不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第四章 波乱の学園生活

79 問題点発覚

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陛下は、目を閉じで何か探っているようだった。

「どうだ?」

ジェン公の言葉に陛下は、首を横に振る。

「ラスティの神力が回復してからでないと無理そうだな。魔石を割った時にかなり持っていかれている。コントロールができていないから過剰に使ったんだろう。」

普通は魔石がはじけ飛ぶことは無いからねと陛下は、苦笑した。
陛下の手から暖かい何かが、流れ込んでくる感覚がする。

「あれは…できれば心臓に近いところに置いた方が効果があるから。少し抑えているから位置を変えてやってくれ。」

陛下は何かを見ながら、ジェン公に言う。
そういえば、ブレスレットは…と思ってジークを見る。
ジークハルトの僕を握っている反対側の手にしっかりと握っているのが見えた。
陛下は、ハンカチを取り出すと器用に片手で、ジークハルトの手からブレスレットをとる。
ブレスレットをジークハルトから放す間は陛下が、ジークハルトを神力で守るつもりのようだ。
先ほどから感じている暖かさは陛下がジークハルト回復力を補助している神力なのだろう。

「あまり長い時間は、やっぱり無理そうだな。」

そういう陛下から、ジェン公がハンカチと一緒にブレスレットを受け取った。
ジェン公は、ブレスレットをハンカチでまとめて包むと、ジークの胸ポケットに入れた。
陛下は息をほっと息を吐く。
暖かい力を感じなくなった。

「しっかり機能していてよかったよ。後遺症の痛みとかを緩和してくれているはずだ。」

数日、僕達を学園を休ませる申請をバルハルト公に出すように陛下は頼んだ。

「ジークの治療は、明日の朝行うよ。ラスティの神力が戻ってからだ。ジェン、悪いけど今日は奥の間にジークと一緒に泊ってくれ。バルは…他の子が心配だから…屋敷に帰って朝、来い。」

バルハルト公は、すまんなと陛下に頭を下げる。

「なに?」

陛下は、そんなバルハルト公に首を傾げた。

「無理をさせる。」

陛下は、少し眉を下げた。

「いや…私の力が及ばなくてすまない。」

僕は眠っているジークハルトを覗き込みながらバルハルト公に聞く。

「ジークハルト…目を覚ましますか?」

バルハルト公が、もちろんだとも、と笑いながら僕の頭をグリグリと撫でた。

「回復の眠りに入っているんだ。失った力は体力や魔力、神力もだが寝ている間は回復される量が増える。王家の毒は特製でな。毒の影響で変化したものが、体の組織を壊していくんだ。今は毒がなくなって速度も落ち着いているようだし、魔石の効果である程度防げている…今のジークは回復の眠りを行うことによって、辛うじて均等を保っているということだろう。」

変化したもの…細胞だろうか?を修復する…もしくはジークハルトの回復力を活性化させれば毒で変化した細胞?に打ち勝てる的な考えでいいのかなとぼんやりと思う。
ジェン公が、しかしだ…と首をかしげた。

「ラスティはまだ神力を使って何かするという事は出来ないだろう。どうする気だ?」

陛下は、うん?と首を傾げた。

「ラスティには私の紋章があるから、それを利用して私が制御すればいいかと思ったんだが?」

ジェン公が、うーんと眉をよせる。

「無理だったか?」

不思議そうに首をかしげる陛下に、バルハルト公も眉を寄せた。

「出来んことは無いだろうが…紋章は…なぁ…。」

バルハルト公の言葉にジェン公が頷いた。

「そうだよな…こればっかりは…ディオは知らないものなぁ。それなら治療中は私は遠慮するぞ。ラスティが可哀そうだ。…たぶん。」

陛下は首をかしげた。

「うん?もしかして痛いとか?」

バルハルト公は首を横に振った。

「逆だな。」

陛下は、逆…といって少し考えて眉を寄せた。

「問題だな。」

ジェン公は頷いた。

「問題だろう。」

痛いの逆はなんだろうと僕は考えていた。
痛くない。
それなら別に問題ないだろう。
そもそも、紋章は子供を作る体に変化するものだと聞いている。
ということは、僕は子供を作れるようになるということだろうか?

そこまで考えてゲームの知識が出てきた。
というか…あれか?きもちよくなっちゃうってやつか???
えっちぃ方面に。

妹がそんなことをいってた気がする。
まともに聞いていなかったのを後悔した。
いや…いっそのこと知らない方が良かっただろうか。

考え込んでいる三人を再度見る。
バルハルト公とジェン公は、パートナー同士でお互いの子供を産んでいる。
陛下は、子供は産んでないので紋章の効果を実感はない。
だから二人は、陛下は知らないというのだろう。

ちょっとどころではなく嫌なんだが。
でもジークハルトは助けたい。
どうしたものかと眉を寄せていると陛下が、まぁ…良いかと小さく呟いた。

良くないぞ!!
良くないけど!!!
ジークハルトのためだものな…。

「たぶん…多少だと思うし。」

そういうのに使うわけではないしと陛下は、少し自信なさそうに言う。
ジェン公が、うーんと唸る。

「まぁ…ラスティまだ子供だから…効果は弱い…。」

バルハルト公は、……血行が良くなる程度の…はず…だよなぁと自信なさそうに言った。
ジェン公は、少しでもラスティ自身に制御させれば問題ない…はず…とつぶやいた。
陛下が、そうだなと頷く。

「とりあえず…ラスティ…一夜漬けだけど少しでも制御を覚えよう。」

陛下とジェン公に言われて僕はうんうんと何度も頷いた。


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