赤毛姫よ、逃亡せよ!

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お城時代

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アイツがやっていたゲームに似ていた世界に生まれ変わって俺は退屈していた。両親からの惜しみない愛、容姿、権力、全てを生まれながらに持っていたが、アイツのいない世界ではゴミと同じだった。

アイツの体温

匂い

絶望に歪んだ表情

全てを鮮明に思い出せるのにアイツはいない。
いない。

いない。



いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。いない。





「うええええええん!」

もの思いに耽っていたらいつのまにか後宮にいたようだ。遠くに側室とその子供だろう姫の姿が見える。女の子は転んでしまったようで地面に蹲っている。母親はそんな子供に「痛かったわね」と慰めていた。

「さぁ、クラリス。頑張って」
「・・・はい。おかあさま」
「・・・・・!?」

涙を溜めながら立ち上がった女の子の顔が見えた瞬間、俺は息を飲んだ。

心音っ・・・!!

それは、俺が望んで止まないアイツだった。黒髪に緑の目の子供でパッと見は別人だが俺にはわかる。アイツは心音だ。俺にはわかる。俺と同じようにアイツも生まれ変わって来たんだ。俺のために・・・。

俺の心音。
俺だけの・・・心音。

俺はその朗らかに過ごす親子に近づいた。側室は俺に気づき顔を強張らせた。その彼女の緊張を解くために俺は柔和な笑みを浮かべると言った。

「ウェイクの側室の方とお見受けします。初めまして、私は・・・」

長い髪を耳にかけ、俺は心音と同じ目の色を細めた。



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