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3 これなんて無理ゲー
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「あら? あなたたちどうしたの?」
ばっちりと目があった、ような気がする。目の部分はあえて黒いフィルムが貼られているが、全身タイツと同色なフルフェイス型のヘルメットを被っているせいで視点を判断する事は叶わない。だが確実に顔は俺を正面にとらえていた。
「あ、えっとー俺たち……」
怒鳴り声とは正反対の優しい声色で話しかけられ、ぎくりとからだが強張る。なんと説明しよう……相手は正義の戦隊ヒーロー(仮)だ、謀るなんてできまい。そんな俺の戸惑いに首を傾げ、しかし思うところがあったのかはっと息を吸い込み、足元で蹲りぐずってる情けない赤い男と緑の男を見た。するとどういう事だろう、先ほどの姿が嘘のようにかっこつけた雰囲気で立ち上がり、大仰に頷き返す二人。そして、何かがはじまった。
「いくぜ、オーガナイズ!」
「か行レンジャー! 傘は貸さない、カッパーレッド!」
「ま行レンジャー! 前歯をしまえば、マラカイトグリーン!」
「さ行レンジャー! 左遷にはさせん、サロメピンク!」
「ダジャレを言うのは誰じゃ、俺じゃ! 我ら放笑戦隊ダジャレンジャー!!」
しゃっきーんっとポージングをキメた三人組。これは戦隊ヒーローに必須の名乗り口上というやつだろう。さっきまで泣いてた二人のドヤァな雰囲気が解せないが、戦隊ヒーローなら市民の味方だ、俺たちはついてる。だがなんだ、あれだ……いや言うまい。
「ださい」
背後の小向が俺の気持ちを代弁してくれたが、ボソリと小さな声だったからか相手に聞こえた様子はなかった。彼らはかっこ良くキマったと喜び、お互いの肩を叩きながら褒めあっている。
「まさかこのレースに高校生も参加するなんて。危ないわ、どうして応募したの?」
「まあまあサロメピンク、まずはサインをしてあげようじゃないか」
「カッパーレッドの言うとおりだね。うん、持ってるんだろ? 我々のグッズを。出してみなさい」
「え? グッズ??」
「ん? 今のご時世我らダジャレンジャーの文房具を持っていない学生などいないだろう?」
困惑している俺に緑の男も不可思議そうに、だがことさら優しく話しかけてくる。持ってるのが当たり前と言わしめるようなグッズとかあるのか?やはり世界が違うようだ、俺たちの世界にはダジャレンジャーなんていないし、テレビの世界で作られた戦隊ヒーローものの文房具を使ってるなんて小学生くらいだろう。しかし国民的ヒーロー然として構えている相手に本当のことを言えるはずもなく、やんわりと濁して難を逃れた。しょうがないからシャツにサインをしてもらったが、俺には無価値過ぎて愛想笑いしかできない。
そもそもなんだ、か行レンジャーって。か行を冠に掲げる必要はあるのだろうか。ダジャレンジャーという名前もナンセンスだ。見るからにいい大人がなにやってんだか。ちょっと引いてしまうが、助けてくれるかもしれない貴重な人材の機嫌は損ねたくはないのでスルーする事にする。
「俺は古里哉片です。こっちは小向最中。なんでこんな事になったのかちょっと分からないんですが、俺たちはほんとにただの高校一年生です」
「あら丁寧にありがとう。私はダジャレンジャーの紅一点、サロメピンクよ」
「俺はカッパーレッド。正義に燃えるしがない男さ」
「寛大な心の持ち主、マラカイトグリーンとは俺のこと。いいよ気にしないで、今からでもサインに古里くんへって書いてあげるよ」
自己紹介もつつがなく終わり、次にすべき事は今の状況の把握だ。俺たちは事情をお互い話し合った。俺たちの事情は言わずもがな、応募した覚えはないがなぜか連れてこられてしまい、情報に乏しく立ち往生しているという事。話せば長くなりそうなので、異世界から来たかもしれないというのは省いておいた。
かわってダジャレンジャーたちの事情はこうだ。グッズ展開で正義の活動資金をやり繰りしていたが、やはり悪と戦うためには色々と消耗品費の回転がはやくて資金難からは逃げられず、このレースの賞金目当てで応募したらしい。だが、当選したのはこの三人だけ。
ダジャレンジャーは自分のカラーの頭文字の行のダジャレを具現化できる技を駆使して戦うという。カッパーレッドならか行のダジャレ、サロメピンクならさ行のダジャレ。まだはっきりとその技を見たわけじゃないからなんとも言えないが、なんか小難しそうで生返事しか返せず、最終的に得意の笑顔で誤魔化した。
「このレースはね、順位を競うのではなくてゴールまでたどり着けば賞金は確実に貰えるの。でも時間が経つごとに賞金は減っていくシステムで、タイムが重要って事」
「エエエエ! ならはやく出発しないと!」
「落ち着いて、まだ大切なこと教えてないわ。ねぇ、毎年開催されるこのレース、参加人数と帰還者の数がいつも違うの。この意味分かる?」
「えっと……棄権するやつが多い、とか?」
「まさにそう。けど思い出して、さっきの開会のあいさつで司会者が"死なない限りリタイアはできない"っていってたでしょ? これは閻魔大王主催のデス・レース。その名の通り生きるか死ぬかの、ね。恐ろしい事に、帰還者はいっつも多くてひと桁。ほとんどがゴールに辿りつけないで終わる。だからこの賞金システムなわけ」
「な、なんですとーーーー!?」
何ということだ、俺たちは正真正銘デス・レースに巻き込まれたみたいだ。オーマイガーカムバック下駄箱!俺はパニックに陥り、そう叫んでいた。
紅一点のサロメピンクが分かりやすく(若干子どもに話してるような口調なのがげせないが)説明してくれてる間、後の二人はというと。
「マラカイトグリーンよ」
「えぇえぇカッパーレッドさん、わかりますとも」
サロメピンクの背後に座り込んで顔を寄せ合い、何やらコソコソとしながらヒヒヒヒと薄気味悪い笑声をあげていた。そこに混ざって小向も座り込んでるのに二人は気づいているのだろうか?天晴なほど堂々とした盗み聞きっぷりである。
そして悪巧みのような話し合いでなにかが決まったようで、赤い男と緑の男はお互い頷き合って立ち上がった。それに混ざって立ち上がった小向ともどもこっちを見ている。
「古里くん、といったね? 君は無力で困っている、そう話してくれたね?」
「はぁ」
「我々は正義の下僕、困っている民間人を放り出せるはずがない。そうだろう?」
「そうですともカッパーレッド。我々は放笑戦隊ダジャレンジャー、名に恥じぬ者たちというのを証明してあげようじゃないか」
不穏な空気を醸す物言いに一抹の不安が拭えないが、内容的には助けてくれそうな気配がする。名前がすでに恥ずかしい……だがそんな事は口がさけても言わない。こんな所で死ぬなんてごめんだからな。このギャグ戦隊がそんな狭き門のゴールにたどり着けるかどうかなど保証はないが、無力な俺たちは藁にも縋る他生き残る術は皆無に等しいだろう。選りすぐりなどいけない、俺は媚びる事にした。
「正義の下僕な放笑戦隊ダジャレンジャーさん、お願いします! 俺たちも一緒に連れて行ってください!!」
「ふぅ……我々は困っている人の味方だと言っただろ? 大丈夫だ安心したまえ。必ずゴールまで連れて行こう!」
だから、はい。と手のひらを目の前に突き出された。地獄の沙汰も金次第って事だろうか。善良な民間人を捕まえて金を要求するなんて……さすがは金欠戦隊。だがしかしどうしよう、財布はカバンの中なので無一文だ。
「……すいません、今お財布持ってなくて」
「はぁ!? はぁぁあ!? 俺がたかってるとでも思ったんですかぁあ!? はぁあ!?」
「君は俺たちをなんだと思ってるんだ! さっき正義の下僕と言っただろう! 金欠だからってそこまで落ちぶれていない、訂正したまえ!!」
気に触ってしまったらしく、癇癪をおこしたように正義とは何たるかをまくし立てはじめた二人。いやいや勘違いもするだろう。なんの説明もなしに手のひら出されたら、話の流れ的にそうかな?って思うじゃん。だが質問もせずに決めつけてしまったのは俺の落ち度なので、二人の気が済むまで正義のあり方という講義に耳を傾けた。
結果、あの差し出された手のひらは壺を要求するものだったらしい。持ってねえよ。なんでも放笑戦隊には壺は絶対不可欠なアイテムの位置づけという。持っているのは当たり前と思っていたらしく、困ったなぁと思案していたがなんと言うことだろう、数メートル先に壺が転がっていた。それもふたつ。鳥肌がたった。
それをいそいそと持ってきてくれたマラカイトグリーンに俺と小向は両手に壺を持たされカッパーレッドの前に立たされている。
「ここから先は険しいレースが待ち受けている。そこに挑むには力が必要だ」
「君たちに力を授けよう。一時的だが、変身を解かない限り力は持続するはずだ」
「さあ唱えたまえ! 変身の呪文を!!」
変身の呪文をサロメピンクが地面に書いてくれた。後はそれを唱えるだけ。
放笑戦隊ダジャレンジャーは無力な俺たちにレースに立ち向かうため力を授けてくれるらしい。壺の底にはひと粒ずつ、なんのか分からないが、カッパーレッドがポケットから取り出した種が置かれていた。
俺と小向を入れて丁度五人。そうか、五人になるからカッパーレッドとマラカイトグリーンは元気になったのか、そうなのか。
一時的だと言うが、俺に正義の下僕など務まるのだろうか?不安は拭えない、けれどやるしかない。もうどうにでもなりやがれ!俺は腹をくくって叫んだ。
「コーディネートはこうでねぇと!!」
ばっちりと目があった、ような気がする。目の部分はあえて黒いフィルムが貼られているが、全身タイツと同色なフルフェイス型のヘルメットを被っているせいで視点を判断する事は叶わない。だが確実に顔は俺を正面にとらえていた。
「あ、えっとー俺たち……」
怒鳴り声とは正反対の優しい声色で話しかけられ、ぎくりとからだが強張る。なんと説明しよう……相手は正義の戦隊ヒーロー(仮)だ、謀るなんてできまい。そんな俺の戸惑いに首を傾げ、しかし思うところがあったのかはっと息を吸い込み、足元で蹲りぐずってる情けない赤い男と緑の男を見た。するとどういう事だろう、先ほどの姿が嘘のようにかっこつけた雰囲気で立ち上がり、大仰に頷き返す二人。そして、何かがはじまった。
「いくぜ、オーガナイズ!」
「か行レンジャー! 傘は貸さない、カッパーレッド!」
「ま行レンジャー! 前歯をしまえば、マラカイトグリーン!」
「さ行レンジャー! 左遷にはさせん、サロメピンク!」
「ダジャレを言うのは誰じゃ、俺じゃ! 我ら放笑戦隊ダジャレンジャー!!」
しゃっきーんっとポージングをキメた三人組。これは戦隊ヒーローに必須の名乗り口上というやつだろう。さっきまで泣いてた二人のドヤァな雰囲気が解せないが、戦隊ヒーローなら市民の味方だ、俺たちはついてる。だがなんだ、あれだ……いや言うまい。
「ださい」
背後の小向が俺の気持ちを代弁してくれたが、ボソリと小さな声だったからか相手に聞こえた様子はなかった。彼らはかっこ良くキマったと喜び、お互いの肩を叩きながら褒めあっている。
「まさかこのレースに高校生も参加するなんて。危ないわ、どうして応募したの?」
「まあまあサロメピンク、まずはサインをしてあげようじゃないか」
「カッパーレッドの言うとおりだね。うん、持ってるんだろ? 我々のグッズを。出してみなさい」
「え? グッズ??」
「ん? 今のご時世我らダジャレンジャーの文房具を持っていない学生などいないだろう?」
困惑している俺に緑の男も不可思議そうに、だがことさら優しく話しかけてくる。持ってるのが当たり前と言わしめるようなグッズとかあるのか?やはり世界が違うようだ、俺たちの世界にはダジャレンジャーなんていないし、テレビの世界で作られた戦隊ヒーローものの文房具を使ってるなんて小学生くらいだろう。しかし国民的ヒーロー然として構えている相手に本当のことを言えるはずもなく、やんわりと濁して難を逃れた。しょうがないからシャツにサインをしてもらったが、俺には無価値過ぎて愛想笑いしかできない。
そもそもなんだ、か行レンジャーって。か行を冠に掲げる必要はあるのだろうか。ダジャレンジャーという名前もナンセンスだ。見るからにいい大人がなにやってんだか。ちょっと引いてしまうが、助けてくれるかもしれない貴重な人材の機嫌は損ねたくはないのでスルーする事にする。
「俺は古里哉片です。こっちは小向最中。なんでこんな事になったのかちょっと分からないんですが、俺たちはほんとにただの高校一年生です」
「あら丁寧にありがとう。私はダジャレンジャーの紅一点、サロメピンクよ」
「俺はカッパーレッド。正義に燃えるしがない男さ」
「寛大な心の持ち主、マラカイトグリーンとは俺のこと。いいよ気にしないで、今からでもサインに古里くんへって書いてあげるよ」
自己紹介もつつがなく終わり、次にすべき事は今の状況の把握だ。俺たちは事情をお互い話し合った。俺たちの事情は言わずもがな、応募した覚えはないがなぜか連れてこられてしまい、情報に乏しく立ち往生しているという事。話せば長くなりそうなので、異世界から来たかもしれないというのは省いておいた。
かわってダジャレンジャーたちの事情はこうだ。グッズ展開で正義の活動資金をやり繰りしていたが、やはり悪と戦うためには色々と消耗品費の回転がはやくて資金難からは逃げられず、このレースの賞金目当てで応募したらしい。だが、当選したのはこの三人だけ。
ダジャレンジャーは自分のカラーの頭文字の行のダジャレを具現化できる技を駆使して戦うという。カッパーレッドならか行のダジャレ、サロメピンクならさ行のダジャレ。まだはっきりとその技を見たわけじゃないからなんとも言えないが、なんか小難しそうで生返事しか返せず、最終的に得意の笑顔で誤魔化した。
「このレースはね、順位を競うのではなくてゴールまでたどり着けば賞金は確実に貰えるの。でも時間が経つごとに賞金は減っていくシステムで、タイムが重要って事」
「エエエエ! ならはやく出発しないと!」
「落ち着いて、まだ大切なこと教えてないわ。ねぇ、毎年開催されるこのレース、参加人数と帰還者の数がいつも違うの。この意味分かる?」
「えっと……棄権するやつが多い、とか?」
「まさにそう。けど思い出して、さっきの開会のあいさつで司会者が"死なない限りリタイアはできない"っていってたでしょ? これは閻魔大王主催のデス・レース。その名の通り生きるか死ぬかの、ね。恐ろしい事に、帰還者はいっつも多くてひと桁。ほとんどがゴールに辿りつけないで終わる。だからこの賞金システムなわけ」
「な、なんですとーーーー!?」
何ということだ、俺たちは正真正銘デス・レースに巻き込まれたみたいだ。オーマイガーカムバック下駄箱!俺はパニックに陥り、そう叫んでいた。
紅一点のサロメピンクが分かりやすく(若干子どもに話してるような口調なのがげせないが)説明してくれてる間、後の二人はというと。
「マラカイトグリーンよ」
「えぇえぇカッパーレッドさん、わかりますとも」
サロメピンクの背後に座り込んで顔を寄せ合い、何やらコソコソとしながらヒヒヒヒと薄気味悪い笑声をあげていた。そこに混ざって小向も座り込んでるのに二人は気づいているのだろうか?天晴なほど堂々とした盗み聞きっぷりである。
そして悪巧みのような話し合いでなにかが決まったようで、赤い男と緑の男はお互い頷き合って立ち上がった。それに混ざって立ち上がった小向ともどもこっちを見ている。
「古里くん、といったね? 君は無力で困っている、そう話してくれたね?」
「はぁ」
「我々は正義の下僕、困っている民間人を放り出せるはずがない。そうだろう?」
「そうですともカッパーレッド。我々は放笑戦隊ダジャレンジャー、名に恥じぬ者たちというのを証明してあげようじゃないか」
不穏な空気を醸す物言いに一抹の不安が拭えないが、内容的には助けてくれそうな気配がする。名前がすでに恥ずかしい……だがそんな事は口がさけても言わない。こんな所で死ぬなんてごめんだからな。このギャグ戦隊がそんな狭き門のゴールにたどり着けるかどうかなど保証はないが、無力な俺たちは藁にも縋る他生き残る術は皆無に等しいだろう。選りすぐりなどいけない、俺は媚びる事にした。
「正義の下僕な放笑戦隊ダジャレンジャーさん、お願いします! 俺たちも一緒に連れて行ってください!!」
「ふぅ……我々は困っている人の味方だと言っただろ? 大丈夫だ安心したまえ。必ずゴールまで連れて行こう!」
だから、はい。と手のひらを目の前に突き出された。地獄の沙汰も金次第って事だろうか。善良な民間人を捕まえて金を要求するなんて……さすがは金欠戦隊。だがしかしどうしよう、財布はカバンの中なので無一文だ。
「……すいません、今お財布持ってなくて」
「はぁ!? はぁぁあ!? 俺がたかってるとでも思ったんですかぁあ!? はぁあ!?」
「君は俺たちをなんだと思ってるんだ! さっき正義の下僕と言っただろう! 金欠だからってそこまで落ちぶれていない、訂正したまえ!!」
気に触ってしまったらしく、癇癪をおこしたように正義とは何たるかをまくし立てはじめた二人。いやいや勘違いもするだろう。なんの説明もなしに手のひら出されたら、話の流れ的にそうかな?って思うじゃん。だが質問もせずに決めつけてしまったのは俺の落ち度なので、二人の気が済むまで正義のあり方という講義に耳を傾けた。
結果、あの差し出された手のひらは壺を要求するものだったらしい。持ってねえよ。なんでも放笑戦隊には壺は絶対不可欠なアイテムの位置づけという。持っているのは当たり前と思っていたらしく、困ったなぁと思案していたがなんと言うことだろう、数メートル先に壺が転がっていた。それもふたつ。鳥肌がたった。
それをいそいそと持ってきてくれたマラカイトグリーンに俺と小向は両手に壺を持たされカッパーレッドの前に立たされている。
「ここから先は険しいレースが待ち受けている。そこに挑むには力が必要だ」
「君たちに力を授けよう。一時的だが、変身を解かない限り力は持続するはずだ」
「さあ唱えたまえ! 変身の呪文を!!」
変身の呪文をサロメピンクが地面に書いてくれた。後はそれを唱えるだけ。
放笑戦隊ダジャレンジャーは無力な俺たちにレースに立ち向かうため力を授けてくれるらしい。壺の底にはひと粒ずつ、なんのか分からないが、カッパーレッドがポケットから取り出した種が置かれていた。
俺と小向を入れて丁度五人。そうか、五人になるからカッパーレッドとマラカイトグリーンは元気になったのか、そうなのか。
一時的だと言うが、俺に正義の下僕など務まるのだろうか?不安は拭えない、けれどやるしかない。もうどうにでもなりやがれ!俺は腹をくくって叫んだ。
「コーディネートはこうでねぇと!!」
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