恋降る物語-月喰-

まぽわぽん

文字の大きさ
4 / 4

夜の海

しおりを挟む
「来ないかと思ったよ…」
「何で?恋に終わりがあっても、愛に終わりはないよね」

グッと押し付ける唇に抗う唇はない。

「っん、ん!…バカ、窒息するだろッ」
「酸欠状態になるとどうなるのかな…試す?僕の口で、身体で、気持ちに。窒息してみなよ」

背中に回す腕が解けない…
唇から喉に落ちる舌が外せない…

何故、求めてしまうのだろう。
シャツが海面に堕ち、淫らに肌は晒されて逝く。


* * *


月明かりが海面を照らし
波は銀色にさざめく

岩礁に座る美女が優しく笑むのは、夜の海


『あら、歌を聴きに来たのね?』


強く長く重ねた唇も、絡み合う体温も
海に潜む魔物は
痕跡すら残さず喰らうという


「もう赦す?諦める?好きだと言ってよ」
「お前は、卑怯だ…」


歌声は惑わす
朝になれば海の藻屑になるのよ、と

『それでも良いの?
寄せては返す波のようにはいかないわ』


  “秘匿の恋は
      深海の闇へと還る”


「「そんなの、解っているよ
夜の波も、優しい歌も、残酷な音色じゃないか」」


* * *


夜の海に誘ったのは…

『恋』に沈みたかったから
『愛』に溺れたかったから

荒波と美声に翻弄されて"終わりと始まり"を確かめたかったんだと思う。



朝陽が差す海面と
足跡すらも波に攫われた白浜に

息衝く人の気配など残されてはいなかった…。


-fin-
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

happy dead end

瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」 シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

僕は今日、謳う

ゆい
BL
紅葉と海を観に行きたいと、僕は彼に我儘を言った。 彼はこのクリスマスに彼女と結婚する。 彼との最後の思い出が欲しかったから。 彼は少し困り顔をしながらも、付き合ってくれた。 本当にありがとう。親友として、男として、一人の人間として、本当に愛しているよ。 終始セリフばかりです。 話中の曲は、globe 『Wanderin' Destiny』です。 名前が出てこない短編part4です。 誤字脱字がないか確認はしておりますが、ありましたら報告をいただけたら嬉しいです。 途中手直しついでに加筆もするかもです。 感想もお待ちしています。 片付けしていたら、昔懐かしの3.5㌅FDが出てきまして。内容を確認したら、若かりし頃の黒歴史が! あらすじ自体は悪くはないと思ったので、大幅に修正して投稿しました。 私の黒歴史供養のために、お付き合いくださいませ。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

処理中です...