戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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おまけ(2)

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   理央視点

 姉さんがいなくなって一年が過ぎた。
 土砂崩れのあった場所は綺麗に整地されて小さな慰霊碑が立てられた。
 姉さんはまだこの地面の下のどこかにいるらしい。結局遺体は見つからなかった。
 もしかしたら何かの間違いで、どこかで生きていて、ひょっこり帰ってくるのではないかと、姉さんと暮らしたアパートでずっと待っていた。
 大学も辞めた。
 何もする気になれない。
 アパートはもう姉さんの匂いも消えてしまった。
 僕は姉さんがすべてだった。
 姉弟でも構わない。
 手を触れる事さえ叶わない、それでも一番近くにいられるだけで良かったのに。
 大学を卒業したらまた姉さんを追いかけてここにくるつもりだったのに。
 追いかけて行ってもいいよね。
 姉さんはいつもめんどくさそうに邪険にするけど、結局最後は側にいる事を許してくれたから。
 姉さんが好きだったバラの花を両手一杯に抱えて会いに行くから…。
「バカめ、紫音はバラより百合が似合う。」
 この声は、姉さんに付きまとっていた絵美里とかいう女。
 たくさんの百合を抱えて現れた。
「それ、置いたらさっさと帰れ。」
「後を追うなよ、紫音が迷惑だ。変態め。」
「うるさい。」
「紫音に会いたいか?」
「…会いたい。」
「ほらっ!」
 スマホの画面を見せられた。
「姉さん?」
 白いバラの花を抱えた儚げな美人。
「紫音に会いたいかったらカメラの前に立て。」
 それから僕はモデルをしている。
 絵美里は芸能事務所を立ち上げたばかりだった。
 馬車馬のように働かされた。
 絵美里なりに僕を励ましているつもりなのだろう。
 カメラの前ではシオンと名乗った。
 僕は姉さんと一つになって生きていこうと思う。
 鏡の向こうの姉さんはなんて綺麗なんだろう。
 手を触れることは出来なくても、側にいるよ。
 ずっと…。
「おい、変態。いつまで鏡みてるんだ?さっさと行くよ!」
「うるさい!」
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