学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第九話 ~蒼井さんとの初めてのお出掛け~ ⑧

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 第九話   ⑧



「たまたま君に生徒会の件で会いに教室に行ったら、君と黒瀬さんの……その、ことを見てしまってね。あまりそういうことは、学校では控えた方が良いと思うんだよね?」


 空さんが言ったその言葉で、俺の中の時間が止まる。

 見られてた!?
 いや、これはもしかしてらカマを掛けられてるのかも知れない!!
 山野先生に同じことをされて、墓穴を掘ったのをわすれたのか!!??

 と、とりあえず……シラを切ってみよう。

「教室のことですか?……もしかして、俺と詩織さんが共に読書をしてるシーンですかね。だとしたらそれは朱里にも話してることですし、なんならクラスメイトすら知ってることですよ?」

 内心の動揺は表に出さないようにしながら、俺は言葉を紡ぐ。
 嘘はついてない。他人から見れば、今言ったシーンだって『浮気』のように見えるだろうし。

 俺のその言葉に、空さんは小さくため息をついた。

「はぁ……僕はね、別に写真に残したりしてた訳じゃないよ?だから、キミがシラを切ると言うのならいくらでも切ればいい。でも……本当にそれでいいのかい?」

 く……これは確実に『あっちの方』を見ている。
 そして、その上で俺に聞いているんだ。

『自分から話すなら君の言い分を聞いてあげるよ?』と。

 俺は諦めて話すことにした。

「はぁ……わかりました。空さんは何が聞きたいんですか?」

 その言葉に、空さんがクスリと笑った。

「藤崎朱里と言う彼女が居るのに、君は何故黒瀬詩織とあんなことをしていたのかな?彼女のことを君は受け入れているように見えたよ?それになにか不思議な単語が聞こえてきてね。『身体』は君に上げた。とか」

 はぁ……そこまで聞こえていたのか……
『次』からは注意しないとな。
 いや、この流れも彼女の手のひらの上かな?

「そうですね。俺は詩織さんに自分の『心』以外の全てを上げました。理由としては、先日のデートで詩織さんから『彼女にして欲しい』と告白をされましたが、俺はそれを断りました。ですが、彼女には『君を俺の彼女や嫁にすることはできないけど、彼女や嫁にする全てのことをして上げる』そう言いました」
「な、なんでそんなことを言ったんだい?」

 俺は空さんの質問に嗤って答える。

「そんなの、黒瀬詩織を俺以外の男に指一本でも触れさせたくないと思ったからですよ」

「彼女の初めては全て俺が欲しい。キスも処女も誰にも渡さない。髪のひと房から爪の一欠片すら他の男には触れさせない。そう思ったからですね。ですが、自分には『最愛』の彼女の藤崎朱里がいます。俺の『心』は彼女のものです。だから黒瀬詩織にはそれ以外の全てを上げる。そう提案したんです。そして、彼女はそれを受け入れた」

「だから俺は彼女が望むなら全てのことをしてあげるつもりです。ですが、あの時は少しばかり詩織さんが『生意気』な発言をしていましたからね。おしおきをしてあげたんですよ」

 俺の言葉を聞いた空さんは、かなり驚いているようだった。

「そ、その事は藤崎さんは知ってるのかい?」
「えぇもちろんです」

 俺がそう言って首を縦に振ると、空さんは少しだけ肩を落としながら言った。

「まったく。君たちはとんでもないことをしてるんだね」
「まぁ、十人いたら十人が異常だ。と言いますよ」

 俺はコーラを一口飲んで話をする。

「空さんが好意を寄せている男はこんな男ですよ」
「……へぇ。僕が君に好意を抱いているなんて言ったかな?」

 俺の事を名前で呼んだり、デートに誘ったり、ここまでされてわからないほど俺は鈍感では無い。
 今の話だって『俺の心を縛り付けるための発言』だろう。
 だとするならば、先手を打って話を進めていくしかない。

「ライトノベルの鈍感主人公じゃあるまいし。わかりますよ」

 俺はそう言ってやれやれと手を広げる。

「そうかい。まぁ、僕は君に非常に大きな好意を持ってるよ。それこそ『悲劇のヒロイン』なんて言われて利用されても、君の役に立てて嬉しいと思ってしまうくらいには。ね」

 俺はその言葉に苦笑いを浮かべる。

「それで、空さんは何がお望みですか?もう俺には『何も』残ってませんよ?」

『心』は藤崎朱里に渡してある。
『身体』は黒瀬詩織に渡してある。

 まあ『時間』くらいかな。残ってるのは。

 この残りですら、二人の一存で如何様にでもされてしまうけど。

「ふふふ。君だってわかってるだろ、僕がまずは君から奪うのは『時間』だよ?」
「……はぁ、やっぱりそうですか」

 こうしたデートをする事。
 俺の『時間』から奪っていく。

『身体』は渡してないから俺が彼女に求められても、渡すことは出来ない。

「別に僕が見たことを誰かに言うつもりは無いよ?」
「ありがとうございます」

「だってそれをしたら、一生君を手に入れることは出来ない。そんなことはしないよ」

 空さんはそう言うとニヤリと笑った。

「また僕とデートをしてくれよ」
「良いですよ。そのくらいなら。俺も楽しかったですからね」

 俺のその言葉に、空さんは満足そうな顔をする。
 そして、彼女は俺に言ってきた。

「なぁ、悠斗くん。まずは君の『時間』から僕にくれないか?」

 はぁ……仕方ないか。
 楽しいと思ったのは事実だし。
 こんなに可愛い女の人に求められて嫌な気分になる奴なんか居ないだろ。
 まったく……俺が死んだら確実に地獄行きだな……

「良いですよ。渡しますよ。俺の『時間』を空さんに上げます」

 ただし、優先順位は藤崎朱里と黒瀬詩織が上になりますからね?

 と、失礼極まりない発言を重ねておく。

「あはは。良いよ、今はそれで」

 俺の発言にまったく嫌な顔をせず、空さんはそれを受け入れた。
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