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第123話・新ダンジョンはお化け屋敷2

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ん?エネミーサーチに引っかかった対象が廊下の向こうの方からこちらに向かってくる。
自己バフの魔力増幅とヘイストを自分にかける。

襖を開けるのは最後にしよう、最後に。
部屋をスルーしつつ、エネミーサーチに引っかかった対象を倒しに行く。
歩きだしてすぐに躓く。なんだ?と後ろを振り向くと頭蓋骨が落ちている。

「ッ!!」

少しだけビビったけども、現実と違って俺は風魔法使いだ。モンスターが攻撃してくるなら倒せばいいのだと自分に言い聞かせながらエネミーサーチに引っかかった対象に向かって行く。
俺が向かっている廊下の先に明かりが見える。その明かりはこちらへ向かってくるので目を凝らすと火の玉だ!

一瞬ビクっとするが、お化け屋敷なんて言うダンジョンなんだから当たり前だろ!と自分に突っ込む。火の玉は自分より大きい火の玉を3個出現させて俺に向けて放ってくる。

「いきなり火の玉なんてやってくれるじゃないの!」

とビビっているために大声で声を出して自分を鼓舞する。

ドッゴォォォン!
「グボォォォンン!!!」

ッ!!!!ビックリして体が硬直する。
俺の右隣の襖が弾け飛び、牛っぽいような鬼っぽいような顔に蜘蛛のような胴体をもつ恐ろしい化け物が俺目掛けて突進してくる。

その瞬間に未来予測が発動し、恐ろしい化け物が嚙みついてくるイメージと前方から火の玉3つが飛んでくるイメージが湧く。
ビックリしすぎて、金縛りにあったように動くことができない俺は、未来予測のイメージで我に返り、バーニアで瞬時に後退する。
化け物は俺に噛みつこうとして避けられたため、反対側の壁に激突する。

あっぶねーーー!!!本気で死ぬとこだった。
・・・それにしてもなんだありゃ、お化け屋敷ってこんなに怖いとこなのか。
現実でお化け屋敷に行くやつの気が知れんぞ、心臓発作で死者が続出してもおかしないだろ!こ、怖すぎる!

地を這う蜘蛛の化け物のくせに1m50cmぐらいある、でかすぎるんだよ。
名前は、牛鬼と。

「だが、敵にならん!俺は白龍と黒龍の弟子である最強ルーキーだぞ!」

自分自身に喝を入れる。
牛鬼はこちらへ向くとドダドダと音を立てながら走り出す、火の玉も追随してくる。

爆風の杖に風が纏う。
「ダブルウインドランス!」

ギュンッという音共に、爆風の槍が牛鬼に向かって飛んでいく。牛鬼は口から何か吐き出し応戦してきたが、爆風の槍はそれをものともせずに牛鬼を飲み込み消し飛ばす。
火の玉は再度3つの火の玉を出現させる。

「ダブルウインドカッター!」

爆風の刃は見えないほどの速度で飛んでいき火の玉を切る。
火の玉は消えていく。
ふー。とりあえず牛鬼は見た目からHPが高そうだったが、ダブルウインドランスで1撃と。
火の玉はダブルウインドカッター以上で一撃だから、ダブルサドゥンウインドならまとめて消せそうだ。

こ、これから、どうする・・・
この静まりかえった、絶望しかない屋敷の中で狩りをするのか?俺のエネミーサーチは機能せず、襖を破って牛鬼が飛び出してくるなんて、いずれ心臓発作で死んでしまう!

・・・

さっき牛鬼はダブルウインドランスで倒せたよな?という事は、爆風の剣なら1撃だろう。なら大量にエンカウントしても接近戦で狩ることもできるという事だ。
すごいバカのやることだが、やるしかないか。
俺は手を握り、めちゃくちゃ勇気を振り絞る。

「どりゃーーーーーーーーーーーー!」

ゼロは廊下をヘイスト状態で走りこみながら、閉まっている襖を次々に開けていく。
次々に開けている最中に時々、

「グボォォォンン!!!」

と雄叫びを上げながら、牛鬼が廊下へ飛び出してくる。
ひえーーー!このダンジョン怖えーーーーー!
だが牛鬼には振り返らずに、奥へ奥へ次々に襖を開けていく。
俺がある襖を開けた瞬間に吹雪が吹き荒れる、なんだ!?
だが、振り返ることは許されない。一番奥まで走りきるんだ!

この屋敷の一番奥だ!さあ、ここでも勇気を振り絞って振り返るぞ、せーのっ!
くるっと振り返ると、牛鬼と火の玉と雪女っぽいやつが俺に向かって走ってくる。
何体いるのか分からんけど、新しいやつもふえてるやん!
やるぞ、殺すしか道はない!

「爆風の剣!」

爆風の剣を握り、俺はバーニアで迎え撃つ。

火の玉は火の玉を3つ出現させて飛ばし、雪女は吹雪を放ってくる。
未来予測が発動し、攻撃のこない位置へ瞬時に回避する。
大量のモンスターは回避した後の俺を目で追えていない、俺の回避が早すぎるってことだ。これなら!

爆風の剣で雪女を斬り飛ばすと、牛鬼が突進してくるがそれも回避し、火の玉を斬る。
すぐに別の雪女が吹雪を放ってくるが、吹雪が起こる場所を瞬時に離脱し、牛鬼へ接近して斬る。そしてその横の火の玉を斬る。
なんてことを繰り返しつつ、廊下に敷き詰められたモンスターを爆風の剣で斬り続けた。

「はぁ、はぁ、はぁ、やり切った・・・」

何体斬ったか分からないぐらい斬り続けた。
LVも47LVになったけどこれはきつい、この狩りは黒龍のバーニア特訓に匹敵するぞ。終わりがすぐくるという意味では余裕だけども。
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