戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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 フィリップが暗殺未遂の捜査状況を逐一報告に来る。
 たいした進展も無いのに。
「今日は来客が多いようですね。」
「サンディ…妹がガーデンパーティーをしているようだ。
 顔を出すよう言われているのだが、一緒に行く?」
 近ごろ社交界でサンディのパーティーはご令嬢方に人気だ。
 スイーツが充実しているからな。私とマイアの功績なのだが。
 アンジュリンとエリクシオンもいるので子供も多い。
 庭には明るい笑い声が絶えない。
 今日は私とテリオス君だけでなくご令嬢に人気の近衛騎士フィリップもいるのでいつにも増してきゃっきゃしている。
「フィリップ、甘い物は好き?」
「嫌いではございませんが、好んでは食べません。」
「テリオス君は甘いの苦手なんだよねー。これ食べてみて。」
 新作のマドレーヌを差し出すと手から直接食べた。
「「「きゃーーーっ!」」」
 やったな…。
 女子はこういうの見ると喜ぶんだよ。
 騎士同士は手がふさがっているとき直接口に放り込んだりするのになれているから、当のフィリップはなんで騒がれているのかわからず困惑している。
 テリオス君がすかさず食べさせた手を拭く。
 うん…唇が触れたからね。
 令嬢方が若干引きぎみにざわつく。
 そういう所だよ。テリオス君がご令嬢方になぜか人気が無い訳は。
「伯父様、わたくしにも取ってちょうだい。」
「やあ、アンジュリン。我が家のお姫様は今日もかわいいね。」
 マドレーヌを取ってあげると大きく口をあけて「あーん」する。
「ずるい、アンジュリン。僕も!」
「クク王子。いらしてたのですか。」
 二人揃って口をあける。雛鳥か。
 すっかり仲良しのようだ。
 クク王子が子供らしく笑えるようになって良かった。
「なんですか!二人ともお行儀の悪い。」
 サンディが嗜めると、
「だってフィリップ卿もあーんしたもん。」
「ねー。」
 クスクス笑いながら逃げて行った。
 睨まれてフィリップ卿が、
「申し訳ございません。つい…。」
「しかたありませんわね。」
 小声で、
「わたくしだってシオンちゃんにならあーんしてほしいもの。」
 いたずらっぽく笑うが、はっとして。
「例の件でいらしたのね。進展はございました?」
「恐れ入ります、極秘ですので。しかし、たいした進展はございません。」
 サンディはルシア皇妃と親交がある。
 皇太子暗殺となると皇妃も無関係ではない。
 というのもルシア皇妃の子である第3皇子は継承権2位なのだ。
 ビアンカ様の子、第2皇子は第3位。
 皇妃(侯爵家)とビアンカ様(伯爵家)の実家の力の差だろう。
 派閥も皇族派と貴族派の違いがある。
 後ろだてが違えば即位後の政権が荒れる。
 その為産まれた年と継承権が逆転してしまったのだ。
 状況としてはビアンカ様が関わっているようだが、継承権から見ればルシア皇妃も無視できない。
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