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第2章 前編
最終話 ~南野凛音の宣戦布告・十年来の幼馴染が本気で俺たちの仲を引き裂きに来ました~ 前編
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最終話 前編
体育祭の場所決めが終わった次の日。
今日は公園での練習を休みにしていた。
たまには休憩日を入れないと身体に疲れが溜まってしまうから。俺がそう話して休みにしていた。
「流に桐崎さん、今日も早いね。おはよう」
「桐崎さんに星くん、おはようございます」
ガラリと教室の扉を開けると、学級委員の二人が既に登校していた。
俺と永久さんは部屋の端でスマホゲームをしていた二人に声を掛ける。
「おはよう、桜井くんに永久ちゃん!!」
「おはよう、霧都に北島さん。今日は練習を休みにしてたからね、ちょって早めに来てゲームをしようと思ったら、それと同じくらい早くに桐崎さんが来てたからね」
「あはは。一人でやるよりは二人でやりたいなぁと思ってたからね。もしかしたら星くんが居るかなあって思ってたんだよね」
「あはは。相変わらず、真面目なのか不真面目なのかわからないよな」
「ふふふ。ですがお二人の仲が良いことは嬉しいです。では私たちも混ぜてもらっていいですか?」
「うん!!時間が来るまで四人で遊ぼうよ!!」
「そうだね。ちょうど復刻版のレイドバトルが始まりそうだからね。ドロップアイテムは中級者くらいまで使える武器だから美味しいよ」
「あぁ、そうだな。それに、あのイベントなら俺と流の二人でも狩れるからな。回してこうぜ」
そんな会話をしながら、俺たち四人は楽しくライジンをプレイして時間を過ごしていた。
…………この場にいない、凛音がどこに行ってたかなんて、考えもしていなかった。
そして、段々と教室に人が増えて行く。
俺たちはそれに合わせてゲームを終わりにして、自分の席へと戻った。
SHRが始まる時間の少し前に、凛音が教室にやって来た。
「おはよう、凛音。今日はギリギリだったな」
「おはよう霧都。ちょっと寝坊してしまったのよ。朝の練習が無くて助かったわ」
凛音は眠そうな目なんかまるでせずに、そんな事を言いながら自分の席へと向かって行った。
凛音が椅子に座ると、教室の扉がガラリと開く。
「皆、おはよう。そろそろSHRの時間だ。席に着きなさい」
根岸先生がそう言って教室に入って来た。
自分の席から離れたところにいたクラスメイトたちが戻ると、ちょうどチャイムが鳴った。
「それでは本日のSHRを始める。桐崎、号令をしなさい」
「はい!!」
そして、桐崎さんの号令で、俺たちは根岸先生に一礼する。
「さて、本日の連絡事項だが……」
先生の連絡事項を聞いてると、今日は特別なことは無さそうだなと思った。
生徒会も今日は休み。野球部も休み。
そうだな、今日は久しぶりに溜まってる漫画本でも読もうかなぁ……
なんて思いながら、俺は午前中を過ごして行った。
四時間目が終わるチャイムが鳴り響いた。
英語の授業が終わり、俺は教科書とノートをカバンにしまう。
「いやーお腹が減ったね、永久さん」
「そうですね。早速ご飯を食べに行きましょう」
なんて話をしていると、
「昨日に話をしたと思うけど、私は放送室に行く予定があるからあんたたちとは一緒に食べられないわ」
凛音がそう言ってやってきた。
「何か理由があるんですか?」
「霧都には話してあるけど、昨日の体育祭の場所を譲って貰う条件に、私の話を昼の放送で流して欲しいと言われたのよ。人気者の辛いところね」
凛音はやれやれと手を広げながらそう言った。
「そうだったんですね。では頑張ってください」
永久がそう言うと、凛音はニヤリと笑っていた。
そして、俺の横を通り過ぎる時に耳元で囁いた。
『覚悟なさい。私の本気を見せてあげるわよ』
「…………え?」
疑問符を浮かべる俺。だが、既に凛音は教室の外に出ていた。
「どうかしましたか?」
キョトンとした表情の永久さん。
俺はそんな彼女に、
「いや……何でもないよ」
と答えた。
「桜井くんに永久ちゃん。学食に行こうか!!」
「俺もお腹が減ったからね。今日も焼肉セットにしようかな」
桐崎さんと流がそう言って俺たちのところにやって来た。
「そうだな。あまり遅いと席が取れないかもしれないからな」
「はい。では向かいましょう」
俺たちはそう言って、食堂へと向かった。
『食堂』
少し出遅れた感はあったものの、俺たちがいつも使っている長テーブルは空いていた。
それなりの人数が座れる大きさなので、少ない人数だと座りづらいのかも知れないな。
なんて思いながら、俺は日替わりセットを買って向かう。
流と永久さんは焼肉セットを買っていた。
「お待たせ、桐崎さん。席を取っていてくれてありがとう」
「あはは。そんなに待ってないから平気だよ!!」
「いつもお水も用意してくれてるのは嬉しいです」
「今日も良かったら焼肉とだし巻き玉子を交換しない?」
「あ、星くん。それは嬉しいな!!」
そんな会話をしながら、俺たちは椅子に座る。
「じゃあ早速だけど食べようか!!」
「そうだね。俺もお腹ぺこぺこだよ」
そして、俺たちは「いただきます!!」と声を揃えてから昼ごはんを食べ始めた。
その時だった。
『皆さんこんにちは!!お昼の時間を素敵に彩る放送部です!!さて、本日のお昼の放送は、女子バスケットボール部の期待の新入生!!早くもコート上の小悪魔(プチデビル)と呼ばれ始めている南野凛音さんに来て貰ってます!!』
『だ、誰よ!!そんな恥ずかしい名前で呼んでるのは!!』
「あはは……」
「確かに南野さんは小悪魔な感じがしますからね」
『藤崎朱里さんが呼んでましたよ。妖精(フェアリー)の後継者は彼女よ!!って笑いながら』
『あの貧乳!!なんてことを言ってるのよ!!』
なんて放送が流れると、丸テーブルの方から、
私は貧乳じゃないわよ!!ちょっと物足りないだけ!!
南野さん!!部活の時間になったら覚えてなさいよね!!
と声が聞こえてきた。
「ふふふ。部活動は楽しくやれてるみたいですね」
「そ、そうなのかなぁ……」
なんて思って聞いてると、
『はぁ、まぁ良いわ。皆さんこんにちは、南野凛音よ。今日はお昼の時間に私の話をさせてもらうわ』
三郷先輩に変わり、凛音が話し始めた。
そして……凛音は爆弾を投下した。
『次期生徒会長と呼ばれてる桜井霧都は、私の十年来の幼馴染よ。これから彼と私の十年間の大切な思い出の話をしようと思うわ』
体育祭の場所決めが終わった次の日。
今日は公園での練習を休みにしていた。
たまには休憩日を入れないと身体に疲れが溜まってしまうから。俺がそう話して休みにしていた。
「流に桐崎さん、今日も早いね。おはよう」
「桐崎さんに星くん、おはようございます」
ガラリと教室の扉を開けると、学級委員の二人が既に登校していた。
俺と永久さんは部屋の端でスマホゲームをしていた二人に声を掛ける。
「おはよう、桜井くんに永久ちゃん!!」
「おはよう、霧都に北島さん。今日は練習を休みにしてたからね、ちょって早めに来てゲームをしようと思ったら、それと同じくらい早くに桐崎さんが来てたからね」
「あはは。一人でやるよりは二人でやりたいなぁと思ってたからね。もしかしたら星くんが居るかなあって思ってたんだよね」
「あはは。相変わらず、真面目なのか不真面目なのかわからないよな」
「ふふふ。ですがお二人の仲が良いことは嬉しいです。では私たちも混ぜてもらっていいですか?」
「うん!!時間が来るまで四人で遊ぼうよ!!」
「そうだね。ちょうど復刻版のレイドバトルが始まりそうだからね。ドロップアイテムは中級者くらいまで使える武器だから美味しいよ」
「あぁ、そうだな。それに、あのイベントなら俺と流の二人でも狩れるからな。回してこうぜ」
そんな会話をしながら、俺たち四人は楽しくライジンをプレイして時間を過ごしていた。
…………この場にいない、凛音がどこに行ってたかなんて、考えもしていなかった。
そして、段々と教室に人が増えて行く。
俺たちはそれに合わせてゲームを終わりにして、自分の席へと戻った。
SHRが始まる時間の少し前に、凛音が教室にやって来た。
「おはよう、凛音。今日はギリギリだったな」
「おはよう霧都。ちょっと寝坊してしまったのよ。朝の練習が無くて助かったわ」
凛音は眠そうな目なんかまるでせずに、そんな事を言いながら自分の席へと向かって行った。
凛音が椅子に座ると、教室の扉がガラリと開く。
「皆、おはよう。そろそろSHRの時間だ。席に着きなさい」
根岸先生がそう言って教室に入って来た。
自分の席から離れたところにいたクラスメイトたちが戻ると、ちょうどチャイムが鳴った。
「それでは本日のSHRを始める。桐崎、号令をしなさい」
「はい!!」
そして、桐崎さんの号令で、俺たちは根岸先生に一礼する。
「さて、本日の連絡事項だが……」
先生の連絡事項を聞いてると、今日は特別なことは無さそうだなと思った。
生徒会も今日は休み。野球部も休み。
そうだな、今日は久しぶりに溜まってる漫画本でも読もうかなぁ……
なんて思いながら、俺は午前中を過ごして行った。
四時間目が終わるチャイムが鳴り響いた。
英語の授業が終わり、俺は教科書とノートをカバンにしまう。
「いやーお腹が減ったね、永久さん」
「そうですね。早速ご飯を食べに行きましょう」
なんて話をしていると、
「昨日に話をしたと思うけど、私は放送室に行く予定があるからあんたたちとは一緒に食べられないわ」
凛音がそう言ってやってきた。
「何か理由があるんですか?」
「霧都には話してあるけど、昨日の体育祭の場所を譲って貰う条件に、私の話を昼の放送で流して欲しいと言われたのよ。人気者の辛いところね」
凛音はやれやれと手を広げながらそう言った。
「そうだったんですね。では頑張ってください」
永久がそう言うと、凛音はニヤリと笑っていた。
そして、俺の横を通り過ぎる時に耳元で囁いた。
『覚悟なさい。私の本気を見せてあげるわよ』
「…………え?」
疑問符を浮かべる俺。だが、既に凛音は教室の外に出ていた。
「どうかしましたか?」
キョトンとした表情の永久さん。
俺はそんな彼女に、
「いや……何でもないよ」
と答えた。
「桜井くんに永久ちゃん。学食に行こうか!!」
「俺もお腹が減ったからね。今日も焼肉セットにしようかな」
桐崎さんと流がそう言って俺たちのところにやって来た。
「そうだな。あまり遅いと席が取れないかもしれないからな」
「はい。では向かいましょう」
俺たちはそう言って、食堂へと向かった。
『食堂』
少し出遅れた感はあったものの、俺たちがいつも使っている長テーブルは空いていた。
それなりの人数が座れる大きさなので、少ない人数だと座りづらいのかも知れないな。
なんて思いながら、俺は日替わりセットを買って向かう。
流と永久さんは焼肉セットを買っていた。
「お待たせ、桐崎さん。席を取っていてくれてありがとう」
「あはは。そんなに待ってないから平気だよ!!」
「いつもお水も用意してくれてるのは嬉しいです」
「今日も良かったら焼肉とだし巻き玉子を交換しない?」
「あ、星くん。それは嬉しいな!!」
そんな会話をしながら、俺たちは椅子に座る。
「じゃあ早速だけど食べようか!!」
「そうだね。俺もお腹ぺこぺこだよ」
そして、俺たちは「いただきます!!」と声を揃えてから昼ごはんを食べ始めた。
その時だった。
『皆さんこんにちは!!お昼の時間を素敵に彩る放送部です!!さて、本日のお昼の放送は、女子バスケットボール部の期待の新入生!!早くもコート上の小悪魔(プチデビル)と呼ばれ始めている南野凛音さんに来て貰ってます!!』
『だ、誰よ!!そんな恥ずかしい名前で呼んでるのは!!』
「あはは……」
「確かに南野さんは小悪魔な感じがしますからね」
『藤崎朱里さんが呼んでましたよ。妖精(フェアリー)の後継者は彼女よ!!って笑いながら』
『あの貧乳!!なんてことを言ってるのよ!!』
なんて放送が流れると、丸テーブルの方から、
私は貧乳じゃないわよ!!ちょっと物足りないだけ!!
南野さん!!部活の時間になったら覚えてなさいよね!!
と声が聞こえてきた。
「ふふふ。部活動は楽しくやれてるみたいですね」
「そ、そうなのかなぁ……」
なんて思って聞いてると、
『はぁ、まぁ良いわ。皆さんこんにちは、南野凛音よ。今日はお昼の時間に私の話をさせてもらうわ』
三郷先輩に変わり、凛音が話し始めた。
そして……凛音は爆弾を投下した。
『次期生徒会長と呼ばれてる桜井霧都は、私の十年来の幼馴染よ。これから彼と私の十年間の大切な思い出の話をしようと思うわ』
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