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第六章 運命の一年間
167 眠る王子(仮)
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目を開けると、陛下の頭が見えた。
どうやら椅子に座ったままベットに頭を置いて眠ってしまっていたようだ。
僕は、ゆっくりと体を起こそうとして陛下とは逆の方向に気配を感じて寝たまま横を見る。
そこには綺麗な金髪を持った美青年が眠っていた。
顔は何となくたぶん、陛下と僕の間くらいの感覚。
僕程童顔ではないけども、陛下を少し幼くした感じ。
幼い雰囲気だけど、僕よりは全体的にシャープなイメージ。
若干神秘的すらある。
僕はこの気配を知っている。
「…え?もしかして…『俺』??人になったの???」
すぅすぅと両方からの寝息に多少混乱しつつ二人を見る。
陛下がここまで寝ているのは珍しい。
かなり疲れているのに椅子で寝ているからだろう。
ゆっくりと二人を起こさないように体を起こすと『俺』っぽい気配の子の向こう側に陛下と同じように椅子に座ってベットに頭を置いたジークがいた。
こちらも爆睡している。
僕が起きたことにちょうど部屋に入ってきたノルンが気が付き微笑んで人差し指を唇に当てる。
頷く僕の傍に来ると、小さな声でノルンはおはようございますと微笑んだ。
「陛下もジーク様も…ずっと看病すると言って執務をしてはここでお二人のお世話をしていたのですよ?」
僕が地下に落ちてから、帰還してすでに二日経っているのだという。
穴に落ちてからは三日ほどらしい。
僕は気絶していてまったく覚えていないけれど。
ノルンは、詳しくは陛下から聞いてくださいねと笑っていた。
「簡単に説明しますと…地下であの子に人の姿を与えられるくらいの魔石を見つけたそうなのです。陛下がそれであの子の魂の姿に変えたのだという事ですけれど…その時に陛下は髪を使われたみたいで…。」
僕は、え??と陛下を見る。
確かに髪が短くなっている。
僕は、眉を寄せた。
「そんな…」
僕は『俺』の気持ちを知っている。
だから、複雑な気持ちになった。
『俺』は、陛下のことが好きなのに。
髪を与えるという事は陛下の魔力を身の内に持つという事。
それでは、『俺』は陛下にとって近しい存在になってしまう。
子供のような存在になるという事だ。
恋愛対象としては陛下が『俺』を受け入れることは無いという事でもある。
陛下は、たぶん善意でしたのだと思う。
『俺』の気持ちも知らなかったのだと思う。
だから、『俺』を使い魔ではなく息子という位置にしたのだろうけれど。
『俺』は陛下に肉親としての愛情を注がれるだろうけども。
陛下は愛情深い人だ。
『俺』に髪を与えたという事は、陛下は『俺』を親族…おそらく息子として可愛がってくれるだろう。
けれど…『俺』の気持ちはどうなるのだろう。
別に陛下と『俺』が上手く行けばいいなんて思っていないけど…。
僕そっくりの『俺』を陛下が受け入れない。
それは、結局僕も陛下にとっては妻ではなく息子ということなのだろうか。
ノルンは、僕の様子を見て首を傾げた。
軽いノックがしてマールが顔をのぞかせる。
僕が起きているのを見て笑顔を向けてくれたが、他の皆が眠っているので黙ったまま何かを抱いて入ってきた。
マールは、大きなディフォルメされた子竜のような動物を抱いていた。
微妙に懐かしく感じるのは何故だろうと僕は首を傾げた。
同じように子竜も首をかしげる。
『おお、起きたのか、こうやって生身で起きているそなたに会うのは初めてだな、大きくなるものだ。王子…といっても覚えていないか…そなたは、ちょくちょく主の骸に来ては主と一緒に眠っておったのだが。今は王子ではなかったな…王妃と呼ぶべきか?』
しゃべる子竜に普通に驚いているのは僕だけか?
周りを見るがノルンもマールも平気らしい。
とりあえず、誰も説明してくれないがどうなっていrんだろう。
『だが…主はまだ起きぬか…』
しょんぼりとする子竜に首をかしげる。
マールが、彼の侍従だそうですと苦笑した。
「…『俺』の?…どうなってるの??」
マールは少し困って陛下を見た。
陛下は眠っている。
陛下に聞けという事なのだろう。
しかし、違和感を感じた。
「……陛下がここまで起きないのっておかしくない?」
僕の言葉にノルンとマールも苦笑した。
『まぁ…主の所為だな…王族の血筋は主の影響を受けやすい。主が回復の眠りに入っているからそれにつられてしまっているのだろう。完全に疲れが取れるまでは危険でも降りかからねば強制的に睡眠をとらされる。回復も早く疲労もきれいにとれるが、一度寝ると命の危険でもない限り目覚めない。騎士と魔術師も丸一日眠ってしまって青くなって近寄らなくなった。』
王と騎士王子は疲れ切っているからと騎士と魔術師に強引にここに設置されているがなと子竜は笑う。
「この子がここまで王家の血筋に影響が出るとは思いませんでした…。」
ノルンとマールの引きつった表情に、僕は首をかしげる。
『まぁ…特にあちらの騎士王子には…この眠りは必要だがな…』
竜は、少し困ったようなため息をつきつつつぶやいた。
「まぁ…王の番よ。そなたがこれから一番大変なのだから。王が起きるまでは怠惰に過ごせ。」
よくわからないが、とにかく陛下が起きるまでは説明はないと思ったらいいのだろう。
僕は、子竜に頷きつつ、ただ首を傾げた。
どうやら椅子に座ったままベットに頭を置いて眠ってしまっていたようだ。
僕は、ゆっくりと体を起こそうとして陛下とは逆の方向に気配を感じて寝たまま横を見る。
そこには綺麗な金髪を持った美青年が眠っていた。
顔は何となくたぶん、陛下と僕の間くらいの感覚。
僕程童顔ではないけども、陛下を少し幼くした感じ。
幼い雰囲気だけど、僕よりは全体的にシャープなイメージ。
若干神秘的すらある。
僕はこの気配を知っている。
「…え?もしかして…『俺』??人になったの???」
すぅすぅと両方からの寝息に多少混乱しつつ二人を見る。
陛下がここまで寝ているのは珍しい。
かなり疲れているのに椅子で寝ているからだろう。
ゆっくりと二人を起こさないように体を起こすと『俺』っぽい気配の子の向こう側に陛下と同じように椅子に座ってベットに頭を置いたジークがいた。
こちらも爆睡している。
僕が起きたことにちょうど部屋に入ってきたノルンが気が付き微笑んで人差し指を唇に当てる。
頷く僕の傍に来ると、小さな声でノルンはおはようございますと微笑んだ。
「陛下もジーク様も…ずっと看病すると言って執務をしてはここでお二人のお世話をしていたのですよ?」
僕が地下に落ちてから、帰還してすでに二日経っているのだという。
穴に落ちてからは三日ほどらしい。
僕は気絶していてまったく覚えていないけれど。
ノルンは、詳しくは陛下から聞いてくださいねと笑っていた。
「簡単に説明しますと…地下であの子に人の姿を与えられるくらいの魔石を見つけたそうなのです。陛下がそれであの子の魂の姿に変えたのだという事ですけれど…その時に陛下は髪を使われたみたいで…。」
僕は、え??と陛下を見る。
確かに髪が短くなっている。
僕は、眉を寄せた。
「そんな…」
僕は『俺』の気持ちを知っている。
だから、複雑な気持ちになった。
『俺』は、陛下のことが好きなのに。
髪を与えるという事は陛下の魔力を身の内に持つという事。
それでは、『俺』は陛下にとって近しい存在になってしまう。
子供のような存在になるという事だ。
恋愛対象としては陛下が『俺』を受け入れることは無いという事でもある。
陛下は、たぶん善意でしたのだと思う。
『俺』の気持ちも知らなかったのだと思う。
だから、『俺』を使い魔ではなく息子という位置にしたのだろうけれど。
『俺』は陛下に肉親としての愛情を注がれるだろうけども。
陛下は愛情深い人だ。
『俺』に髪を与えたという事は、陛下は『俺』を親族…おそらく息子として可愛がってくれるだろう。
けれど…『俺』の気持ちはどうなるのだろう。
別に陛下と『俺』が上手く行けばいいなんて思っていないけど…。
僕そっくりの『俺』を陛下が受け入れない。
それは、結局僕も陛下にとっては妻ではなく息子ということなのだろうか。
ノルンは、僕の様子を見て首を傾げた。
軽いノックがしてマールが顔をのぞかせる。
僕が起きているのを見て笑顔を向けてくれたが、他の皆が眠っているので黙ったまま何かを抱いて入ってきた。
マールは、大きなディフォルメされた子竜のような動物を抱いていた。
微妙に懐かしく感じるのは何故だろうと僕は首を傾げた。
同じように子竜も首をかしげる。
『おお、起きたのか、こうやって生身で起きているそなたに会うのは初めてだな、大きくなるものだ。王子…といっても覚えていないか…そなたは、ちょくちょく主の骸に来ては主と一緒に眠っておったのだが。今は王子ではなかったな…王妃と呼ぶべきか?』
しゃべる子竜に普通に驚いているのは僕だけか?
周りを見るがノルンもマールも平気らしい。
とりあえず、誰も説明してくれないがどうなっていrんだろう。
『だが…主はまだ起きぬか…』
しょんぼりとする子竜に首をかしげる。
マールが、彼の侍従だそうですと苦笑した。
「…『俺』の?…どうなってるの??」
マールは少し困って陛下を見た。
陛下は眠っている。
陛下に聞けという事なのだろう。
しかし、違和感を感じた。
「……陛下がここまで起きないのっておかしくない?」
僕の言葉にノルンとマールも苦笑した。
『まぁ…主の所為だな…王族の血筋は主の影響を受けやすい。主が回復の眠りに入っているからそれにつられてしまっているのだろう。完全に疲れが取れるまでは危険でも降りかからねば強制的に睡眠をとらされる。回復も早く疲労もきれいにとれるが、一度寝ると命の危険でもない限り目覚めない。騎士と魔術師も丸一日眠ってしまって青くなって近寄らなくなった。』
王と騎士王子は疲れ切っているからと騎士と魔術師に強引にここに設置されているがなと子竜は笑う。
「この子がここまで王家の血筋に影響が出るとは思いませんでした…。」
ノルンとマールの引きつった表情に、僕は首をかしげる。
『まぁ…特にあちらの騎士王子には…この眠りは必要だがな…』
竜は、少し困ったようなため息をつきつつつぶやいた。
「まぁ…王の番よ。そなたがこれから一番大変なのだから。王が起きるまでは怠惰に過ごせ。」
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