20 / 164
第1章 前編
第十四話 ~改めて凛音を『姉』と呼び、北島さんと登校しました~
しおりを挟む
第十四話
「…………待ってたわよ」
「……え、凛音」
「り、凛音ちゃん!?」
何で、朝が苦手で起きられないはずの凛音が、こんな時間に俺たちの家の前に、しかももう制服を着た状態で居るんだ!?
俺と美鈴は予想もしていなかった状況に、言葉を失う。
「昨日のあのメッセージはどういうつもりよ?」
「昨日のメッセージ?」
……あぁ。もうお前とは登校しない。北島さんと登校する。
そのメッセージか。
俺は凛音の目を見てキチンと言う。
「どういうつもりも何も、あのメッセージの通りだよ」
「な、なんで一緒に登校しないって話になるのよ!!おかしいじゃない!!ずっと一緒に登校してきたのよ!!」
ヒステリックに叫ぶ凛音を俺は冷めた目で見る。
「なぁ俺はお前の『弟』なんだろ?」
「……え?……そ、そうよ!!大切な家族で、弟よ!!昨日は『出来の悪い』なんて言って悪かったわね!!あなたはそこそこ優秀な弟よ!!」
あはは……こいつは一体何を言ってるんだ……
俺が泣いたのは、お前から『出来の悪い』と言われた部分じゃない。
そんなことも……そんなことも……わかってなかったのかよ……
何も俺の事をわかってくれてない凛音に、俺は告げる。
「もう高校生なんだから、そろそろ『弟離れ』しろよ。凛音『お姉ちゃん』」
「……っ!!」
俺はそう言うと、凛音の横を通り、自転車へと向かう。
「ま、待ちなさいよ!!」
「ヤダよ。これ以上時間をかけると、北島さんを待たせちまうだろ」
ガチャン
と自転車のカギを外して、俺は自転車に跨る。
「じゃあ、行ってくるよ美鈴」
「うん。行ってらっしゃい!!」
俺は美鈴を相手に朝の挨拶を済ませると、凛音との会話を打ち切って自転車を走らせた。
昨日の夜は雨が降っていたが、朝には止んでいたようだ。
道路には水溜まりがあるので、それに注意して駅へと走る。
美鈴のお陰で良く眠れた俺の身体は、明らかに昨日より調子が良かった。
十年間。片思いをしていた凛音に二回も振られた。
でも、俺はもうそれを気にしないことにした。
振り返ることはあるだろう。
でも、もうこれは『過去』の事だ。
しっかりと『今』を見て進んで行こう。
俺は今日から北島永久さんと恋愛をする。
その結末をハッピーエンドにするために、俺は頑張ろう。
そう考えて、俺は駅へと自転車を走らせた。
自転車を走らせること二十分。
俺は最寄りの駅へと辿り着いた。
時刻は七時五十分。駅の出口にはまだ北島さんの姿は見えなかったが、俺はその事に安心した。
良かった。彼女を待たせるという事だけはしたくなかった。
そして、少しすると階段の上から制服を着た美少女が歩いてきた。
「おはよう、北島さん」
「おはようございます、桜井くん。お待たせしてしまってすみません」
俺は北島さんに朝の挨拶をすると、彼女は少しだけ申し訳無さそうに挨拶を返してくれた。
「あはは。気にしなくていいよ。ほとんど待ってないし。それに、君を待たせることだけはしたくなったんだ」
と、俺は笑いながら言う。
「そ、そうですか。ではお言葉に甘えます」
彼女は少しだけ顔を赤くしながら、通学用の自転車を預けている駐輪場へと向かった。
ふぅ。やっぱり可愛いな、北島さん。
こうして話しているだけでも緊張してしまう。
正直なところ。凛音以外の女性とまともに話したことも無かったからな。
そんなことを考えていると、
「お待たせしました。いつでも行けます」
と北島さんが自転車を持ってやって来た。
「うん。じゃあ行こうか」
俺はそう言うと、彼女と一緒に学校へと向かった。
俺は車が居ないことを確認しながら、彼女と並走する。
「日曜日の事なんだけどさ、北島さん的にはどこかに行きたい。とかってあるかな?」
と話しかけると、彼女は少しだけ思案して、
「わがままを言わせて貰えるのでしたら、桜井くんとお買い物がしたいです」
「買い物?」
「はい」
なるほど。どんなものを買う予定なのかな?
「午前中はお買い物をして、午後は桜井くんの自宅にお邪魔させてもらおうかと思ってますので」
「何か買いたいものでもあるのかな?」
俺のその問いかけに、北島さんはフワリと笑った。
「次のデートの為の服を桜井くんに選んでもらいたいな。と思ってます」
え、なにこの女の子、可愛すぎじゃない!?
あなたとまたデートがしたいです。
としか思えない発言に、俺の顔が熱くなる。
「そ、そうなんだ。じゃあ責任重大だね」
「ふふふ。桜井くんの好みの服装でデートに行こうと思ってますので」
そう言うと、北島さんは少しだけイタズラっぽく笑う。
彼女は本当に、この表情がいちばん魅力的だと思う。
「私をあなたの色に染めてください。桜井くん」
……はぁ、この女の子は朝から俺の心臓を止めに来てるんじゃないか?
そんなことを思いながら、俺は真っ赤に染っているであろう顔を彼女から見えないように、自転車を少しだけ後ろに下げて走ったのだった。
「…………待ってたわよ」
「……え、凛音」
「り、凛音ちゃん!?」
何で、朝が苦手で起きられないはずの凛音が、こんな時間に俺たちの家の前に、しかももう制服を着た状態で居るんだ!?
俺と美鈴は予想もしていなかった状況に、言葉を失う。
「昨日のあのメッセージはどういうつもりよ?」
「昨日のメッセージ?」
……あぁ。もうお前とは登校しない。北島さんと登校する。
そのメッセージか。
俺は凛音の目を見てキチンと言う。
「どういうつもりも何も、あのメッセージの通りだよ」
「な、なんで一緒に登校しないって話になるのよ!!おかしいじゃない!!ずっと一緒に登校してきたのよ!!」
ヒステリックに叫ぶ凛音を俺は冷めた目で見る。
「なぁ俺はお前の『弟』なんだろ?」
「……え?……そ、そうよ!!大切な家族で、弟よ!!昨日は『出来の悪い』なんて言って悪かったわね!!あなたはそこそこ優秀な弟よ!!」
あはは……こいつは一体何を言ってるんだ……
俺が泣いたのは、お前から『出来の悪い』と言われた部分じゃない。
そんなことも……そんなことも……わかってなかったのかよ……
何も俺の事をわかってくれてない凛音に、俺は告げる。
「もう高校生なんだから、そろそろ『弟離れ』しろよ。凛音『お姉ちゃん』」
「……っ!!」
俺はそう言うと、凛音の横を通り、自転車へと向かう。
「ま、待ちなさいよ!!」
「ヤダよ。これ以上時間をかけると、北島さんを待たせちまうだろ」
ガチャン
と自転車のカギを外して、俺は自転車に跨る。
「じゃあ、行ってくるよ美鈴」
「うん。行ってらっしゃい!!」
俺は美鈴を相手に朝の挨拶を済ませると、凛音との会話を打ち切って自転車を走らせた。
昨日の夜は雨が降っていたが、朝には止んでいたようだ。
道路には水溜まりがあるので、それに注意して駅へと走る。
美鈴のお陰で良く眠れた俺の身体は、明らかに昨日より調子が良かった。
十年間。片思いをしていた凛音に二回も振られた。
でも、俺はもうそれを気にしないことにした。
振り返ることはあるだろう。
でも、もうこれは『過去』の事だ。
しっかりと『今』を見て進んで行こう。
俺は今日から北島永久さんと恋愛をする。
その結末をハッピーエンドにするために、俺は頑張ろう。
そう考えて、俺は駅へと自転車を走らせた。
自転車を走らせること二十分。
俺は最寄りの駅へと辿り着いた。
時刻は七時五十分。駅の出口にはまだ北島さんの姿は見えなかったが、俺はその事に安心した。
良かった。彼女を待たせるという事だけはしたくなかった。
そして、少しすると階段の上から制服を着た美少女が歩いてきた。
「おはよう、北島さん」
「おはようございます、桜井くん。お待たせしてしまってすみません」
俺は北島さんに朝の挨拶をすると、彼女は少しだけ申し訳無さそうに挨拶を返してくれた。
「あはは。気にしなくていいよ。ほとんど待ってないし。それに、君を待たせることだけはしたくなったんだ」
と、俺は笑いながら言う。
「そ、そうですか。ではお言葉に甘えます」
彼女は少しだけ顔を赤くしながら、通学用の自転車を預けている駐輪場へと向かった。
ふぅ。やっぱり可愛いな、北島さん。
こうして話しているだけでも緊張してしまう。
正直なところ。凛音以外の女性とまともに話したことも無かったからな。
そんなことを考えていると、
「お待たせしました。いつでも行けます」
と北島さんが自転車を持ってやって来た。
「うん。じゃあ行こうか」
俺はそう言うと、彼女と一緒に学校へと向かった。
俺は車が居ないことを確認しながら、彼女と並走する。
「日曜日の事なんだけどさ、北島さん的にはどこかに行きたい。とかってあるかな?」
と話しかけると、彼女は少しだけ思案して、
「わがままを言わせて貰えるのでしたら、桜井くんとお買い物がしたいです」
「買い物?」
「はい」
なるほど。どんなものを買う予定なのかな?
「午前中はお買い物をして、午後は桜井くんの自宅にお邪魔させてもらおうかと思ってますので」
「何か買いたいものでもあるのかな?」
俺のその問いかけに、北島さんはフワリと笑った。
「次のデートの為の服を桜井くんに選んでもらいたいな。と思ってます」
え、なにこの女の子、可愛すぎじゃない!?
あなたとまたデートがしたいです。
としか思えない発言に、俺の顔が熱くなる。
「そ、そうなんだ。じゃあ責任重大だね」
「ふふふ。桜井くんの好みの服装でデートに行こうと思ってますので」
そう言うと、北島さんは少しだけイタズラっぽく笑う。
彼女は本当に、この表情がいちばん魅力的だと思う。
「私をあなたの色に染めてください。桜井くん」
……はぁ、この女の子は朝から俺の心臓を止めに来てるんじゃないか?
そんなことを思いながら、俺は真っ赤に染っているであろう顔を彼女から見えないように、自転車を少しだけ後ろに下げて走ったのだった。
31
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
開発者を大事にしない国は滅びるのです。常識でしょう?
ノ木瀬 優
恋愛
新しい魔道具を開発して、順調に商会を大きくしていったリリア=フィミール。しかし、ある時から、開発した魔道具を複製して販売されるようになってしまう。特許権の侵害を訴えても、相手の背後には王太子がh控えており、特許庁の対応はひどいものだった。
そんな中、リリアはとある秘策を実行する。
全3話。本日中に完結予定です。設定ゆるゆるなので、軽い気持ちで読んで頂けたら幸いです。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる