Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶

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第1章

最終話 決戦・魔獣大氾濫から王都を救え その⑥

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 最終話  その⑥




 ルーシーside  後編



「ゴブリンとオークの群れが射程距離に入ったよ!!位置情報を共有するからハイジちゃんとシェリルちゃんよろしくね!!」
「了解だよルーシー!!」
「こっちはいつでもいけるよ!!」

 遠見の魔法でゴブリンとオークの群れの動きを見ていた私は、その情報を両隣で魔法の詠唱をしていた二人に送ります。

「上級魔法 炎の槍!!」
「上級魔法 雷の嵐!!」

 ハイジちゃんとシェリルちゃんの放った上級魔法が、魔獣の群れに向かって飛んで行きました。

 そして、二人の放った魔法は寸分違わずに群れの中心で炸裂しました。

「ゴブリンとオークの群れを一つづつ撃破したよ!!残った群れも周りを警戒してるけどこっちには気が付いて無いみたい!!今がチャンスだよ!!」
「OK!!ルーシー!!」
「畳み掛けるよ!!」

 こうして私たちは遠距離からの魔法攻撃でゴブリンとオークの群れを無傷で倒していきました。

「あはは!!スタンピードって言っても大したことないんじゃない?」
「所詮はゴブリンとオークの群れが沢山来るってだけでしょ?私たちの敵じゃないよね!!」

 ハイジちゃんとシェリルちゃんに少しだけ『油断』が生まれた時でした。

 バリィッ!!!!!

「ひぃ!!??」
「な、なにぃ!!??」

 私たちの目の前に張られたお姉ちゃんの結界に、かなり強い魔法が当てられました。

「あ、あれは……まさか……ゴブリンキングとオークロード」

 結界を維持していたお姉ちゃんが、震える声で目の前を指さしました。

「う、嘘でしょ……」
「なんでこんな距離に来るまで気がつけなかったの……」

 ここから百メートル程の距離でしょうか。
 それほど離れていない場所に討伐難易度A++の高ランク魔獣。
 ゴブリンキングとオークロードがこちらに向かって敵意を顕にしていました。

「……ごめん。私のミスだ」
「ルーシー……」

 遠見の魔法の欠点です。
 遠くの景色は良く見える代わりに、近い場所の警戒が疎かになる。私は遠くの群れにばかりに気を取られて近場の敵を見落としてました。

「まさか……あの群れは囮で、本命はこの二体が王都に攻め込む事だったの?」

 お姉ちゃんのそのセリフに、ハイジちゃんとシェリルちゃんが言葉を返します。

「じゃ、じゃあ……私たちはまんまとアイツらに踊らされたってわけ!!??」
「ゆ、許せない!!あんな魔獣如きに!!」
「で、でもどうしよう……かなり近いところまで来てるよ……まともになんて戦えないよ!?」

 運が良いことに、私たちを警戒しているのかゴブリンキングとオークロードはこちらを睨みつけたまま動きがありません。

 きっと不意をついたはずの魔法が防がれたことと、やはり私たちが持ってる魔法の火力を警戒してるのだと思います。

 パンパーン!!

 とお姉ちゃんが手を叩きました。

「はい。落ち着いて」

 お姉ちゃんのその声に私たちは振り向きました。

「まず一つ目。アイツの魔法ごときで私の防御結界が破られることは絶対に無い。だから安心しなさい」
「そ、そうだよね……」

 私がそう相槌を打つと、お姉ちゃんは言葉を続けました。

「二つ目。高々A++の魔獣が出て来たくらいでオタオタしない。私たちが目指す場所はSランクよ。あんな程度の敵なんか楽勝で倒さなきゃダメよ」
「そ、そこまで言うなら何か策があるの?」

 ハイジちゃんのその言葉にお姉ちゃんは首を縦に振りました。

「三つ目。……魔法を使ったのはゴブリンキングの方ね。アイツは魔法を使った後に『溜め』を必要としてるのよ。だから今は何もしてこないの。でもその溜めの時間ももうすぐ終わるわね」
「じゃあ、今回のアイツの魔法を防いだら、その溜めの時間を利用してこっちから攻撃を仕掛けるのね?」

「そうよ。それとゴブリンキングに魔法を打つのはハイジの方ね。ゴブリンキングを撃破したらオークロードが攻めて来ると思うわ。それをシェリルの魔法で迎撃するわよ」
「弱点の属性魔法で攻め立てるんだね」
「そうよ。ゴブリンは炎属性魔法が苦手なの。そしてオークは雷属性の魔法が苦手なのよ」

 こうして私たちは作戦を立て終えると目の前に居るゴブリンキングとオークロードを睨みつけました。

 先程は絶望的だと思えましたが、今見てみれば大したことないように思えます!!

「ルーシーは探知の魔法に切り替えて!!ゴブリンキングがさっきと同じ魔法を使うとは思えないわ!!魔法を打つ瞬間にその属性と威力に合わせた結界に切り替えるわよ」
「了解だよお姉ちゃん!!」

 私は全力で探知の魔法をゴブリンキングに向けて放ちました。

 そしてわかったことがあります!!

「お姉ちゃん!!ゴブリンキングが撃とうとしてるのは超上級魔法の天雷(てんらい)だよ!!」
「わかってなかったら危なかったわね……でも、そこまで強力な魔法を使えばまともに動けなくなるわね。全力で防ぐわよ!!」

 お姉ちゃんが結界の強度を上げた瞬間でした。
 ゴブリンキングの杖から超上級魔法 天雷 が放たれました。

「同じ天雷でもリーファさんやミソラさんの方が威力は上よ!!それでも私の結界は破れないんだから、あんな魔獣ごときには負けないわよ!!」

 バリィッ!!!!!という異音と共に、結界に衝撃が走りました。ですが、お姉ちゃんの張った結界にはヒビひとつ入りません。

 そして、煙が晴れると大きく息をしているゴブリンキングの姿がありました。

「ハイジ!!チャンスよ!!」
「了解!!超上級魔法 堕ちる太陽!!」

 ハイジちゃんが放ったのは超上級魔法の堕ちる太陽。
 炎属性の最強魔法です!!

 膨大な熱量と魔力の奔流がゴブリンキングを中心に炸裂しました。
 大量の土煙が上がり、オークロードの姿が見えなくなりました。
 ですが!!その姿は私の魔法で捕捉しています!!

「シェリルちゃん!!今の隙をついてオークロードが攻めてきたよ!!位置情報を送るから迎撃だよ!!」
「待ってました!!本物の天雷を見せてあげるわよ!!」

 情報共有魔法でオークロードの位置をシェリルちゃんと共有して行きます。

 そして、オークロードが手にした棍棒を、お姉ちゃんの結界に向けて振り上げた瞬間でした。

「超上級魔法 天雷!!」

 シェリルちゃんの天雷がオークロードに落ちました。
 ゴブリンキングが放った天雷とは次元の違う威力で放たれた雷属性最強魔法は、オークロードを塵一つ残さずに消滅させました。

「……か、勝ったの」

 超上級魔法の余波の煙と熱が晴れていき、視界が開けました。

 私たちの目の前には魔獣の姿はありませんでした。

「ふぅ……何とかなったみたいね」
「良かったぁ……」
「流石にゴブリンキングとオークロードが二体並んでた時はヤバいと思ったけど倒せて良かったね……」

 安堵の息を吐くお姉ちゃんとシェリルにハイジちゃん。
 かなりの死闘でした……

「少し休憩をしたらルーシーは遠見の魔法を再開して。まだ全てのゴブリンとオークの群れを殲滅した訳じゃないわ」
「そ、そうだよね……まだ終わりじゃなかった」
「まぁでもボスは倒したからあとは消化試合でしょ?」
「そんなこと言ってるとまた強い敵が出てくるよ?もう油断はしないようにしようね」

 私たちはそんな話をして、休憩をしていきました。

 そして、休憩を終えた私たちは残っているゴブリンとオークの群れを殲滅していきました。
 私は先程の失敗を繰り返さないように、近場にも意識を向けながら遠見の魔法を使っていきました。

「これでラスト!!」

 ハイジちゃんの放った上級魔法がゴブリンの群れを殲滅しました。

「お疲れ様!!これでもう敵は居ないよ!!」

 私のその声に、ハイジちゃんとシェリルちゃんはヘロヘロになりながら言葉を返してくれました。

「終わったぁ……」
「もう初級魔法すら撃てないよ……」
「これだけ頑張ったんだから、ベルフォードさんにいっぱい褒めて貰おうね!!」

「さんせー」「いぎなーし」「リーファさんは怖いけど許してくれるよねー」

 そんな話をしながら、私たちは守りきった北の門の前で座り込みました。

 こうして私たちは担当の北の門の死守を完遂することが出来ました!!
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