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第122話・新ダンジョンはお化け屋敷1

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悪魔の国の情勢は把握した。なんとしてでもイーリス王国と悪魔の国が手と手を取り合える状況にしてやる。
ベランダから部屋へ戻りリリィと一緒にfortuneメンバーへ、現在の悪魔の国の状況とリリィが悪魔の国の王女という事、イーリス王国との戦争が間近だという事を伝える。

「そんなことがあったのね」

「リリィさんは、リリィ様と呼んだほうがいいのでしょうか」

レイナは頷き、ルリは敬称の確認をする。

「いや、みんなには今まで通り接してもらいたい。私は、王女という柄じゃないんだ」

「そんなことを言っても、王女という立場から逃れられませんよ」

「分かっている!」

リリィとシルは本当に仲が良さそうだな。この二人が悪魔だろうがなんだろうが、fortuneメンバーだというのなら、俺は全力でこの笑顔を守ってみせる。

「後一つ、みんなに聞いてもらいたい。
イーリス王国は冒険者が戦争に参戦することを自由としている、そのため悪魔との戦争に参戦するのも自由だ。だが、俺の本音はfortuneメンバー全員がこの戦争に参戦してほしくない。
みんなは戦争で死ぬという実感がないと思うが、俺は戦争でレイナが死ぬことを体験したんだ」

レイナが俯く。

「その時の絶望感は、生きていく気力さえなくなるほどだった。
レイナはその後、虹のレッドに助けられて蘇生したから助かったが、蘇生されなければここにはいなかっただろう。それぐらい戦争というのは怖い場所だ。参戦すれば次の日には仲間がいないなんてこともありうる」

ゼロは、レイナが死んだ時を思い出し絶望感を滲ませつつみんなに語る。

「だから、戦争には参戦してほしくない。それでも参戦したいというのなら先に教えてくれないだろうか、覚悟と助言をしておきたいから」

「私は参戦するわ。ゼロに一度迷惑をかけてしまっているけど、これだけは譲れないから」

「わたくしは、戦争には参加しない方向にさせていただきます。リリィさんのお役に立てないのは申し訳ないですが、父との約束でもありますので」

「私もこの戦争には参戦しませんわ。私の実力では参戦することが、ゼロの足を引っ張ると判断してますわ」

「ゼロ、私はとりあえず参戦しないほうがいいのだろう?」

「私はリリィに付き添います」

レイナは参戦、ルリとアシュレイは参戦しない。
リリィには戦争への参加は見送るように伝えてある。参戦し悪魔を倒せばイーリス王国側に、リリィは寝返ったと思われてもおかしくない。シルはリリィと共にと。

「リリィ、自分の国のことでなにもできないのは心苦しいだろうが、リリィがイーリス王国に寝返ったと思われるのはまずいと思うから、参戦しないでほしい。
・・・レイナは参戦するんだな」

ゼロはレイナの参戦希望になんとも言えない表情をする。

「ええ、ゼロは心配でしょうけど、死を経験している私だからこそ見えているものもあると思うの」

「ああ、レイナは本当に強くなったと思う。あの時のレイナとは思えないほどに。
だからこそ、一つだけ伝える。
絶対に死ぬな、それだけだ」

「まかせて」

ゼロの言葉に、力強く輝く目をしたレイナはうなずく。
レイナなら大丈夫だろうと今なら思える、なんてたって俺の相棒だからな。

「じゃあ明日に備えて寝るとしよう。
睡眠も狩りの質に影響を与えるだろうしな」

俺の一言にみんなも同意し、寝る。


----34日目裏世界----
チュンチュン。

朝か。
悪魔の国との戦争を終結させるためにはベルゼブブとアスモデウスを倒し、ルシファーを解放する。それは王国軍最強の虹を倒すと言っているようなものだろう、だがやるんだ。やらなければ全てがなくなる。
そのためにも真剣にLV上げをしよう、確かダンさんが爆風の杖は50LVで真の力を発揮するとか言ってたからそれが目標だな。

今日から新しい狩場だ、マリさんが言ってたのはキシャルの街を西に行くとお化け屋敷とかいうダンジョンがあるんだよな。お化け屋敷・・・現実では怖くて入ったこともないがどんな場所だろうか。狩場としてなら、なにも問題なんて起きないだろうけども。

キシャルの街へ転移陣で飛んで、西方向へ走る。心地いい風が吹く草原が広がってる。
ヘイストを使用しているため、すごいスピードで辿り着いたお化け屋敷。
その外観はものすごくでかい屋敷が建っている、でかでかとお化け屋敷と書いてある。
うわー、現実なら入りたくないわー。
ディレイスペルはどんな敵がくるか分からないために、ダブルキラーウインドを3つ待機させた。すぐに4つ溜まるだろう。
よし、では初ダンジョンへ入場するとしよう!お化け屋敷の暖簾をくぐって入る。

暖簾をくぐった先はきちんと屋敷内部になっている。
ただ、屋敷の中は薄暗く廊下が6人ぐらい立って横に並べるぐらい広い。どこの富裕層の屋敷だ!
後は襖がいっぱいある、各部屋に入れるようだけど気味悪いし入りたくないな。
俺のスキルにエネミーサーチとウインドアイという最高の探知魔法があるのだが、障害物に遮られると効果が発動できない。そのため廊下は探知できているのだが、部屋の中を探知できないのが一段と不気味にさせる。
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