精霊様と魔法使い~強奪チートで妖精キングダム~

くろげブタ

文字の大きさ
12 / 43

12.光合成

しおりを挟む
 サーベルキャットマンの撃退に成功した。

 しかし、俺の怪我もシャレにならないものがある。
 たかが猛獣ごときに左腕を食べられるなど。

 たかが田舎のイモ臭いモンスターと侮ったのが間違い。
 人の手の入らない辺境の地。
 文明の根付かない場所にこそ、凶悪なモンスターが巣くうもの。

 気を引き締めねばならない。
 危うく死ぬところであったのだから。
 本気でかからねばならない。
 俺は一人ではない。守るべき者があるのだから。

 それでも撃退に成功するのが、天才が天才たるゆえん。
 倒れたサーベルキャットマンからザクザク魔石を取り出し、手早くその場を離れる。

 死体から溢れる血の匂い。
 匂いを嗅ぎつけた他のモンスターが、じきにやって来る。
 当然。やって来るモンスターは、俺の手に余る猛獣ども。

 ここはいち早く村まで戻り、一度態勢を整えたい所だが……
 やっかいな事に、俺は山の奥深くまで入り込んでいた。

 獲物を探して奥まで入りすぎたのだ。
 ここまでの道中、襲われなかったのは、ただ運が良かっただけ。
 タートス村まで戻るには、猛獣の徘徊する山を抜けねばならないという。

「ギャオーン!」
「ギャルルー!」

 背後で。サーベルキャットマンの死体の辺りで音がする。
 血の匂いに引き寄せられた猛獣どもが、死体を漁っているのだろう。

 俺は手早く樹木の足元。
 藪の中へと身を潜めた。

 回収した貴族御用達服でもって血を拭いとる。

 引き裂かれた左腕。
 患部からの出血は既に止まっている。
 さすがは体力自動回復。
 これもシルフィア様のおかげ。
 そうでなければ、俺は出血多量で死んでいた。

────────────────────────────────────
名前:マサキ+シルフィア

体力:60(160)20UP
魔力:0 (25) 10UP

契約スキル
 精霊アイ  :F
 精霊ボックス:F

魔法スキル
 光魔法: F
 風魔法: E
 水魔法: E

物理スキル
 ひっかき : B
 かみつき : A
 たいあたり: A
 パンチ  : A
 体力自動回復:C

特殊スキル
 暴飲暴食
────────────────────────────────────

 大怪我からの回復で、体力のMAXが20。
 魔石の摂取で、魔力のMAXが10増えていた。

 しかし、新たなスキルは習得できていない。
 いくら手強いモンスターを退治。食しても。
 習得済みのスキルしか有していないのなら意味は無い。

 俺が食するべきは、未知のスキルを有したモンスター。
 精霊アイ。鑑定眼の熟練度が上がれば、狙って退治できるのだがな……

 現在の魔力は0で、怪我も治り切ってはいない。
 敵の包囲を脱するためにも。
 まずは、魔力の回復。体力の回復を優先する。

「うにゅ……」

 だが、シルフィア様は魔石を手にして渋い顔。

 それはそうだ。
 俺の怪我を治すため。
 その小さな身体で、すでに魔石を1個完食している。
 いくら魔力を回復させるためとはいえ、そうポンポンとは食べられない。

 魔力は時間経過でも回復する。
 およそ1日。24時間の経過で失った魔力は全回復するという。

 血の染み付いた服を再び精霊ボックスへ。
 これで血の匂いから俺を辿るのは難しくなったはずだ。
 しばらくこの藪の中でゆっくり身体を休めるとしよう。

 ちびちび魔石を舐めるシルフィア様。
 お腹がいっぱいにも関わらず、何とか魔力を回復させようとしているのだろう。

 頑張るシルフィア様を、ただ見ている事しかできないとは……
 いや。俺にも出来る事はあるはずだ。

───シルフィア様情報───

 薬草。
 森には、怪我を癒す薬効成分を有した植物が生息しています。
 食べる。患部に貼り付ける事で、小さな怪我なら即座に治療できます。
 人間の街に持ち込めば、お金に替える事も出来ますので、覚えておきなさい。

──────────────

 薬草。
 辺りに生い茂る植物のうち。
 いったいどれが薬草なのか?

 森に居た頃の俺は、治療魔法。
 光魔法が使えたため、薬草など気にする必要はなかった。

 草を食べる、草で怪我を治療するなど。
 そのような野蛮な行いは庶民に任せておけば良いと。

 だが、今の俺は庶民以下の存在。
 ただ、シルフィア様の契約と魔力で力を得ていただけの存在。
 誰もが魔力を有する中。魔力を有しない落ちこぼれ。劣等生。

 パクリ

 ならば、草を食べてでも。
 這い上がらねばならない。

 パクリ

 持たざる者が成り上がるには。
 泥水をすすってでも前へ進まねばならない。

 パクリ

 暴飲暴食。
 その副次効果として、何を食べようが決して腹下りする事はないという。

 どれが薬草か分からないなら。
 精霊アイで鑑定できないなら。
 手当たり次第に食べるだけだ。

 パクリ

────────────────────────────────────
獲得スキル 
光合成 :F(NEW)
────────────────────────────────────

 雑草を。木の葉を手あたり次第、口に放り込み続ける俺の脳内に電流が走る。

 スキルの習得。相手がモンスターじゃなくとも良いのか……
 そこにいち早く気づくとはな……やはり俺は天才でしかない。

 光合成。
 植物が光を浴びて水をどうとか二酸化炭素がこうとか。
 詳しい事は知らないが、とにかく日光を浴びると植物は成長する。

 という事は──

 俺は身を潜める藪から顔を出す。

 照り付ける太陽。
 朝方に村を出たのだから、時刻はお昼過ぎか?

 太陽が最も強い光を発する時間帯。
 山中。木々に囲まれた薄暗い中でも、十分な光が辺りに満ちていた。

────────────────────────────────────
体力:100(160)
魔力:5  (25)
────────────────────────────────────

 身体に活力がみなぎるのを感じる。
 光を浴びて、俺の体力が回復していく。
 脳内が澄み渡っていくのを感じる。
 光を浴びて、俺の魔力が回復していく。

 これが光合成。
 自然の力。大自然の驚異。
 いかに文明が、化学が発達しようとも。
 大自然の前には、カスのようなものでしかないという。

 そして今。
 俺は大自然の力。その一端を手に入れたのだ。

 モンスター。凶暴な猛獣。
 それがどうしたという?
 奴らとて自然から生まれた生物の1つにすぎない。

 対する俺は大自然そのもの。
 自然の力を自在に操る魔法使い。
 風水導師となったのだ。

 たかがモンスター如き。恐れる必要など何もない。

 いや……そんなわけがないだろう。
 体力魔力がチョビチョビ回復する程度で、どう猛獣と渡り合うのか?
 一撃で食い殺されては、おしまいである。

 危ない危ない。
 ここで調子に乗っては、先ほどの二の舞。
 天才軍師は同じ過ちを繰り返さないもの。

 とりあえず、体力魔力の全回復まで大人しくしておくとしよう。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

処理中です...