戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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    マティアス視点
 

「顔色が悪いな。」
 久しぶりに共に夕食をとろうと父上に誘われ席に着いたところで声をかけられた。
「仕事が思うように捗らないのです。やはり父上のようにはいきませんね。」
 力無く笑った。
「引き継いで間もないからな、むりもない。
 あまり根をつめるなよ、結婚式も控えておるのだから。」
 そうだ、結婚するのだ。
 思わず知らずため息が出てしまったようだ。
「どうした?マリッジブルーか?」
「そうかもしれません。。
 私は妻になる人に不誠実なのです。」
「なんだ?
 他に気になる令嬢がいるなら側室にすればよいではないか。」
 そんなわけにはいかない相手だ。
「ただの気の迷いです。」
「お前は真面目すぎるのだ。
 良い所ではあるが、それではお前自身の為にはならんぞ?
 我々皇族は民の為に尽くす事が義務だと幼い頃から教えてきたが、お前は実に優秀だ。だから少し心配なのだよ。」
「そんなことはございません。
 自分の事はよくわかっております。
 私は子供の頃から勉学も剣術も凡人並み。
 父上のようなカリスマも判断力も決断力も無い。優柔不断で見た目だけが多少良い男なのです。」
「はっはっはっ!」
 大笑いする事は無いではないか。
「見た目は大事だぞ。
 私がお前に敵わないものがある。
 人脈だよ。
 お前は人を惹き付ける。まあ、たらしとも言うが。
 皆、お前を助け役に立ちたいと願っている。
 優秀すぎる王は時に暴君と成りうるものだ。」
「しかし父上は優秀な上、聖君でいらっしゃいました。
 その為残念ながら早期に退位なさる事になってしまわれましたが。」
「私は暴君だよ。
 戦争をおこし、国教を廃止した。」
「それは仕方ない事でした。」
「いや、歴史書にはそう記されるであろう。
 しかも本当に暴君なのだよ。政にめちゃくちゃ私情をはさんでおる。」
 言っている事とは違う楽しそうな表情を浮かべ、
「国教と後宮の廃止は一人の女の為にやった。」
 ニヤリと笑い、
「お前にはいつか話さねばならないと思っていたが、ルシア皇妃は闇属性だ。」
 闇属性?あってはならない魔法だ。
 過去には闇属性とされた者は処刑されている。
 後に実際は邪魔者を排除するためのこじつけで、闇属性は存在しないという事になっている。
「しかし、ルシア皇妃様は回復と浄化を行う光属性のはずでは?」
「闇属性はおらぬからな。誰にもわからなかっただけだ。ルシアも長い間自分は光属性だと思っていたらしい。
 光の浄化は穢れを焼き払うイメージだか、ルシアは穢れを自分に取り込むらしい。
 ルシアの中は穢れにとって心地よいらしく、暫く置いてやると浄化されてゆくのだと。」
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