精霊様と魔法使い~強奪チートで妖精キングダム~

くろげブタ

文字の大きさ
14 / 43

14.薬草

しおりを挟む
 山での狩りを終えた俺は、冒険者たちに守られ村への帰路につく。

 まあ、モンスターを狩ったというか俺が狩られそうになったというか。
 とにかく無事だったのだから良しとしよう。

「マサキさん。もうすぐ村ですよ。頑張ってください」

 村への道中。
 冒険者4人のリーダーであるイケメン男。
 ケインは、片腕の俺を何かと気づかってくれる良い奴である事が分かった。

────────────────────────────────────
名前:ケイン
性別:男(23歳)

体力:1000
魔力:700
────────────────────────────────────

 世の中、捨てたものではない。
 まさか荒んだ異世界で、このような爽やかで礼儀正しい好青年が存在しようとは。
 やはり外見は心の中を映し出すもの。
 イケメンは心の中もイケメンだった。

 それに比べて……

「きゃは。にしても、おっさんウケルー。まともに歩けないのー?」

 パーティの紅一点。
 女性冒険者であるクレア(20歳)である。

────────────────────────────────────
名前:クレア
性別:女(20歳)

体力:600
魔力:600
────────────────────────────────────

 いきなり片腕になったのだ。
 歩くにも調子が狂うというもの。
 そんな俺の様を見てあざ笑うなど。

 派手な風貌に情け容赦ない言動。
 間違いない。こいつはビッチだ。

「怪我の影響かな? 肩を貸すよ」

 そう言って、ケインが俺の身体を支える。
 ますます惚れそうである。

「キモッ。こいつなんか顔赤くしてるよー?」

 いちいち小うるさい女だ。
 俺とケインの間を邪魔しないでもらいたい。

「いや。僕にそんな趣味ないから」

 残念……ではなくて、そのような趣味。俺にもない。

 俺がいう惚れたとは、あくまで男が男に惚れる。
 その度量に惚れたということ。

「マジでケインは優しいわ。普通はこんな奴。ポイだぜ」
「そら女にもモテるわー。かーっ。うらやましいぜ」

 どうやら冒険者の中でもケインは変わり者。
 それはそうだ。
 いつ死ぬとも知れない冒険者稼業。
 他人を、弱者を気づかう余裕はない。

 他人に関わるとするなら。
 寄生するのであれば、それは強者にのみ。
 目の前でケインに寄生する取り巻きのように。

────────────────────────────────────
名前:取り巻きA
性別:男(25歳)

体力:400
魔力:400
────────────────────────────────────

 ケインに比べれば格段に劣る能力。
 それでも、今の俺が敵う相手ではないが。

「もう。やめてくださいよ……はい。念のためこれをどうぞ」

 照れ隠しなのか、そう言ってケインは俺の口に草を突っ込んだ。

 ごふっ。何を。
 ナウでヤングな俺に草を食わせるなど……ん?

 モグモグ

 なんだこの草?
 身体に力が湧いてくるような?

「薬草ですよ。効くのは軽症だけですが気持ちだけでも……どうですか?」

────────────────────────────────────
体力:170(170)+10
魔力:30 (30)
────────────────────────────────────

 むお!?
 俺の体力が10も増えている。

 片腕を失う重症を負っても、20しか増えなかった体力が。
 薬草を1枚食するだけで10も増えるとは……

 これが薬草。
 これが暴飲暴食。
 これが俺の最強スキル。

 やはり俺は神に選ばれし男。
 最強になれと地球が囁く男。

 であれば、卑屈な演技はもう必要ない。

「ありがたい。この薬草。出来れば他にも売ってもらえないだろうか?」

「なに甘えてんのー? 欲しけりゃ店で買いなよ? つか今の1枚も払いなよ?」

 そう言って、ビッチは俺の足を蹴とばした。
 むかつくビッチだが、その言い分は正しい。

「すまない。先ほどいただいた薬草。いくらだろうか?」

「今の1枚はサービスで。その代わり、誰か困っている人がいたら助けてあげてね」

 ニッコリ笑顔で答えるケイン。惚れた。

 演技でもない。本気で言っているのだとしたら、相当なお人好し。
 そのような考えで、弱肉強食の異世界を生き抜けるのだろうか?

 世の中、良い奴ほど早く死んでいくもの。
 現に品行方正にして聖者である俺は、何度死にかけたことやら。
 俺のような天才ではない。凡人であるケイン。
 恐らく早死にするだろう。

 だが、ケインには借りが出来たのだ。
 もしもの時。俺が近くにいたなら、助けるのもやぶさかではない。

 そう考えるとケインはラッキーであった。

 俺が最強になる。その前に出会うことが出来て。
 俺の力になるという栄誉に授かることが出来て。
 俺が最強になってしまってからでは、貸しを作ることなど出来ないのだ。

「お? おっさん金あるの?」
「ほら薬草や。1枚1万ゴールドやで?」

 それに比べて、取り巻きの男2人の何と浅ましいことか。
 ケインに聞かれないよう、こっそり俺だけに話しかける所など、最高に浅ましい。

 結果。ケインの見えない所で、薬草2枚と引き換えに俺の手持ち金。
 2万ゴールドが奪い取られてしまった。

「キャハッ。薬草なんて1枚2千ゴールドなのにー。おっさん太っぱらー」

 払いたくて払ったわけではないのだがな……

 まあ。良い。
 おかげで薬草が手に入ったのだ。

 そして、この2枚の薬草が連中の命取り。
 薬草の外見が分かったのだから、後は同じ草を探して食べ尽くすだけだ。

 俺が後24枚。
 薬草を食べれば、お前たち取り巻きの体力を超える。
 その時に後悔して泣きついても、もう遅いのだということを。

「ほら。村の入口が見えてきたよ。もう大丈夫だよね」

 そのような騒ぎがあったと知らず、ケインは無邪気な笑顔で振り返る。

「かたじけない。ケイン殿。この恩義はいずれ返すゆえ」

 俺を送り終えたケインは、手を振り踵を返していた。
 村まで帰る所だと言ったのは、俺を村まで送るための方便。
 これから再度モンスターを狩りに行くのだろう。

 俺はケインを見送った後、2枚ある薬草のうち1枚を食べながら帰路につく。

────────────────────────────────────
体力:180(180)+10
魔力:30 (30)
────────────────────────────────────
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

処理中です...