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第2章
第十九話 ~映画を見終わったあと、美凪と一緒に取材を受けた件~
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第十九話
「いやー素晴らしい内容の映画でしたね!!私は大満足です!!」
「そうだな。丸くなったなんて言われてたけど、全然そんなこと無かったな。世界観は全く損なわれて無かったよな」
映画の視聴を終え、俺と美凪は映画館を後にした。
この後は、ここから少し歩いたところにある猫カフェで食事をしながら猫と戯れる予定だ。
朝をしっかりと食べて来たので、昼は軽くても平気かなと思っていた。
だが、食いしん坊の美凪だ。
もしかしたら、しっかりとした昼ごはんを食べた上で猫カフェに行きたい。
と言われるかもしれないな。
そう思った俺は、美凪に昼ごはんのことを聞いてみることにした。
「なぁ美凪。昼ごはんだけど猫カフェで軽く済ませるとかでも平気か?それともどっかでしっかりと食べてから行くか?」
俺がそう聞くと、美凪は少しだけ思案した後に答えた。
「そうですね。朝ごはんをしっかりと食べたので、お腹はそこまで減ってないです。猫カフェで軽食程度で済ませて、夜はカレーをしっかりと食べる。このパターンで大丈夫です」
「そうか。俺も同じような感じだったからな。じゃあそうして行こうか」
「はい!!」
そんな会話をした後に、俺と美凪は猫カフェに向かって歩いて向かおうとした。
その時だった。
『すみません、ちょっとお時間よろしいですか?』
「……え?」
突然後ろから話しかけられた俺と美凪。
俺は疑問符を浮かべながら振り返る。
そこにはマイクを持ったスーツの女性と、カメラを持った男性が居た。
テレビ番組かなにかの取材かな?
なんて思っていると、そのようだった。
『夕方のニュース番組の者です。話題の映画を見たカップルに、感想を聞いて回っているんです。もし良ければ取材を受けて貰えませんか?』
女性はそう言うと、俺に名刺を渡してきた。
「ありがとうございます。拝見します」
俺はその名刺を確認する。
名前は西川瑞希(にしかわみずき)さん。
これが本物かはさておき。
かなり有名な夕方のニュース番組の人だと言うのがわかった。
「どうする、美凪。取材を受けるか?」
「ふふーん!!遂にこの美凪優花ちゃんが全国デビューをする時が来たのですね!!隣人さん!!もちろん取材を受けましょう!!」
美凪はドヤ顔で了承を示していた。
「使われるかどうかなんてわからないけどな……」
俺は彼女にそう言った後に、西川さんに向き合う。
「彼女からも了承が得られました。質問に答えますよ」
俺がそう言うと、彼女は安心したように息を吐いた。
『ありがとうございます。なかなか取材に応じてくれる人が居なくて困っていたんです』
「あはは。そうですか。それで何に答えれば良いですか?一応この監督の作品は全部見てます。ちきゅうのこえや時速500キロメートルとかも履修してますよ?」
なんて事を笑いながら答えると、予想外の質問が飛んできた。
『彼女さんとの馴れ初めから聞いてもいいですか?』
「…………はい?」
そ、それって映画と関係あるのか!?
と、とりあえず……まだ付き合ってるわけじゃないけど……
それを言うと面倒なことになりそうだからな。
とりあえず、付き合っている体で話をすることにするか……
「えーと……『優花』とはマンションの部屋が隣同士だったんですよね。たまたま高校生活の前日に、隣の部屋に引っ越してきたんです」
彼女なのに、苗字で呼ぶのもあれかと思ったので、俺は美凪のことを名前で呼ぶことにした。
ちらりと、隣を見ると美凪は顔を真っ赤にしていた。
名前呼びはかなり破壊力があったように見える。
『なるほど!!かなり運命的な出会いだったんですね!!』
「あはは……そ、そうですね。ちなみにこの映画の感想なんですけど……」
『彼女さんの好きなところとか教えて貰えますか!?』
「そ、それって映画と関係ありますか!?」
俺は思わず西川さんにツッコミを入れた。
だが、彼女は俺の言葉など、全く意に返さずに言葉を返す。
『番組的には重要な質問です!!』
「その……『凛太郎さん』!!私も気になります!!」
美凪も俺に倣ってこちらを名前で呼んできた。
「そ、そうですね……その、優花はとても『笑顔が可愛い女の子』なんですよね」
『ほうほう!!』
「それはさっき聞きましたよ、凛太郎さん!!他には無いんですか!!??」
二人の女性から期待の眼差しで見られる俺。
カメラマンからは、可哀想な男を見るような目で見られている。
「あ、あとは……すごく頑張り屋なところがいいですね。最初は出来なかった家事も、少しずつ覚えてきましたし。こちらの言うことを素直に聞いてくれるのも良いと思ってます」
『なるほど!!素敵なカップルで羨ましいです!!』
「は、はぁ……」
俺は映画とは全く関係ない質問に、大きくため息をついた。
『続いて彼女さんから見て、彼氏さんの良い所は何処ですか!!』
「ええええええええええええ!!!???」
自分に矛先が向くとは思ってなかったのかお前は……
驚いた表情の美凪に、俺はニヤリと笑いながら言う。
「いやぁ俺も気になるよ。優花は俺のどこが好きなんだ?」
「り、隣人さ……凛太郎さん!?」
『番組のために是非とも教えてください!!』
西川さんの言葉に、美凪はしどろもどろになりながら答える。
「え、えと……凛太郎さんはとてもスラッとしてて姿勢がとても好みです」
『なるほど!!確かに猫背じゃないですし、立ち姿がとても素敵な男性ですよね!!』
「でもな、優花。それは昨日聞いたよな?他には無いのか」
俺がそう言うと、美凪は真っ赤になりながらこっちを見て言ってきた。
「な、なんでそんなこと言うんですか!!凛太郎さんの意地悪!!とても意地悪です!!」
「あはは。気になるんだから仕方ないだろ?」
俺がそう言うと、美凪は諦めたように肩を落とす。
「もぅ……わかりました。家に帰ったら覚えていてくださいよね……」
『なるほど……二人は一緒に暮らしてる……最近の高校生は進んでるなぁ……』
なんて声が聞こえてきた。
「同棲してるのはオフレコでお願いします」
『あはは……わかりましたよ』
西川さんとそんなやり取りをした後に、美凪は彼女に話を始めた。
「そ、その……凛太郎さんはとても優しいんです」
『ほうほう……』
「わ、私がとても怖い思いをした時にも助けてくれました。彼に抱き締められて、頭を撫でて貰うととても安心出来るんです……そ、そういう所が好きなところです」
『あ、あまーーい……』
聞いてるこっちにもダメージが来た……
「彼の手に触れてもらうととても気持ちいいんです……幸せな気持ちに……」
「も、もうそのくらいにしておこうか優花!!」
何だか危ない方向に話が行きそうだったので、俺は彼女の身体を抱き寄せる。
「り、凛太郎さん!!??」
「に、西川さん!!このくらいで取材は大丈夫ですか!!」
俺の腕の中で驚く美凪。俺は西川さんに取材を終えて欲しいと伝えた。
『そ、そうですね!!ご協力ありがとうございます!!こちらは謝礼になります』
「あ、ありがとうございます」
西川さんが渡してきたのは『有名な施設の優待券』だった。
『うちの企業が経営してる施設になります。夏場はプールなども有名ですね。カップル専用になりますので、変なナンパとかも無いので安心してご利用出来ると思います』
「あ、ありがとうございます。大切に使わせてもらいます」
俺はそう言って、彼女から貰った優待券を財布にしまった。
『デートの邪魔をしてすみません。それでは私たちはこれで失礼しますね。続きを楽しんでくださいね』
「あはは……こちらこそ貴重な経験をありがとうございます」
西川さんたちはそう言ってこの場を立ち去って行った。
な、なんて言うか……色々なものを得たり失ったりした時間だったな。
俺は去っていく二人を見ながらそう思った。
「いやー素晴らしい内容の映画でしたね!!私は大満足です!!」
「そうだな。丸くなったなんて言われてたけど、全然そんなこと無かったな。世界観は全く損なわれて無かったよな」
映画の視聴を終え、俺と美凪は映画館を後にした。
この後は、ここから少し歩いたところにある猫カフェで食事をしながら猫と戯れる予定だ。
朝をしっかりと食べて来たので、昼は軽くても平気かなと思っていた。
だが、食いしん坊の美凪だ。
もしかしたら、しっかりとした昼ごはんを食べた上で猫カフェに行きたい。
と言われるかもしれないな。
そう思った俺は、美凪に昼ごはんのことを聞いてみることにした。
「なぁ美凪。昼ごはんだけど猫カフェで軽く済ませるとかでも平気か?それともどっかでしっかりと食べてから行くか?」
俺がそう聞くと、美凪は少しだけ思案した後に答えた。
「そうですね。朝ごはんをしっかりと食べたので、お腹はそこまで減ってないです。猫カフェで軽食程度で済ませて、夜はカレーをしっかりと食べる。このパターンで大丈夫です」
「そうか。俺も同じような感じだったからな。じゃあそうして行こうか」
「はい!!」
そんな会話をした後に、俺と美凪は猫カフェに向かって歩いて向かおうとした。
その時だった。
『すみません、ちょっとお時間よろしいですか?』
「……え?」
突然後ろから話しかけられた俺と美凪。
俺は疑問符を浮かべながら振り返る。
そこにはマイクを持ったスーツの女性と、カメラを持った男性が居た。
テレビ番組かなにかの取材かな?
なんて思っていると、そのようだった。
『夕方のニュース番組の者です。話題の映画を見たカップルに、感想を聞いて回っているんです。もし良ければ取材を受けて貰えませんか?』
女性はそう言うと、俺に名刺を渡してきた。
「ありがとうございます。拝見します」
俺はその名刺を確認する。
名前は西川瑞希(にしかわみずき)さん。
これが本物かはさておき。
かなり有名な夕方のニュース番組の人だと言うのがわかった。
「どうする、美凪。取材を受けるか?」
「ふふーん!!遂にこの美凪優花ちゃんが全国デビューをする時が来たのですね!!隣人さん!!もちろん取材を受けましょう!!」
美凪はドヤ顔で了承を示していた。
「使われるかどうかなんてわからないけどな……」
俺は彼女にそう言った後に、西川さんに向き合う。
「彼女からも了承が得られました。質問に答えますよ」
俺がそう言うと、彼女は安心したように息を吐いた。
『ありがとうございます。なかなか取材に応じてくれる人が居なくて困っていたんです』
「あはは。そうですか。それで何に答えれば良いですか?一応この監督の作品は全部見てます。ちきゅうのこえや時速500キロメートルとかも履修してますよ?」
なんて事を笑いながら答えると、予想外の質問が飛んできた。
『彼女さんとの馴れ初めから聞いてもいいですか?』
「…………はい?」
そ、それって映画と関係あるのか!?
と、とりあえず……まだ付き合ってるわけじゃないけど……
それを言うと面倒なことになりそうだからな。
とりあえず、付き合っている体で話をすることにするか……
「えーと……『優花』とはマンションの部屋が隣同士だったんですよね。たまたま高校生活の前日に、隣の部屋に引っ越してきたんです」
彼女なのに、苗字で呼ぶのもあれかと思ったので、俺は美凪のことを名前で呼ぶことにした。
ちらりと、隣を見ると美凪は顔を真っ赤にしていた。
名前呼びはかなり破壊力があったように見える。
『なるほど!!かなり運命的な出会いだったんですね!!』
「あはは……そ、そうですね。ちなみにこの映画の感想なんですけど……」
『彼女さんの好きなところとか教えて貰えますか!?』
「そ、それって映画と関係ありますか!?」
俺は思わず西川さんにツッコミを入れた。
だが、彼女は俺の言葉など、全く意に返さずに言葉を返す。
『番組的には重要な質問です!!』
「その……『凛太郎さん』!!私も気になります!!」
美凪も俺に倣ってこちらを名前で呼んできた。
「そ、そうですね……その、優花はとても『笑顔が可愛い女の子』なんですよね」
『ほうほう!!』
「それはさっき聞きましたよ、凛太郎さん!!他には無いんですか!!??」
二人の女性から期待の眼差しで見られる俺。
カメラマンからは、可哀想な男を見るような目で見られている。
「あ、あとは……すごく頑張り屋なところがいいですね。最初は出来なかった家事も、少しずつ覚えてきましたし。こちらの言うことを素直に聞いてくれるのも良いと思ってます」
『なるほど!!素敵なカップルで羨ましいです!!』
「は、はぁ……」
俺は映画とは全く関係ない質問に、大きくため息をついた。
『続いて彼女さんから見て、彼氏さんの良い所は何処ですか!!』
「ええええええええええええ!!!???」
自分に矛先が向くとは思ってなかったのかお前は……
驚いた表情の美凪に、俺はニヤリと笑いながら言う。
「いやぁ俺も気になるよ。優花は俺のどこが好きなんだ?」
「り、隣人さ……凛太郎さん!?」
『番組のために是非とも教えてください!!』
西川さんの言葉に、美凪はしどろもどろになりながら答える。
「え、えと……凛太郎さんはとてもスラッとしてて姿勢がとても好みです」
『なるほど!!確かに猫背じゃないですし、立ち姿がとても素敵な男性ですよね!!』
「でもな、優花。それは昨日聞いたよな?他には無いのか」
俺がそう言うと、美凪は真っ赤になりながらこっちを見て言ってきた。
「な、なんでそんなこと言うんですか!!凛太郎さんの意地悪!!とても意地悪です!!」
「あはは。気になるんだから仕方ないだろ?」
俺がそう言うと、美凪は諦めたように肩を落とす。
「もぅ……わかりました。家に帰ったら覚えていてくださいよね……」
『なるほど……二人は一緒に暮らしてる……最近の高校生は進んでるなぁ……』
なんて声が聞こえてきた。
「同棲してるのはオフレコでお願いします」
『あはは……わかりましたよ』
西川さんとそんなやり取りをした後に、美凪は彼女に話を始めた。
「そ、その……凛太郎さんはとても優しいんです」
『ほうほう……』
「わ、私がとても怖い思いをした時にも助けてくれました。彼に抱き締められて、頭を撫でて貰うととても安心出来るんです……そ、そういう所が好きなところです」
『あ、あまーーい……』
聞いてるこっちにもダメージが来た……
「彼の手に触れてもらうととても気持ちいいんです……幸せな気持ちに……」
「も、もうそのくらいにしておこうか優花!!」
何だか危ない方向に話が行きそうだったので、俺は彼女の身体を抱き寄せる。
「り、凛太郎さん!!??」
「に、西川さん!!このくらいで取材は大丈夫ですか!!」
俺の腕の中で驚く美凪。俺は西川さんに取材を終えて欲しいと伝えた。
『そ、そうですね!!ご協力ありがとうございます!!こちらは謝礼になります』
「あ、ありがとうございます」
西川さんが渡してきたのは『有名な施設の優待券』だった。
『うちの企業が経営してる施設になります。夏場はプールなども有名ですね。カップル専用になりますので、変なナンパとかも無いので安心してご利用出来ると思います』
「あ、ありがとうございます。大切に使わせてもらいます」
俺はそう言って、彼女から貰った優待券を財布にしまった。
『デートの邪魔をしてすみません。それでは私たちはこれで失礼しますね。続きを楽しんでくださいね』
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