面目な表情をしたあと、椅子から立ち上がりました。
そして、棚の方へ身体を向けました。
「おや?どうしたんですか、隣人さん」
「いや。お前に渡したいものがあってな」
彼はそう言うと、私が届きもしないような場所。
棚の上から小さな箱を取って持ってきました。
「今日のデートの記念で買ったものだ。良かったら明日のデートの時に着けてきて欲しいかな」
え、え、え、え、ええええええええええええぇぇぇ!!!!!!!!!!!!????????
彼はそう言って、テーブルの上にその小箱を置きました。
「い、いつ買ったんですか……」
そ、そうですよ!!だって貴方は私とずっと一緒に居たじゃ無いですか!!
「お前が試着室で着替えをしてる時だよ。何を買うかは予め決めてたからな」
は、はぁ!!!???
「す、スマート過ぎませんか……っ!!」
私は隣人さんのあまりのスペックの高さに驚きが止まりません……
「まぁ、俺も男だからな。カッコつけたい時もあるよ」
そう言って隣人さんは苦笑いをしながら言葉を続けました。
「受け取ってくれないか、美凪」
も、もぅ……隣人さん……
こんなにして貰って、私はまだ何も、貴方に返せてないのに……
「……ありがとうございます。本当に……私ばかりが貴方から貰ってばかりで申し訳ないです……」
「何言ってんだよ。俺の方こそお前からはたくさん貰ってる。こんなんで返せてるとは思えないくらいにはな」
もぅ……カッコよすぎですよ……バカ……
私は、彼から貰ったプレゼントを抱きしめて、そう呟きました。
本当に……本当に……貴方って人は……
「何が入ってるかは部屋で確認してくれ。目の前で開けられるのは少しだけ恥ずかしいからな」
「あはは。そうですね。では、この後の楽しみにしておきます」
このサイズ感は『アクセサリー』だと思います。
初めてのデートでアクセサリーのプレゼント。
貴方は本当に『カッコつけたがり』ですね!!
私がそう言うと、彼は椅子から立ち上がりました。
「ちょっと食後の運動がてら外を歩いてくるよ」
「あ、それでしたら私もお供しますよ!!」
私もそう言って、彼に続きました。
「そうか。じゃあ一緒に夜の散歩を楽しもうか」
「はい!!」
こうして、私と彼は夜の散歩へと向かいました。
「四月の夜はやはり少し肌寒いですね」
「そうだな。でも俺としてはこのくらいの方が過ごしやすくて好きだな」
夜。私と隣人さんは二人で外に出ました。
少しだけ肌寒いと感じましたが、彼と手を繋いでいるので、心はとても温かいです。
「今日は本当に楽しかったです。ありがとうございます、隣人さん」
私がそう言うと、隣人さんは優しく微笑みながら言葉を返してくれました。
「俺も楽しかったよ。明日も一緒に楽しもうな、美凪」
「はい!!」
そんな話をしていると、小さな公園が見えてきました。
「へぇ、こんな所に公園があったんだな」
「隣人さん!!私ちょっとブランコを漕いでみたいです!!」
少しだけ童心を取り戻した私は、公園の中を進みます。
「勢いよく乗って、ブランコをぶっ壊すなよ?」
「な、なんてことを言うんですか!!そんなに重くありません!!」
し、失礼な事を言わないでください!!
ちょっとだけ不安になった私は、そっとブランコに乗りました。
だ、大丈夫です!!
私はゆっくりとブランコを漕ぎました。
「あはは!!これは楽しいです!!」
「……お前は本当に笑ってる姿が可愛いな」
ブランコを漕ぐ音で、隣人さんが何を言ったのかは聞こえませんでした。
そして、私はひとしきりブランコを楽しみました。
「楽しかったです!!」
ブランコから降りた私は隣人さんにそう言いました。
「あはは……それは良かったよ。ほら、そこの自販機でホットココアを買ったから、少し飲んでから行こうか」
「わぁ!!ありがとうございます!!」
私は彼から温かいココアを貰って、ベンチに座りました。
「うひぁ!!冷たいですね!!」
「だな。ちょっとびっくりしたよ」
ベンチの冷たさにびっくりした後、私と彼は缶のプルタブを開けて、ココアを飲みます。
「甘くて美味しいです」
「甘い物は別腹って気持ちがわかるよな」
「あはは……これはそう言うのとは違うと思いますけど」
「だよな」
なんて話をしながら、私は隣人さんと空を眺めます。
「『星』が綺麗ですね」
私は、彼にそういいました。
「『月』も綺麗だと思うぞ」
私の言葉に、彼はそう返してくれました。
…………はぁ。わかりましたよ。
…………待ちますよ、私。
でも、アプローチを掛けるのは辞めませんからね?
静かな夜。星空の下で、私と隣人さんは公園のベンチでココアを飲みました。
「帰りますか、隣人さん」
「そうだな、美凪」
空き缶をゴミ箱に捨て、私と彼はそう言って帰路に着きました。
しばらく歩くと、私たちのマンションに到着しました。
そして、私の持ってる合鍵で部屋の扉を開けました。
「ただいま」
「ただいまです!!」
『我が家』に帰ってきた私と隣人さんは洗面所で手洗いとうがいをしたあと、自分の部屋へと向かいました。
そろそろ寝ようと思いますからね。
「それでは、おやすみなさい。隣人さん」
「あぁ、おやすみ。美凪」
部屋の前でそう言って、私は彼に言葉を返します。
「今日はとても楽しかったです。本当にありがとうございます」
「俺も楽しかったよ。明日もよろしくな」
「はい!!こちらこそ!!」
こうして、私と彼が共に過ごす一日目が終わりました。
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