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第2章 前編
第六話 ~帰り道では、永久さんと二回目のデートの話をしました~
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第六話
山野先生にこってり絞られたあと、俺は野球部の練習に戻った。
最初の時のように、全力投球で打者を抑える。と言うよりも、コントロールを意識して先輩たちが要求する苦手なコースや変化球を投げていく。
そう言う『練習』の要素の強いバッティングピッチャーを行った。
そして、部活動の時間が終わり、更衣室で着替えを済ませたところで永久さんに連絡を入れた。
彼女は途中で人に呼ばれたと話して席を外していたが、待っててくれると言っていたので一緒に帰ることにした。
『男性から告白をされる。とかでは無いので安心してください』
そう話していた。
俺は自転車を押しながら、永久さんとの待ち合わせ場所の校門へと向かっていると、見覚えのあるツインテールが見えた。
「あら、霧都。奇遇ね。野球部のバッティングピッチャーは上手くこなせたのかしら?」
「まぁ、それなりには上手く出来たと思うよ。凛音も今帰るところなのか?」
「そうね。用事も済ませたし、このまま帰る予定よ」
凛音はそう言うと、自転車にまたがる。
「別にあんたと一緒帰るなんてことは言わないわよ。『彼女』の北島永久と仲良く帰ればいいわ」
「そうか。じゃあ、気を付けて還れよ」
凛音はその言葉に軽く手を振って自転車を走らせて行った。
「……随分と機嫌が良さそうだったな。何かあったのかな?」
バスケ部には正式に入部した。そう聞いている。
ライバル視していた人に、一矢報いることが出来た。とかかな?
なんて思っていると、
「お待たせしました、霧都くん」
自転車を押した美少女が俺の前に現れる。
「全然待ってないから平気だよ、永久さん」
俺は振り向いて、彼女に笑顔を向ける。
それを受けた永久さんも微笑みを返してくれた。
「じゃあ帰ろうか。駅まで送るよ」
「はい。よろしくお願いします」
俺と永久さんはそう言って自転車を走らせた。
「そう言えば、さっきは人に呼ばれたって話をしてたけど、誰かとか聞いても平気なのかな?」
「はい。大丈夫ですよ。呼ばれたのは南野さんからです」
「……え。り、凛音?」
混ぜるな危険。の二人が話をして、平和に終わったとは思えない。でも、さっき会った凛音は随分と機嫌が良さそうだった。
一体この二人に何があったんだ……
「彼女とは、中間テストの点数で勝負をすることになりました。私が勝ったら、南野さんは私と霧都くんの結婚式で祝辞を読んでくれる。そう話していましたよ」
結婚式。もう既に彼女の中では俺とのゴールがきっと見えているんだ。こういう所に愛の重さを感じるけど、嬉しいと思ってしまう。
「ん?でも勝負ってことは永久さんが万が一負けた場合。凛音は何を求めてきたんだ?」
俺のその質問に、永久さんはフワリと微笑みを浮かべた。
「ふふふ。南野さんは霧都くんとお出掛けがしたかったそうです。二人で遊びに行かせてくれ。そう言われましたよ?」
「……え?」
「ふふふ。南野さんさんも幼馴染が急に居なくなって寂しかったのですかね?可愛いところがありますね」
「そ、それを永久さんは……」
「ええ、了承しました。負けるつもりは毛頭ありませんからね」
お、俺の知らないところで、俺が賭けの品にされていた……
「ち、ちなみに……万が一永久さんが負けたら……」
「負けるつもりはありません。ですがそうですね、万が一負けた場合は、断腸の思いで貴方が南野さんとお出掛けをするのを認めますよ。何処に行きたいのかは知りませんが」
そう言うと、永久さんはこちらを振り向く。
その瞳は、昏く淀んでいる。
「そもそも。霧都くんは私のことがだいだいだーいすき。のはずです。南野さんとお出掛けをしても『何もしない』と信じていますので」
「あはは……まぁ確かにそうなんだけど……」
彼女が居るのに他の女性と出掛けるって……浮気じゃないのかな……
だから、もし今後凛音から遊びに誘われても全部断るつもりでいた。それをあいつはわかっていたのかもしれないな。
だからこういう手段を取ったんだ。
そこまでして俺と出掛けたい場所。一体どこなんだろうな。
まぁ、永久さんは負けないって言ってるし、あまり気にすることでも無いか。
俺はそう結論付けると、このタイミングで話そうと思っていた話題を切り出す。
「ねぇ、永久さん。来週の日曜日なんだけど、良かったらデートをしないか?」
「はい。喜んでお供します!!」
満面の笑みでそう答える永久さん。
あはは……即答だ。
「永久さんとしてはどこに行きたい。とかの希望はあるのかな?」
「ふふふ。私は貴方と一緒に居られるのでしたらどこでも楽しめますよ?ですがそうですね、もし希望を言えるなら……」
遊園地。に行きたいです。
「なるほど。実を言うとね、俺も君と遊園地に行きたいと思ってたんだ」
「まぁ、そうなんですね!!それは嬉しいです」
「あはは。少しベタ過ぎるかなとも思っちゃってね」
「そんな事ないですよ?ベタとは王道とも言えます。私は王道は大好きですよ」
……最近のラブコメの王道では、幼馴染は負けヒロインです。
「……え?永久さん。何か言ったかな?」
「ふふふ。いえ、何も。あ、そろそろ駅に着く頃です」
永久さんの言うように、もう彼女と別れる駅に着いてしまった。
あはは……やっぱり少し寂しいな。
そう思っていると、やはり彼女もそう思っていたようで
「やはり寂しいです。早く霧都くんと結婚して一緒に暮らしたいです」
「……あはは」
寂しいのレベルが違った……
「それでは霧都くん。また明日」
「うん。永久さん、またあし……っ!!」
自転車に乗りながら、永久さんは俺にキスをしてきた。
駅前にはたくさんの人がいる。その人たちは驚いたような目でこちらを見ているのがわかる。
あはは……ほんと、情熱的なんだから……
俺は周りの目は気にしないことにして、目の前の彼女の存在だけを感じるようにした。
そして、永久さんが満足するまで唇を重ね合い、離れた。
「……好きです。霧都くんは、誰にも渡しません」
「俺も君が好きだよ。何処にも行かないから心配しないで」
俺がそう言うと、永久さんは少しだけ安心したように笑ってくれた。
「はい。では、さよなら、霧都くん」
「うん。バイバイ永久さん」
俺たちはそう言って、駅前で別れを告げた。
「……さ、流石にちょっと恥ずかしかったかなぁ」
永久さんと別れ、自宅へと自転車を走らせる中で、俺はそう呟いた。
朝は誰にも見られてなかったけど、さっきのはかなりギャラリーが居た。まぁ、優越感。みたいなのがあるのは事実だけど。
あれだけ可愛い女の子に、あれほど深い愛を向けられる。
男としては光栄だと思ってしまう。
でも、そうだな。
キスより先の関係も、すぐに訪れてしまうかもしれない……
そうなったとき、俺はどうするんだろうか……
「さ、さすがに付き合って一週間でセックスとか求められることは無いと思うんだけどなぁ……」
そ、そう言う欲求は確かにある。
男子高校生なんだから、彼女と身体を重ね合わせたい。という性的な欲望はかなり大きい。
でも、流石に早いとは思ってしまう。
「てか、まだ求められてないのにそんなことを考えるのも、おかしな話だよな……」
なんて思いながら自転車を走らせていると、俺のスマホがメッセージを受信した。と伝えて来た。
「……ん?誰からだ」
俺は一旦自転車を停め、スマホを確認する。
「……流からだ」
『こんにちは、霧都。忙しいかも知れないけど、君に相談したいことがあるんだ。もし良かったら、今日の夜、君と話をしたいんだ。連絡を待ってるよ』
そんなメッセージが届いていた。
山野先生にこってり絞られたあと、俺は野球部の練習に戻った。
最初の時のように、全力投球で打者を抑える。と言うよりも、コントロールを意識して先輩たちが要求する苦手なコースや変化球を投げていく。
そう言う『練習』の要素の強いバッティングピッチャーを行った。
そして、部活動の時間が終わり、更衣室で着替えを済ませたところで永久さんに連絡を入れた。
彼女は途中で人に呼ばれたと話して席を外していたが、待っててくれると言っていたので一緒に帰ることにした。
『男性から告白をされる。とかでは無いので安心してください』
そう話していた。
俺は自転車を押しながら、永久さんとの待ち合わせ場所の校門へと向かっていると、見覚えのあるツインテールが見えた。
「あら、霧都。奇遇ね。野球部のバッティングピッチャーは上手くこなせたのかしら?」
「まぁ、それなりには上手く出来たと思うよ。凛音も今帰るところなのか?」
「そうね。用事も済ませたし、このまま帰る予定よ」
凛音はそう言うと、自転車にまたがる。
「別にあんたと一緒帰るなんてことは言わないわよ。『彼女』の北島永久と仲良く帰ればいいわ」
「そうか。じゃあ、気を付けて還れよ」
凛音はその言葉に軽く手を振って自転車を走らせて行った。
「……随分と機嫌が良さそうだったな。何かあったのかな?」
バスケ部には正式に入部した。そう聞いている。
ライバル視していた人に、一矢報いることが出来た。とかかな?
なんて思っていると、
「お待たせしました、霧都くん」
自転車を押した美少女が俺の前に現れる。
「全然待ってないから平気だよ、永久さん」
俺は振り向いて、彼女に笑顔を向ける。
それを受けた永久さんも微笑みを返してくれた。
「じゃあ帰ろうか。駅まで送るよ」
「はい。よろしくお願いします」
俺と永久さんはそう言って自転車を走らせた。
「そう言えば、さっきは人に呼ばれたって話をしてたけど、誰かとか聞いても平気なのかな?」
「はい。大丈夫ですよ。呼ばれたのは南野さんからです」
「……え。り、凛音?」
混ぜるな危険。の二人が話をして、平和に終わったとは思えない。でも、さっき会った凛音は随分と機嫌が良さそうだった。
一体この二人に何があったんだ……
「彼女とは、中間テストの点数で勝負をすることになりました。私が勝ったら、南野さんは私と霧都くんの結婚式で祝辞を読んでくれる。そう話していましたよ」
結婚式。もう既に彼女の中では俺とのゴールがきっと見えているんだ。こういう所に愛の重さを感じるけど、嬉しいと思ってしまう。
「ん?でも勝負ってことは永久さんが万が一負けた場合。凛音は何を求めてきたんだ?」
俺のその質問に、永久さんはフワリと微笑みを浮かべた。
「ふふふ。南野さんは霧都くんとお出掛けがしたかったそうです。二人で遊びに行かせてくれ。そう言われましたよ?」
「……え?」
「ふふふ。南野さんさんも幼馴染が急に居なくなって寂しかったのですかね?可愛いところがありますね」
「そ、それを永久さんは……」
「ええ、了承しました。負けるつもりは毛頭ありませんからね」
お、俺の知らないところで、俺が賭けの品にされていた……
「ち、ちなみに……万が一永久さんが負けたら……」
「負けるつもりはありません。ですがそうですね、万が一負けた場合は、断腸の思いで貴方が南野さんとお出掛けをするのを認めますよ。何処に行きたいのかは知りませんが」
そう言うと、永久さんはこちらを振り向く。
その瞳は、昏く淀んでいる。
「そもそも。霧都くんは私のことがだいだいだーいすき。のはずです。南野さんとお出掛けをしても『何もしない』と信じていますので」
「あはは……まぁ確かにそうなんだけど……」
彼女が居るのに他の女性と出掛けるって……浮気じゃないのかな……
だから、もし今後凛音から遊びに誘われても全部断るつもりでいた。それをあいつはわかっていたのかもしれないな。
だからこういう手段を取ったんだ。
そこまでして俺と出掛けたい場所。一体どこなんだろうな。
まぁ、永久さんは負けないって言ってるし、あまり気にすることでも無いか。
俺はそう結論付けると、このタイミングで話そうと思っていた話題を切り出す。
「ねぇ、永久さん。来週の日曜日なんだけど、良かったらデートをしないか?」
「はい。喜んでお供します!!」
満面の笑みでそう答える永久さん。
あはは……即答だ。
「永久さんとしてはどこに行きたい。とかの希望はあるのかな?」
「ふふふ。私は貴方と一緒に居られるのでしたらどこでも楽しめますよ?ですがそうですね、もし希望を言えるなら……」
遊園地。に行きたいです。
「なるほど。実を言うとね、俺も君と遊園地に行きたいと思ってたんだ」
「まぁ、そうなんですね!!それは嬉しいです」
「あはは。少しベタ過ぎるかなとも思っちゃってね」
「そんな事ないですよ?ベタとは王道とも言えます。私は王道は大好きですよ」
……最近のラブコメの王道では、幼馴染は負けヒロインです。
「……え?永久さん。何か言ったかな?」
「ふふふ。いえ、何も。あ、そろそろ駅に着く頃です」
永久さんの言うように、もう彼女と別れる駅に着いてしまった。
あはは……やっぱり少し寂しいな。
そう思っていると、やはり彼女もそう思っていたようで
「やはり寂しいです。早く霧都くんと結婚して一緒に暮らしたいです」
「……あはは」
寂しいのレベルが違った……
「それでは霧都くん。また明日」
「うん。永久さん、またあし……っ!!」
自転車に乗りながら、永久さんは俺にキスをしてきた。
駅前にはたくさんの人がいる。その人たちは驚いたような目でこちらを見ているのがわかる。
あはは……ほんと、情熱的なんだから……
俺は周りの目は気にしないことにして、目の前の彼女の存在だけを感じるようにした。
そして、永久さんが満足するまで唇を重ね合い、離れた。
「……好きです。霧都くんは、誰にも渡しません」
「俺も君が好きだよ。何処にも行かないから心配しないで」
俺がそう言うと、永久さんは少しだけ安心したように笑ってくれた。
「はい。では、さよなら、霧都くん」
「うん。バイバイ永久さん」
俺たちはそう言って、駅前で別れを告げた。
「……さ、流石にちょっと恥ずかしかったかなぁ」
永久さんと別れ、自宅へと自転車を走らせる中で、俺はそう呟いた。
朝は誰にも見られてなかったけど、さっきのはかなりギャラリーが居た。まぁ、優越感。みたいなのがあるのは事実だけど。
あれだけ可愛い女の子に、あれほど深い愛を向けられる。
男としては光栄だと思ってしまう。
でも、そうだな。
キスより先の関係も、すぐに訪れてしまうかもしれない……
そうなったとき、俺はどうするんだろうか……
「さ、さすがに付き合って一週間でセックスとか求められることは無いと思うんだけどなぁ……」
そ、そう言う欲求は確かにある。
男子高校生なんだから、彼女と身体を重ね合わせたい。という性的な欲望はかなり大きい。
でも、流石に早いとは思ってしまう。
「てか、まだ求められてないのにそんなことを考えるのも、おかしな話だよな……」
なんて思いながら自転車を走らせていると、俺のスマホがメッセージを受信した。と伝えて来た。
「……ん?誰からだ」
俺は一旦自転車を停め、スマホを確認する。
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