54 / 63
54 Aクラスの人々(1)
しおりを挟む
この春、あたしは高等学園に入学した。
聖ルミナス学園は王都にある貴族から平民まで幅広く受け入れる学園。
今日は入学式。
クラスごとに整列しなくてはならないのでクラスわけの名簿の貼り出された掲示板を見に行く。
人だかりの中、一ヶ所だけ遠巻きに見られている一団がある。
王様とグロリア様とその仲間たち。
皆で掲示板を見ている。
誰も気がついていないようだけど王様は具合が悪いんじゃない?
もしかして回りに人がいるからポーションが飲めないで困っている?弱い所は見せたくなさそうだもんな。
しょうがないな。
「王様ぁ~。」
走りよってさりげなくぎゅっと握手。
「お久しぶりです、お元気ですか?」
チャージ完了!
「あ…ああ、元気だ。」
ちょっとおどろいたようだ。
「無礼ですわよ!」
ロズウェル侯爵令嬢が声をあげる。
まあ、そう言うわな。
「あっ、ごめんなさぁい。
久しぶりに会ったから嬉しくなっちゃって。」
さっさと退散…っと、クラスの確認しなくっちゃ。
おお、あたし頑張った!
Aクラスだ。
クラスは成績順に決められる。
モデルなんかやっててチャラチャラしてるなんて思われたくないからね。ちなみに他のモデルの子らも無事にAクラスになれた。
あたし達は見た目だけじゃなくて中身も女の子達の憧れにならないとね。
スカートの丈はやっぱり短いほうが人気。
でもAクラスはロングが多めかな。
なんでもロズウェル侯爵令嬢が短いスカートは下品だなんて言ったらしい。
でも彼女、似合うと思うんだけどな。
髪もあんなにひっつめて低い位置で結ばないでツインテールにでもしてギャルっぽくしたらすごく可愛くなるはずなのに。もったいない。
取り巻きの女の子達も皆可愛い娘ばっかりなのに、ロングスカートにぴっちりまとめた髪型にしちゃって。
入学式は滞りなく終わった。
王様の体調も心配いらなかったし。
ハルトの理事就任は朝からなんかそわそわしてたから、「ああ、これかー。」くらいにしか驚かなかった。帰ったら一応驚いてあげるけどね。
したら明日から毎朝一緒に登校しようなんて言い出すんじゃなかろうか?まったく過保護が過ぎるよ。あたしはボケ老人じゃないっての。
教室に入って席を探す。
おお?人だかり?また王様とグロリア様と仲間達かな?
そこ、あたしの席なんだけど。
「ごめんなさい、ちょっと通して…。」
誰?
隣の席はすっごい美形!
金髪に碧眼。
ハチミツを日に透かしたような輝きと例えられるあたしの髪とはまた違った金の髪は、日の光をそのまま溶かしたように複雑に七色に輝いて見えた。
瞳は深いブルーサファイア。
貴族にそんなに詳しいわけじゃないけれど、見た事ない人だ。こんな人見たら忘れるはずないもの。
モデル仲間のミーシャがツンツンと袖を引っ張り耳打ちする。
「マノクセスの第三皇子らしいですよ。」
大帝国の皇子?
「えーと…。」
なんか長い挨拶しなくちゃいけない感じの尊い人?
困ったな。席にも着けず皆と一緒に遠巻きに見ていたら王様達が来た。
第三皇子は席から立ち上がり、
「国王陛下。」
頭を下げようとしたが、王様は肩に手をかけて止めた。
「アルフレート・ボニファテウス・ルノ・マノクセス殿下、私達は同じ学園の同じ年の学生です。
ここでは皆立場は同じなのです。
畏まった挨拶はお互いにやめましょう。」
帝国の皇子とはいえ、一国の国王のほうが立場は上だ。
「ありがとうございます。
クラスメイトとしてよろしくお願いいたします。」
「こちらこそよろしくお願いします。
皆、席に着かないか?先生が困っていらっしゃるぞ。」
教壇を見れば存在感の薄い先生が立っていた。
先生も大変だな。
国王陛下と帝国からの留学生の第三皇子が一緒のクラスの担任だなんて。
何にも言わないのも気まずいので一言挨拶して席につく。
「お隣、失礼します。
レティシア・リノスです。
よろしくお願いします。」
「アルフレートだ。
よろしく頼む。」
うっわ、眩しっ。
髪も目も歯もキラッ!とかなっちゃって。
皇子様だよ。正統派皇子様だよ。
で、その皇子様がこっち向いてニコニコしてんだけど?前むけよ、先生が挨拶してるよ?
「担任を務めさせていただきます、ニクラウス・リースマンです。
皆さんもご存知のとおり、このクラスには大変高貴な方々もいらっしゃいます。
生徒は平等ですが、人としての礼節はわきまえ、お互いに失礼のないよう学園生活をおくってください。」
黒髪にメガネでちょっと猫背の先生はとにかく問題は起こしてくれるなと言いたげだ。
聖ルミナス学園は王都にある貴族から平民まで幅広く受け入れる学園。
今日は入学式。
クラスごとに整列しなくてはならないのでクラスわけの名簿の貼り出された掲示板を見に行く。
人だかりの中、一ヶ所だけ遠巻きに見られている一団がある。
王様とグロリア様とその仲間たち。
皆で掲示板を見ている。
誰も気がついていないようだけど王様は具合が悪いんじゃない?
もしかして回りに人がいるからポーションが飲めないで困っている?弱い所は見せたくなさそうだもんな。
しょうがないな。
「王様ぁ~。」
走りよってさりげなくぎゅっと握手。
「お久しぶりです、お元気ですか?」
チャージ完了!
「あ…ああ、元気だ。」
ちょっとおどろいたようだ。
「無礼ですわよ!」
ロズウェル侯爵令嬢が声をあげる。
まあ、そう言うわな。
「あっ、ごめんなさぁい。
久しぶりに会ったから嬉しくなっちゃって。」
さっさと退散…っと、クラスの確認しなくっちゃ。
おお、あたし頑張った!
Aクラスだ。
クラスは成績順に決められる。
モデルなんかやっててチャラチャラしてるなんて思われたくないからね。ちなみに他のモデルの子らも無事にAクラスになれた。
あたし達は見た目だけじゃなくて中身も女の子達の憧れにならないとね。
スカートの丈はやっぱり短いほうが人気。
でもAクラスはロングが多めかな。
なんでもロズウェル侯爵令嬢が短いスカートは下品だなんて言ったらしい。
でも彼女、似合うと思うんだけどな。
髪もあんなにひっつめて低い位置で結ばないでツインテールにでもしてギャルっぽくしたらすごく可愛くなるはずなのに。もったいない。
取り巻きの女の子達も皆可愛い娘ばっかりなのに、ロングスカートにぴっちりまとめた髪型にしちゃって。
入学式は滞りなく終わった。
王様の体調も心配いらなかったし。
ハルトの理事就任は朝からなんかそわそわしてたから、「ああ、これかー。」くらいにしか驚かなかった。帰ったら一応驚いてあげるけどね。
したら明日から毎朝一緒に登校しようなんて言い出すんじゃなかろうか?まったく過保護が過ぎるよ。あたしはボケ老人じゃないっての。
教室に入って席を探す。
おお?人だかり?また王様とグロリア様と仲間達かな?
そこ、あたしの席なんだけど。
「ごめんなさい、ちょっと通して…。」
誰?
隣の席はすっごい美形!
金髪に碧眼。
ハチミツを日に透かしたような輝きと例えられるあたしの髪とはまた違った金の髪は、日の光をそのまま溶かしたように複雑に七色に輝いて見えた。
瞳は深いブルーサファイア。
貴族にそんなに詳しいわけじゃないけれど、見た事ない人だ。こんな人見たら忘れるはずないもの。
モデル仲間のミーシャがツンツンと袖を引っ張り耳打ちする。
「マノクセスの第三皇子らしいですよ。」
大帝国の皇子?
「えーと…。」
なんか長い挨拶しなくちゃいけない感じの尊い人?
困ったな。席にも着けず皆と一緒に遠巻きに見ていたら王様達が来た。
第三皇子は席から立ち上がり、
「国王陛下。」
頭を下げようとしたが、王様は肩に手をかけて止めた。
「アルフレート・ボニファテウス・ルノ・マノクセス殿下、私達は同じ学園の同じ年の学生です。
ここでは皆立場は同じなのです。
畏まった挨拶はお互いにやめましょう。」
帝国の皇子とはいえ、一国の国王のほうが立場は上だ。
「ありがとうございます。
クラスメイトとしてよろしくお願いいたします。」
「こちらこそよろしくお願いします。
皆、席に着かないか?先生が困っていらっしゃるぞ。」
教壇を見れば存在感の薄い先生が立っていた。
先生も大変だな。
国王陛下と帝国からの留学生の第三皇子が一緒のクラスの担任だなんて。
何にも言わないのも気まずいので一言挨拶して席につく。
「お隣、失礼します。
レティシア・リノスです。
よろしくお願いします。」
「アルフレートだ。
よろしく頼む。」
うっわ、眩しっ。
髪も目も歯もキラッ!とかなっちゃって。
皇子様だよ。正統派皇子様だよ。
で、その皇子様がこっち向いてニコニコしてんだけど?前むけよ、先生が挨拶してるよ?
「担任を務めさせていただきます、ニクラウス・リースマンです。
皆さんもご存知のとおり、このクラスには大変高貴な方々もいらっしゃいます。
生徒は平等ですが、人としての礼節はわきまえ、お互いに失礼のないよう学園生活をおくってください。」
黒髪にメガネでちょっと猫背の先生はとにかく問題は起こしてくれるなと言いたげだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
321
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる