ざまぁされる廃嫡王子がいい男なのだが?

あさいゆめ

文字の大きさ
86 / 94

86

しおりを挟む
  ギルバート視点

 勇者ご一行は結局ついてきた。
 まあ、来た道を帰るには私がいなければ無理だろう。
 そしてついにドラゴンの彫刻が施された大きく重厚な扉が開かれた。
「Congratulations!
 welcome!」
 どこからか歓声があがり、軽快な音楽と花火が打ち上げられた。
 サキュバスとインキュバスの姉弟が駆け寄り、両手を広げ城を指し示し、
「ようこそ魔王城へ!
 皆様は記念すべき最初のお客様です。」
 仮面で目元は隠してあるが、ジュリアスとマーカスだろう。
「まずはお風呂に入って旅の埃と疲れを落として下さい。
 その後、魔王様と歓迎パーティーですよ。」
 小声で、
「魔王はお前だろう?」
「しーっ、人手不足なんだよ。」
 ニッと笑って、
「それに早く会いたかったからね。
 待ってたよ、ギル。」
 頬にキスしてくれた。
 勇者ご一行は訳がわからないといったふうだが、かわいい二人に流されるように案内されている。
 控え室らしき部屋に通されると執事姿のレナードがアトレイを連れてきた。
「ギルバート様!申し訳ございません。このような者どもに…。」
「うるさい、お前の事は後回しだ。
 レナード、生きていたのか?」
「ああ、無事たどり着いた。」
 5年前、まだダンジョンが魔界と通じていると知られていない時に、一人で魔の森を抜けると言って旅立った。
「お前は、真の勇者だ。」
「ははっ、ありがとう。」
「だがその格好は?」
「俺はこの城で侍従長をしている。
 マーカスは近衛だ。
 とにかく、まずは体を休めてくれ。
 急いで帰るわけじゃないんだろ?
 落ち着いたらゆっくり話そう。報告したい事もあるし。」
 勇者達と一緒に大浴場に案内された。
 聖女には兎獣人の侍女がついて別室に案内された。
 風呂から出れば、服は清潔にクリーニングされていた。
 そして通されたのは玉座のある大広間だった。
 ジュリアスは魔王らしい黒の衣装に着替え、近衛のマーカスを従えて偉そうに座っていた。
「愚かな人間どもよ、よく来たな。
 この魔王の前にひれ伏すがよい。
 さすれば命だけは助けてやろう。」
 なかなか様になっているではないか。
「だまれっ、貴様は僕が倒す!」
 勇者、馬鹿か?
 きっちり綺麗にしてもらって剣も返してもらえているのは圧倒的に力量が劣っているという事だ。
 ジュリアスの面倒くさそうな顔。
「いいだろう、だが私が手を出すまでもない。
 マーカス、やれ。」
「畏まりました。」
 マーカスが闘うところは初めて見る。短めの双剣を使うのか。
「聖なる光よ!」
 神官が光を放つが、
「悪いけど、俺人間だから効かないよ?」
「貴様のような人などいるか!」
「失礼だな。怒るよ?」
 あれが素の姿なのだろうか。
 白い髪に肌、赤い目。
 魔族と思われてもいたしかたない美しさだ。
 ちなみに魔王も人だから効かないのだろうな。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

呪いで猫にされた騎士は屈強な傭兵に拾われる

結衣可
BL
呪いで猫にされた騎士は屈強な傭兵に拾われる

処理中です...