Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶

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第1章

最終話 決戦・魔獣大氾濫から王都を救え その⑧

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 最終話  その⑧



 豪鬼side 後編



「剛の太刀 紅蓮流 壱の型 烈火!!」
『ぬうううううぅぅん!!!!』

 私が上段から振り下ろしたソハヤノツルギを、鬼神と名乗ったオーガは片腕で受け止めました。

 なるほど……全力の一撃を片腕で受け止められる。
 ラドクリフ氏の気持ちが理解出来ましたね。

『ただの鉄塊かと思いましたが、どうやら違うようですね。あの金属はなんでしょうか?』
「あの色味。そして硬度。恐らく『アダマンタイト』と呼ばれる金属でしょう。ですがおかしいですね。人間界には現存しない金属のハズですが……」

 私がそう呟くと、鬼神は棍棒を突き出しながら話をしました。

『これは『ある方』から譲り受けたものだ。我の全力を受け止められる武具で重宝している』
「なるほど。魔族との繋がりがあるのですね」

 この世界に現存しない金属。だが『魔界』呼ばれる場所には存在していると聞いています。

 そこには魔族と呼ばれる種族が生息して居ると言われています。

 きっと彼はその魔族からこのアダマンタイト製の棍棒を譲り受けたのでしょうね。

『至高の領域へと至りたくば王都へと向かえば良い。あの御方はそう話をしていたが、貴殿のような人間と相見えることが出来るとは、僥倖であったな』
「至高の領域……なるほど。貴方が至りたい場所が理解できました」

 私はそう言うと、ソハヤノツルギを正眼に構えて気を練りました。

「貴方の言う至高の領域。その扉を開けた部分をお見せしましょう。同じ武人として高みを目指す姿に敬意を評します」

 姿形は関係ありません。
 この鬼神と名乗るオーガは『一人の武人』です。

 ならば、その心意気に敬意を評して本気を見せましょう。

「剛の太刀 紅蓮流 秘奥義 羅刹の刻」

 私はそう呟き、人の身を超えた力を顕現させます。

『ふはははは!!!!そうか!!それが至高の領域と呼ばれるものか!!!!』
「まだこれはその入り口です。その奥地には私は至れてませんがね」

 きっとラドクリフ氏はその『奥地』に居る事でしょう。
 私や聖剣士と呼ばれるエリックさんはまだ入り口ですからね。

「では行きます。鬼神!!」
『来い!!豪鬼よ!!』

 私はそう言うとソハヤノツルギを横薙ぎに振るいます。

「剛の太刀 紅蓮流 弐の型 炎舞!!」
『ぐぅううううう!!!!』

 先程は片腕で受け止められた私の剣も、彼は両腕で受け止めでも尚その勢いを止められず、その巨体を後ろと飛ばしました。

『ショックです……あんな鉄塊を両断出来ないのは私の力不足です……』
「世界最硬の金属を両断するのはなかなか難しいですよ。刃こぼれしないことを誇りなさい、ソハヤ」
『あ、ありがとうございます!!私もっと頑張りますね!!』

 ソハヤはそう言うと、私の部屋で見た時のように満点の夜空のような刀身から、光り輝く刀身へと変化させました。

『これが私の全力です!!絶対に両断して見せます!!』
「良い子ですね。この戦闘が終わったらたっぷりと美味しいご飯をあげますよ」
『わーい!!それは楽しみです!!』

 私は彼女にそう言うと、ソハヤノツルギを横に構えました。

「鬼神……私の奥義をお見せしましょう」
『ふはははは!!!!では私も今出せる全力で貴殿を迎え撃とう!!』

 今出せる全力……少し気になる言葉ですが構いません。
 私は駆け出し一気に鬼神へと距離を詰めました。

「剛の太刀 紅蓮流 奥義!!紅炎の華!!」
『ぬおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!』

 ソハヤノツルギとアダマンタイトの棍棒がぶつかり合い、甲高い音が辺りに響きました。

 そして、ソハヤの言葉の通り。私の剣は彼の棍棒を両断し、その身体へと居たりました。

『ははは……この武具を両断するとは……流石は至高の領域へと至った男だ』

 致命傷。とも言える傷を身体に受けながらも、鬼神は笑みを浮かべながら私にそう言いました。

 ……おかしい。そんなことを言えるような状況では無いと思いますが。

『豪鬼よ。次会うときは『本体』でやり合う事にしよう。我もそれまでに至高の領域へと至っていることを約束する』

 彼はそう言うと、その巨体をばたりと後ろへと倒しました。

「……本体でやり合うことにする。どう言う意味なのでしょうか」

 私は羅刹の刻を解除した後、彼の身体へと手を伸ばしました。

「こ、これは……オーガの身体では無い……」

 オーガなら何体も倒してきました。鬼神と名乗った彼の身体はオーガのそれとはまるで違うものでした。
 むしろこれは『何者かが作り出した物』のようにも見えました。

「気を付けてください、ラドクリフ氏。これはただのスタンピードでは無いと思われますよ……」

 私は西の門へと視線を送り、そう呟きました。
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