完結)マサシのチョコレート

岩兎希 光 イワトキ ヒカル

文字の大きさ
23 / 25
狂チョコ病

それぞれの事情

しおりを挟む
それからと言うもの、明志は愚美ほどではないが、かなり仕事が出来る人材に成長していった。そして、マサシのチョコレートはグングン、ドンドン、バンバン、ジャンジャン、ガンガン、売り上げを伸ばしていったのである。
そして、木曜日の晩のことだった。その日はマサシの定休日だったので、マサシはワインチョコを食べまくって酔っ払っていた。それを見て驚いたのは愚美と明志だった。あけみはたまの休みにマサシが夏子の酒(尾瀬あきら先生の名作。本格的なお酒の物語。に影響を受け、つい自分も好きなものを作る話を書こうと、マサシのチョコレートを迷作してしまった。)を読んでお酒を口にしたくなることを知っていた。
そう、あの時もそうだったのだ…。マサシが酔っ払ったしまい、店のカウンターの上で寝てしまった時のこである。あけみは呆れて、
「なにそんなところで寝ているのよ!?」
と言うと、
「あれ?なんで僕カウンターに上げられているん?」
と寝ぼけている。仕方無しにあけみはマサシをカウンターから引きずり降ろして、寝室まで運んだのである。そして、布団のところまで辿り着いて、マサシを横にした時に、あけみはマサシに抱きしめられたのだった。
「ちょっとマサシ!」
「好きやねん…。ごめん、少しだけこうしていて。」
あけみはその時顔からマグマが出るほど恥ずかしかったが、マサシを支えてやりたかった。
「そういう台詞は素面の時に言うてよ…。」
「素面じゃ怖くて言えへん…僕、情けないな…。」
そう言ってキスをしようとする。
「ちょっと!情けないままなんて駄目よ!私の気持ちはどうなるのよ?あなたは強くなれる人よ…。」
そう言って、今度はあけみがマサシをギュッと抱きしめた。すると二人のところに睡魔がやってきて、眠たくなる呪文を唱えた。
「ネムネムラリホマブタオチグーグ~!」
そして、睡魔を含め、三人はぐっすり眠ってしまったのである。
…マサシはあの時のように。酔っ払いながら愚美や、明志に話かける。
「ほんま愚美ちゃんや哲明志君が入って来てくれて助かった…。」
すると、愚美がマサシに、
「何言っているんですか!?私はこの店に働くことが出来て感謝しているんですよ!」
明志も何か言わないとと思い、
「ぼ、僕も感謝しているんです!ここって狂チョコ病ないんですよね!僕は一人でも多くの人に安全で美味しいチョコを口にして欲しいです!」
すろと、今度はあけみが何か言わなくてはと思い、話を始めた。知ってのとうり、あけみも狂チョコ病にかかった経験者の一人だ。もしかしたら、いまだにあけみの体の中には狂チョコ病が潜んでいるのかもしれないのだが…。
「二人共ありがとう!私もこのお店にはすごくお世話になったのよ。ね!マサシ!」
そして、マサシも何か言わなくては!とは思わなかったが、
「ありがとう…なぁ~、一緒にこのチョコレート食べへん?これなぁ、昔売っていたピックルってチョコレートやねん。」
と言った。すると、あけみと愚美の二人は、
「懐かしいなぁ~!」
と言った。流石、愚美もピックルの存在を知っているようである。
明志は、なんとなくみんなが共感しあっているので、あわてて、
「な、懐かしいですね!」
と答えた。すると、あけみの携帯電話の着信がウゴ~ンと鳴って、
「あ、お父さんからだ!」
と言って、電話に出ると、電話の向こうであけみの両親の会話が聞こえてきた。
「あなた、晩御飯はまだ?」
「(ウゴ~ン!)母さん、晩御飯ならさっき食べただりょ?」
「そうだったかしら?」
「(ウゴ~ン)もしまだお腹空いているなら、あけみがピックル持って帰ってくれるからそれまで我慢するりょ~。」
「なんで、こっちの状況が筒抜けになっているのよ!」
と、あけみは言った。すると、父、拓也は
「(ウゴ~ン)母さんの所に今、マサシ君から電話がかかってきてるりょ~。」
そういわれて、マサシを見てみると、確かに電話をかけている。
「マサシ!あんた、いつのまに電話かけていたのよ!だいたいお父さんがピックルの話を知るのに時間間隔おかしいわよ!」
するとマサシが、
「なんかあけみのおばちゃんが、あけみに変態でごめんなさいって謝っといてって!」
あけみは溜息をついて、
「もう知らない!」
と言い、電話を切ったのである。
マサシも丁寧に挨拶をすませると、
「わかりました!じゃあ、ピックル2ケースですね!ソルジャー!」
と言って、電話を切ったのである。
すると、部流本・明志があけみに、
「今の駄洒落ですよね!?それじゃあとソルジャーかかっていますよね!?」
あけみは、従業員の禁止事項を言った手前、追い詰められて、
「店長は駄洒落を言ってもいいのよ!」
と言い訳をした。電話のあと、話題はピックルの話になって、昔、マサシがピックルの発売がなくなってしまって、へこんだことや、エレベーターの中であけみを迫った話になったりと、昔の話で盛り上がった。また、明志君って彼女いるの?という、いわゆるベタな質問から、狂チョコ病で死んでしまった森永ロッテの話になった。
すると、マサシは自分のことのように悩んで顔つきになって、こんな話をし始めた。「そうかぁ~そんなことがあったんやな。ほんま狂チョコ病だけは面白い…じゃなくて恐ろしい話やで、何でも今噂になっている狂チョコ患者の収容施設がいくつかあるらしいねんけどな、そこは、狂チョコ病でもとくに危険なことをしてしまう人が集められているらしいねん。んでな、そのうちの一人の患者がボンバーマンしたい!って言うて、施設の部屋すべてに爆弾仕掛けて爆発させて、クリアー出来た~って騒いでいたらしいで。」
そして今度は愚美が、
「私の知っている話は、ある中学生が痒みなんて大嫌い!って言って、手作りでムヒを五本も作ったらしいわよ。」
と話した。マサシはその話に感心したらしく。
「へぇ~!」
と納得して、話をこう続けた。
「でも悪い話じゃなくて良かった!ところで、あけみは狂チョコ病の話で知っている話はないの?」
あけみはマサシにそう話を振られたが、さほど面白い話は知らなかった。例を挙げれば、チョコを食べた子供が突然、歌いたい!と言って走り出したことや、共産党の役員が、お金を貰っているから嘘も付く!と言う旗を持ってビラを配ったとかである。他にもいくつか知ってる話はあったが、あまりパッとしない話しか知らなかった。でも、何か言わないといけない雰囲気だったので、あけみはこんな話をした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー

小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。 でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。 もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……? 表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。 全年齢作品です。 ベリーズカフェ公開日 2022/09/21 アルファポリス公開日 2025/06/19 作品の無断転載はご遠慮ください。

俺の可愛い幼馴染

SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。 ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。 連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。 感想もご自由にどうぞ。 ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...