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第37話・ヘイストはヘイストらしくされた2

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冒険者協会へ行ってマリさんにギルドの作成方法を伺った。
1.LV30以上の1人とLV20以上の2人で作成を行う。
2.作成費用は金貨300枚
LV30以上の1人は自動的にギルドマスター、LV20以上の2人は副マスターとなる。

ギルドにもランクが存在し、作成時はFランク。
ギルドはギルドバトルをすることができる。ギルドバトルは冒険者協会へ申請すると、冒険者協会が対戦相手のギルドを選定し、3日後以降に対戦予定が組まれる。選定基準に関してはギルドの強さが拮抗するように選定しているとの事。
そして、上位ランクとのギルドと戦って勝つと昇格、下位ランクのギルドと戦って負けると降格というルール。
ギルドランクが上昇すると様々な特典有。

ギルドバトルするフィールドは、冒険者協会より転移した特別なフィールドで行う。
勝利条件は相手のギルドメンバーを全滅、敗北条件は自分のギルドメンバーが全滅。
勝負がつかないと冒険者協会が判断したら、引き分けで終了となる。
ちなみにギルドバトルでHPが0になっても、ギルドバトルが終了すれば蘇る仕様。
との事。

高ランクギルド特典は結構よさそうだったからモチベーションも上げやすい。
とりあえずギルドのシステムは想像通りだったため問題ないな。
ギルド作成を急ぎ、ギルドバトルをやってみたいがお金が足りない!本気で稼がないと・・・

じゃあ、王城へ行くか。
気が進まないのは、褒美をもらえるほど活躍してないからだろう。

「はぁ」

溜息も漏れる。
そうだ、王城へ行くのに昨日地獄のヘイスト特訓を行った成果を見てみるか。

「ヘイスト!」

体に風魔法が掛かったような気がする。
王城は首都で一番高い建物だから、どこにあるかは見渡せば分かる。
迷うことはない、走っていこう。

一歩目を走り出す瞬間にすごいスピードで進んだのが分かる。
はっや!
これは、早い。今ままでの俺の五歩分が一歩で進んでいる間隔だ。

やった!俺が求めていたヘイストを手に入れた。めちゃめちゃだろ!ってスピードで走る。
首都にいる人からギョっとした目で見られるが、走っているだけだから犯罪にはならんだろ。

最高ー!

城の門の手前まで来た時には速度を落とす。
自分にかけたヘイストは消せるらしい。
この速度で突っ込んでいったら、確実に怪しまれる。
門番の人は、こちらを一瞥するが気にしていないようだ。
ん?普通、素性について確認しないのか?

・・・

ああ!スキルがあるのか、王様に呼ばれているのを確認できるスキルとかあれば問題なしと判断できるしな。

素通りで王城の中に入ると、兵士が声をかけてくる。

「ゼロ様ですね、王様より仰せつかっております。ご案内いたします」

「お願いします」

兵士についていく。
なんか、高そうな壺とか絵とかがいっぱい置いてある。いかにもな王城だな。
床に引いてある絨毯とか、ふかふかで歩いても大丈夫なの?と思えるようなものだ。
ある部屋で兵士が立ち止まる。

「どうぞ、お入りください」

兵士に促されて入ると、俺が部屋に入った途端に部屋の両脇を埋め尽くしていた兵士全員が膝を折る。
おい、どうなってんだ!俺は王様じゃねえぞ!
やばいやばいと思っていると、声がかかる。

「レッド、よく来たな。こっち来いよ。」

元凶おるやん。
レッドと、偉そうな人2名と豪華な椅子に座って王冠を被っている人がいる。
レッドよ、椅子に座ってる人は王様だろ。
その言葉遣い大丈夫なのか?・・・

レッドに促され、王様の前まで行き膝を折る。
こういう時は膝を折ったほうがいいんだよな?

「おもてをあげよ」

言われたとおりあげる。

「よくぞ参った。わしはイーリス王国、国王であるマルス・アリウス・アニヌスだ」

王様が名乗られたので名乗り返すけど、先に名乗らないといけなかったか?!

「Dランク冒険者のゼロと申します」

王様はすげえ威厳がありそうな顔なのに、良い人そうなのが伝わってくる。
これが王様か。

「堅苦しいのは、なしにしよう。肩が凝ってかなわん。単刀直入に言う、此度の戦争でレッドを本気にさせてもらったことに礼をいいたい」

「いえ、もったいなきお言葉」

本当にもったいないよ、レッドを本気にさせることのどこが王様に感謝されることなんだよ!

「実は、今回のカオス帝国軍防衛戦の大将をできるのは、虹の赤だけだったのだ。だが、赤は強者がいないと働く気力がないという、とんでもないやつでな。あの戦争はゼロのおかげで勝ったといってもおかしくないのだ」

王様の後に続いてレッドが語る。

「そうだぞ、俺はあの時戦う気力が全くなかった!あのままいけば、確実にエアの町は占領されていただろう。だからゼロ、お前が褒美をもらえるのは当然なんだ。あ、お前俺なんかがって思っているだろ、考えてみろ?俺以外に戦況を変えられなかっただろう?ということは俺を本気にさせたお前が1番の功労者ってことだ!」

真面目に、とんでも理論炸裂だな!レッドお前覚えとけよ!
この言い分で褒美なんかもらえるのか?
王様の言葉を待とう・・・

「まあ、虹の赤の言い分は間違ってはいないのだ。ゼロ、お前には褒美を与える。金貨500枚だ。今後もイーリス王国のために尽力してくれると助かる」

「ゼロ!よかったな!俺のおかげだ、感謝しろよ!」

レッド、お前はなにを言っているんだ。

「虹の赤、お前は後でたっぷりと説教してやるから覚悟しておけよ」
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