戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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   テリオス視点

 シオン様が朝帰りなされた。
 近ごろ多少煙たがられている自覚はあった。
 逆の立場で考えてみる。
 他人である成人男性に一日中付きまとわれて着替えや風呂まで世話をされ、あげくに性処理まで…。
 気持ち悪い!
 そんな気持ち悪い思いをシオン様にさせていたなんて。
 だけど他の者には触れさせたくなかった。
 公爵家の使用人は貴族も多いその気になれば公爵家に嫁げる身分だ。
 中にはアレクシオン様に不心得な感情を抱く者もいるかもしれない。以前のアレクシオン様なら毅然とした態度で使用人とは一線を画しておられただろうけど、今のシオン様はどうだ?メイドにも「ありがとう」とにっこり微笑まれる。その時のメイドの顔!ぽぅっとして、あれは絶対誤解する。
 僕はシオン様の秘密を隠す為とし、使用人達との距離をとらせ孤立させた。
 公爵邸はシオン様にとって居心地のよい場所ではなかったのかもしれない。
 帰ってこられたシオン様はマティアス皇太子の服を着ていた。
 マティアス皇太子の匂いが鼻について無性に腹が立った。
 昨晩二人で何を?
 少し赤目は何を意味している?
 いやらしい妄想が頭を巡ってお側にはいられなかった。
 僕は嫉妬している。
 そんな事出来る立場でもないのに。
 僕の立場はたかが元部下だ。
 従者の真似事をしているが正式な公爵家の使用人でもない。
 どちらかといえば客人扱いを受けている他人。
 シオン様に呼び出され部屋に行くと近衛隊に行くよう言われた。シオン様の居ない近衛隊になんの意味があるのだ。
 以前は出世や身分を得る為には近衛隊が打ってつけだと思ってた。運が良ければ侯爵家や伯爵家の婿にと望まれるかもしれない。そんな打算もあった。
 今はシオン様のいない日々など想像出来ない。したくない。
 まさか僕はシオン様を愛してる?いや、愛と言うには変質的でやはり気持ち悪い。
 僕は自分で言うのもなんだが世間の評判は良いほうだ。
 侯爵家の三男で天才剣士と謳われるプラチナブロンドに深いブルーの瞳の美男子。
 学生時代からもてた。でもそんなことは鼻にはかけない貴公子。
 それが自分だと思ってた。
 どこで狂った?
 軍隊に入りアレクシオン様に劣等感を抱いた時?
 戦場で男達に乱暴された時?
 変わってしまったシオン様をお世話するようになった時?
 どれも思い当たるけど、更にまたマティアス皇太子殿下に嫉妬しておかしくなった気がする。
 殿下に借りた服は切り刻んでこっそり捨て、新しいものをお仕立て下さいと高級な生地を送った。
 万が一殿下がまたその服を着る事があるかと思うと我慢ならなかった。
 メイド達と楽しそうに笑っているシオン様を見てホッとした。公爵邸がシオン様にとって居心地の良い場所になればよい。
 メイド達は僕がしっかり躾よう。
 
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