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第六章 運命の一年間
172 縁の罠
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眠る三人を眺めながら僕はのんびりと過ごしていた。
ノルンとマールも奥の間の掃除などを終わらせて、部屋で紅茶の用意をしてくれている。
今日のお菓子は甘さ控えめのクッキーの様だ。
ロイスが居るからだろう。
ノルンは、ジークハルトとロイスの好みを良く知っている。
執務は陛下が起きたらすぐに終わった。
書類の処理能力もどうなっているのだよと思うほど陛下の仕事は、はやい。
僕は、本を読みながら緩やかな時間に浸っていた。
ジークハルトもロイスもアスも目覚めない。
アスの目覚めはもう少し先になると子竜は寂しそうにしている。
僕自身は、正直、話について言っていない。
アスの正体が、コロコロ変わってよくわからない。
ただ、子竜のいう事が嘘でないという事はわかる。
だからこの子竜の言う、主というのがアスの正体なのだろう。
まぁ、アスが何でも結局アスだ。
起きたら色々教えないとならないらしい。
僕は、しばらくアスの教育係だねと陛下に笑われた。
ふと子竜が顔を上げた。
『動いたな…王の番…主を抱えて部屋から逃げろ!!』
子竜の言葉に首を傾げつつもアスを抱える。
アスは、僕より身長は高いが華奢だ。
少し身体強化の魔法を自分にかければ軽く抱えれる。
ノルンとマールも駆け寄ってきて、ジークハルトとロイスに駆け寄ろうとしたがそれを子竜は止めた。
『その二人には近づいてはならぬ!!そなたらは影響が無いようだな…主と王の番をつれて離れろ!!』
子竜は僕たちを庇うように、二人から距離を取らすと僕たちを二人から守るように小さな体を少しでも大きく見せようとしているのか小さな翼を広げて唸っている。
「竜様?」
マールは、子竜を見て少し考えたが、子竜の言葉を聞いてもジークハルトとロイスの傍に行こうとするノルンを促してアスを抱える僕を助けて扉の方へと向かう。
扉を開けようとした時、むくりとジークハルトとロイスが目を覚ました。
「あ…何?どうしたんだ?ラスティ…」
ジークハルトが扉から出ようとしている僕たちを見た。
ぞくりと背筋に何かが走る。
ジークハルトは、立ち上がると僕を見る。
そして、いつものようにジークハルトは僕に手を伸ばした。
「おはよう…お腹すいてないかい?一緒に行こうか…」
ジークハルトは、僕に近づくが子竜が生み出した結界に気がついて足を止めた。
ロイスも起き上がってジークハルトの横に並ぶ。
「何遊んでるの?ほら…おいで?」
ジークハルトは、優しく微笑むと僕に手を差し伸べる。
僕はその手を取れなかった。
何かわからない。
どうして急にそうなったのか。
だが目の前のジークハルトとロイスは、何か変わっている。
それだけは感じた。
「ジーク、ラスティ様が困っている。何かしたのか?仕方のない奴だな…」
なら、俺がエスコートしますよとロイスが僕に手を差し伸べる。
僕は後ずさりしながらその手から逃げる。
背中には扉だ。
マールとノルンが、扉をいつでも開けれるように構えている。
2人もおかしいとっ感じているのだろう。
ジークハルトとロイスは、子竜の少し前で立っている。
それ以上は近寄れないようだ。
おそらくは、僕達を守るように二人を威嚇している子竜の力なのだろう。
子竜は嘘をつかない。
そして嘘を看破する。
その子竜が僕らを守るためにジークハルトとロイスの前に立っていた。
その子竜が僕らを守るために展開している力。
その力を通してみているからだろうか。
ジークハルトとロイスは、光輝く…でも冷たい炎に包まれていた。
「あれは…何…」
僕が思わずつぶやいた声は、震えていた。
あの炎に逆らってはダメだと心の底が震えているのだ。
怖い…怖い…体がガタガタと震える。
それは、ノルンとマールも同じなのだろう。
扉に手をかけたまま固まってしまっている。
子竜は勇ましく僕らの前に立ち二人を威嚇している。
『逃げろ!!王の番。王の元まで。あれらは今正気ではない。だが…あれらはあの状態でも抗っているから襲ってこないのだ。あの場に立ち止まっているのはあれらの抵抗。おそらくは…聖者との縁を使ってあれらを操っているのだ…聖者もあやつの手に落ちた!!声が届いたからな…聖者の悲痛な叫びだ!!…騎士王子とあの騎士は、王でもなければ手に負えない…我が時間稼ぎを出来るうちに行け!!』
子竜の体は青白い淡い光に、包まれた。
2人の光が、子竜が放つ光に押され少し薄まる。
ジークハルトとロイスが子竜の放つ光に触れ少し顔をゆがめる。
僕の体が動いた。
僕はノルンとマールと見る。
2人は、頷きアスを抱えて僕に手を伸ばした。
「行きましょう!!」
2人と共に行こうとして足が止まる。
ダメだと何かが頭の中に警告する。
このまま行ってはダメだ。捕まる…。
そう声が頭に響いた。
僕は、唇を噛みしめる。
「ダメだ…たぶん…あの二人よりもっとリオンに操られている…縁があるものが王宮には多い…あの子竜がいない状態では陛下の所に行くのは無理だ…その前に捕まる…子竜…他に手はないか!!あの二人を正気に戻す方法は!」
子竜は、唸る。
『ならば…主を起こせ!!主ならば、我より強い安寧の力がある。騎士はわからぬが…騎士王子は王の番とも縁がある…主が命じれば、陽の欠片の命令をのけることができるかもしれぬ。』
すやすやと眠っているアスを見る。
少し心が痛んだが、僕はアスの耳を引っ張った。
「起きて!!アス!!!」
僕の声に瞼が震えた。
「起きてください!!アス様!!」
マールも僕と一緒に声をかける。
ノルンは、無言で扉を抑えている。
それは、僕らを逃がさまいとしているのか、外から他の者が入ってくるのを防ごうとしているのか区別はつかない。
けれども彼を信じたいと思う。
リオンの縁が良くわからないが、二人は僕の方が縁が深いと信じたいところだ。
子竜はロイスは無理かもと言っていた。
ならばジークハルトを取り戻せればロイスは抑えれるだろう。
「…アス!!!」
ふぅ…と息の吐き方が変わる。
アスがゆっくりと目を開く。
始めてみた彼の瞳は、舐めたら甘そうな濃い琥珀色。
金の色というよりは、蜂蜜のような濃い黄金色のような…琥珀色だった。
「ん…?」
アスはぎこちなく、立とうとしてぺしゃりと座り込んだ。
「う?」
首をかしげて困っているアスに僕は首をかしげる。
「え…もしかして歩けない…とかしゃべれないとか…」
起きたら教育してねと陛下が言っていたのはこのことなのだろうか。
「ラスティ様!アスは…アス様は自分の体が無かったっから…今まではラスティ様の体をラスティ様の経験を利用して動かしていただけなんです…だから…今のアスは…赤ちゃんみたいな感じになるだろうって…陛下が…」
僕は、えええ~と叫びながらアスを支える。
「えっと…これって詰んだっていうこと???」
この状態のアスに何か出来ると思えない。
僕は、唇を噛みしめながらジークハルトとロイスを睨んだ。
ノルンとマールも奥の間の掃除などを終わらせて、部屋で紅茶の用意をしてくれている。
今日のお菓子は甘さ控えめのクッキーの様だ。
ロイスが居るからだろう。
ノルンは、ジークハルトとロイスの好みを良く知っている。
執務は陛下が起きたらすぐに終わった。
書類の処理能力もどうなっているのだよと思うほど陛下の仕事は、はやい。
僕は、本を読みながら緩やかな時間に浸っていた。
ジークハルトもロイスもアスも目覚めない。
アスの目覚めはもう少し先になると子竜は寂しそうにしている。
僕自身は、正直、話について言っていない。
アスの正体が、コロコロ変わってよくわからない。
ただ、子竜のいう事が嘘でないという事はわかる。
だからこの子竜の言う、主というのがアスの正体なのだろう。
まぁ、アスが何でも結局アスだ。
起きたら色々教えないとならないらしい。
僕は、しばらくアスの教育係だねと陛下に笑われた。
ふと子竜が顔を上げた。
『動いたな…王の番…主を抱えて部屋から逃げろ!!』
子竜の言葉に首を傾げつつもアスを抱える。
アスは、僕より身長は高いが華奢だ。
少し身体強化の魔法を自分にかければ軽く抱えれる。
ノルンとマールも駆け寄ってきて、ジークハルトとロイスに駆け寄ろうとしたがそれを子竜は止めた。
『その二人には近づいてはならぬ!!そなたらは影響が無いようだな…主と王の番をつれて離れろ!!』
子竜は僕たちを庇うように、二人から距離を取らすと僕たちを二人から守るように小さな体を少しでも大きく見せようとしているのか小さな翼を広げて唸っている。
「竜様?」
マールは、子竜を見て少し考えたが、子竜の言葉を聞いてもジークハルトとロイスの傍に行こうとするノルンを促してアスを抱える僕を助けて扉の方へと向かう。
扉を開けようとした時、むくりとジークハルトとロイスが目を覚ました。
「あ…何?どうしたんだ?ラスティ…」
ジークハルトが扉から出ようとしている僕たちを見た。
ぞくりと背筋に何かが走る。
ジークハルトは、立ち上がると僕を見る。
そして、いつものようにジークハルトは僕に手を伸ばした。
「おはよう…お腹すいてないかい?一緒に行こうか…」
ジークハルトは、僕に近づくが子竜が生み出した結界に気がついて足を止めた。
ロイスも起き上がってジークハルトの横に並ぶ。
「何遊んでるの?ほら…おいで?」
ジークハルトは、優しく微笑むと僕に手を差し伸べる。
僕はその手を取れなかった。
何かわからない。
どうして急にそうなったのか。
だが目の前のジークハルトとロイスは、何か変わっている。
それだけは感じた。
「ジーク、ラスティ様が困っている。何かしたのか?仕方のない奴だな…」
なら、俺がエスコートしますよとロイスが僕に手を差し伸べる。
僕は後ずさりしながらその手から逃げる。
背中には扉だ。
マールとノルンが、扉をいつでも開けれるように構えている。
2人もおかしいとっ感じているのだろう。
ジークハルトとロイスは、子竜の少し前で立っている。
それ以上は近寄れないようだ。
おそらくは、僕達を守るように二人を威嚇している子竜の力なのだろう。
子竜は嘘をつかない。
そして嘘を看破する。
その子竜が僕らを守るためにジークハルトとロイスの前に立っていた。
その子竜が僕らを守るために展開している力。
その力を通してみているからだろうか。
ジークハルトとロイスは、光輝く…でも冷たい炎に包まれていた。
「あれは…何…」
僕が思わずつぶやいた声は、震えていた。
あの炎に逆らってはダメだと心の底が震えているのだ。
怖い…怖い…体がガタガタと震える。
それは、ノルンとマールも同じなのだろう。
扉に手をかけたまま固まってしまっている。
子竜は勇ましく僕らの前に立ち二人を威嚇している。
『逃げろ!!王の番。王の元まで。あれらは今正気ではない。だが…あれらはあの状態でも抗っているから襲ってこないのだ。あの場に立ち止まっているのはあれらの抵抗。おそらくは…聖者との縁を使ってあれらを操っているのだ…聖者もあやつの手に落ちた!!声が届いたからな…聖者の悲痛な叫びだ!!…騎士王子とあの騎士は、王でもなければ手に負えない…我が時間稼ぎを出来るうちに行け!!』
子竜の体は青白い淡い光に、包まれた。
2人の光が、子竜が放つ光に押され少し薄まる。
ジークハルトとロイスが子竜の放つ光に触れ少し顔をゆがめる。
僕の体が動いた。
僕はノルンとマールと見る。
2人は、頷きアスを抱えて僕に手を伸ばした。
「行きましょう!!」
2人と共に行こうとして足が止まる。
ダメだと何かが頭の中に警告する。
このまま行ってはダメだ。捕まる…。
そう声が頭に響いた。
僕は、唇を噛みしめる。
「ダメだ…たぶん…あの二人よりもっとリオンに操られている…縁があるものが王宮には多い…あの子竜がいない状態では陛下の所に行くのは無理だ…その前に捕まる…子竜…他に手はないか!!あの二人を正気に戻す方法は!」
子竜は、唸る。
『ならば…主を起こせ!!主ならば、我より強い安寧の力がある。騎士はわからぬが…騎士王子は王の番とも縁がある…主が命じれば、陽の欠片の命令をのけることができるかもしれぬ。』
すやすやと眠っているアスを見る。
少し心が痛んだが、僕はアスの耳を引っ張った。
「起きて!!アス!!!」
僕の声に瞼が震えた。
「起きてください!!アス様!!」
マールも僕と一緒に声をかける。
ノルンは、無言で扉を抑えている。
それは、僕らを逃がさまいとしているのか、外から他の者が入ってくるのを防ごうとしているのか区別はつかない。
けれども彼を信じたいと思う。
リオンの縁が良くわからないが、二人は僕の方が縁が深いと信じたいところだ。
子竜はロイスは無理かもと言っていた。
ならばジークハルトを取り戻せればロイスは抑えれるだろう。
「…アス!!!」
ふぅ…と息の吐き方が変わる。
アスがゆっくりと目を開く。
始めてみた彼の瞳は、舐めたら甘そうな濃い琥珀色。
金の色というよりは、蜂蜜のような濃い黄金色のような…琥珀色だった。
「ん…?」
アスはぎこちなく、立とうとしてぺしゃりと座り込んだ。
「う?」
首をかしげて困っているアスに僕は首をかしげる。
「え…もしかして歩けない…とかしゃべれないとか…」
起きたら教育してねと陛下が言っていたのはこのことなのだろうか。
「ラスティ様!アスは…アス様は自分の体が無かったっから…今まではラスティ様の体をラスティ様の経験を利用して動かしていただけなんです…だから…今のアスは…赤ちゃんみたいな感じになるだろうって…陛下が…」
僕は、えええ~と叫びながらアスを支える。
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