戦鬼は無理なので

あさいゆめ

文字の大きさ
91 / 112

91

しおりを挟む
     近衛隊の騎士視点

 ほんの出来心だったんだ。
 俺達、近衛の騎士は女にもてる。
 一晩の慰みに抱くことなど誰でもやっている。
 町娘の格好はしていたが貴族の娘が変装して男漁りをしているのだと思った。
 清潔な服装に綺麗な手足をしていたから。
 女は清楚な佇まいとは裏腹にベッドの上では飢えた獣のように求めた。
 一晩限りの遊びのはずが次の約束までしてしまった。
 次に会った時は街角の路地でもう待てないとドレスの裾をめくり上げ尻をつき出す。
 それならばとそのまま後ろから突き上げればひぃひぃと喘ぎよがった。まだ足りないとその後も連れ込み宿で何度となく絶頂を果たした。
 何度かの夜を過ごしたがあくまでも遊びの女だ。本気で付き合うにはあばずれが過ぎる。
 そう思っていたのに思いもしない場所で女と会ってしまった。
 皇帝陛下の側室であるビアンカ様の後ろに楚々として立つ侍女。別人かと思ったがすれ違い様目配せをしてニヤリと笑った。
 その口元を見てゾクリと悪寒が走った。
 ベッドではあんなにセクシーに見えた口元がなんと邪悪に。 
 後宮の侍女は特別なのだ。
 彼女らはすべて陛下の女。
 手を出すということは陛下のものを盗むということ。
 絶対に知られてはならない。
 だがあんな事になるなんて。
 侍女はある日そっと手紙をよこした。
 狩猟大会の日、マティアス殿下よりも第2皇子ユリシーズ殿下に多く護衛を付ける事とフィリップ隊長を殿下から引き離す事。
 それが何を意味するのかはすぐにわかる。
 その日、なんらかの事をおこすということだ。
 大丈夫だ。それとなく第2皇子が狩りに慣れていない事を申し上げ近衛の人数を増やした。人手不足な為必然的にマティアス殿下の護衛は減る。
 運良く自然にマティアス殿下とアレクシオン様二人を残してその場を離れられた。
 フィリップ隊長が、途中引き返そうとなさったけれどもう遅かった。
 振り返ると竜巻が見え、何事かが起こっていた。
 あわてて引き返すともう辺りは斬り倒された賊の血で濡れていた。
 さすがは元隊長だったアレクシオン様。
 だがお顔が真っ青だ。無理をされたのだろう。
 そういえばアレクシオン様についてもあの女はしつこく聞いてきた。あまりにも他の男のことを気にかけるのに腹が立ち「最近やっと食事でナイフを持てるようになったお姫様だよ。」などと貶めた。恥ずかしい事だ。
 マティアス殿下は?よかったご無事だ。
 殿下に対しての忠誠心は変わっていない。
 つもりだ。
 だが裏切りには違いない。
 そうだ近衛隊を辞めよう。
 実家に帰れば働き口くらいみつかる。
 だが、簡単にはいかなかった。
 女からまた手紙が。
「すぐに姿を消すなど愚かな事はなさらないで下さい。怪しまれるに決まってますから。また連絡いたします。熱い夜をお忘れにならないでね。」 …忘れたい。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

処理中です...