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14『オムツの約束』の書
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えー!ちょっとちょっと♡
なんでなの!?
雷と豪雨が、ふんわりした三つ編みをべっしょり潰れた三つ編みに容赦なく変えていく。
「やだこれ最悪だよ?どうなってるの?ねぇねぇ、わたし何でオムツ買いに走ってなきゃならないんだっけ!?」
ザァァ…ゴロゴロドーン!
激しい雷雨は、水溜りの中心で文句を叫ぶ判定士・弥勒の声を掻き消していた。
事の経緯は一時間前。
弥勒は"あんたが魔王なんじゃないの?"と疑いを掛けていた召喚士・加護の自宅を突撃訪問した。
疑いもそうだが、職場の同期が「オレさぁ…四六時中あの人のこと考えちゃうから、もういっそのこと強制同居しちゃおっかな♡て思ってんだ」どーのこーの
公私混同するアホな理由を、直に見てみようと思ったのだ。
もしかしたら、何らかの悪質な魅了魔法が掛けられている可能性もあるしね♡楽しそうだしね♡
雨足が徐々に強まり、雷の気配。
天候は楽しそうではない。弥勒はピンク色の傘をくるくる回しながら、召喚士・加護の自宅のドアをノックした。
* * *
バサバサバサ…
ドサァァ!
パリーン!
室内は効果音のオンパレードだ。
なるほど。
君は、腕力を鍛えるのが好きなのか?
部屋に置かれる物という物を次々と投げまくる暴力行為…もとい、自主鍛錬と思われることに、私が召喚した"勇者候補"の未来は忙しそうだった。
「ある?」
召喚してから5ヶ月になろうとしている。
3ヶ月健診でも『現状"勇者"の素質なし』の低評価だったが、笑顔で物を激しく投げ飛ばしながら、私のことを主人と呼ぼうとして『ある』と言葉を使うようになっていた。
君の成長は著しい。私は思う。
そして君は"女の子"なのだと知った。
5ヶ月くらいになると、身体の変化が起こり転生者の性別がわかるようになる。
女の子…
男である私が、どのくらい理解してサポートしてあげられることだろうか。
部屋の片付けをしながら「そろそろおむつ替えをしようか?」未来に声を掛け、棚を見に行った時だった。
ハッとしたのと雷鳴が轟いたのはほぼ同時。
「オムツの在庫が…ない?」
完全なるミスだった。
ここ最近、部屋の掃除が追いつかず所用にも追われて必需品の在庫管理を見落としていた。
白糖乳の在庫はストックが残っている。
待て、ストックがあり過ぎる?
前回の買い物でオムツと白糖乳を勘違いして購入した可能性が高い。
聞こえてくる雨音が激しさを増す。
雷も同様に。
雷雨の中、未来を連れ出して買い物には行けない。どうしたものか。迷いに吐息が漏れた…そんな時だった。
トントントン。
この悪天候で来客?
ドアを叩く音で思考を切り替える。「どちら様ですか」出迎えると、ピンクの傘をパチンと閉じながら、目の前の女性は朗らかに笑った。
「調査院所属、世界判定士をしてる弥勒です♡ 今日は抜き打ち調査というか?うーん、自己判定にお邪魔しました。召喚士・加護クンの不都合がないようなら、まどろっこしい話を抜きにして質疑応答に協力して頂きたいのだけど?」
不都合…
それは今まさに発生したばかり。
「実はオムツの在庫切れで困っている。転生者を連れて買い物にも行けない天候で足止め状態だ。解決できれば協力しよう」
「わぉ!協力的♡召喚士クンの代わりにオムツを買いに行ってあげたら洗いざらい隠し事なし、ぜーんぶ聞きたい放題でいいのかな?」
「それは私も助かる交換条件だ」
ぱぁん!
勢いよくピンクの傘を開いた弥勒が「嘘だったら針千本飲ますぞ?」不敵に口角を上げながら雨の最中に飛び出して行った。
協力的なのは判定士様の方ではないか?
私は思う。
戻って来たら速やかに温かな飲み物と服を用意しよう。部屋の掃除も急務だ。
なんでなの!?
雷と豪雨が、ふんわりした三つ編みをべっしょり潰れた三つ編みに容赦なく変えていく。
「やだこれ最悪だよ?どうなってるの?ねぇねぇ、わたし何でオムツ買いに走ってなきゃならないんだっけ!?」
ザァァ…ゴロゴロドーン!
激しい雷雨は、水溜りの中心で文句を叫ぶ判定士・弥勒の声を掻き消していた。
事の経緯は一時間前。
弥勒は"あんたが魔王なんじゃないの?"と疑いを掛けていた召喚士・加護の自宅を突撃訪問した。
疑いもそうだが、職場の同期が「オレさぁ…四六時中あの人のこと考えちゃうから、もういっそのこと強制同居しちゃおっかな♡て思ってんだ」どーのこーの
公私混同するアホな理由を、直に見てみようと思ったのだ。
もしかしたら、何らかの悪質な魅了魔法が掛けられている可能性もあるしね♡楽しそうだしね♡
雨足が徐々に強まり、雷の気配。
天候は楽しそうではない。弥勒はピンク色の傘をくるくる回しながら、召喚士・加護の自宅のドアをノックした。
* * *
バサバサバサ…
ドサァァ!
パリーン!
室内は効果音のオンパレードだ。
なるほど。
君は、腕力を鍛えるのが好きなのか?
部屋に置かれる物という物を次々と投げまくる暴力行為…もとい、自主鍛錬と思われることに、私が召喚した"勇者候補"の未来は忙しそうだった。
「ある?」
召喚してから5ヶ月になろうとしている。
3ヶ月健診でも『現状"勇者"の素質なし』の低評価だったが、笑顔で物を激しく投げ飛ばしながら、私のことを主人と呼ぼうとして『ある』と言葉を使うようになっていた。
君の成長は著しい。私は思う。
そして君は"女の子"なのだと知った。
5ヶ月くらいになると、身体の変化が起こり転生者の性別がわかるようになる。
女の子…
男である私が、どのくらい理解してサポートしてあげられることだろうか。
部屋の片付けをしながら「そろそろおむつ替えをしようか?」未来に声を掛け、棚を見に行った時だった。
ハッとしたのと雷鳴が轟いたのはほぼ同時。
「オムツの在庫が…ない?」
完全なるミスだった。
ここ最近、部屋の掃除が追いつかず所用にも追われて必需品の在庫管理を見落としていた。
白糖乳の在庫はストックが残っている。
待て、ストックがあり過ぎる?
前回の買い物でオムツと白糖乳を勘違いして購入した可能性が高い。
聞こえてくる雨音が激しさを増す。
雷も同様に。
雷雨の中、未来を連れ出して買い物には行けない。どうしたものか。迷いに吐息が漏れた…そんな時だった。
トントントン。
この悪天候で来客?
ドアを叩く音で思考を切り替える。「どちら様ですか」出迎えると、ピンクの傘をパチンと閉じながら、目の前の女性は朗らかに笑った。
「調査院所属、世界判定士をしてる弥勒です♡ 今日は抜き打ち調査というか?うーん、自己判定にお邪魔しました。召喚士・加護クンの不都合がないようなら、まどろっこしい話を抜きにして質疑応答に協力して頂きたいのだけど?」
不都合…
それは今まさに発生したばかり。
「実はオムツの在庫切れで困っている。転生者を連れて買い物にも行けない天候で足止め状態だ。解決できれば協力しよう」
「わぉ!協力的♡召喚士クンの代わりにオムツを買いに行ってあげたら洗いざらい隠し事なし、ぜーんぶ聞きたい放題でいいのかな?」
「それは私も助かる交換条件だ」
ぱぁん!
勢いよくピンクの傘を開いた弥勒が「嘘だったら針千本飲ますぞ?」不敵に口角を上げながら雨の最中に飛び出して行った。
協力的なのは判定士様の方ではないか?
私は思う。
戻って来たら速やかに温かな飲み物と服を用意しよう。部屋の掃除も急務だ。
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