よくある転生物語だと思うんだけど？

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　転生したっぽい。
　死んだ時の記憶は無いけど、たぶん寝ている間に何かあったのだと思う。
　普通の会社員だった私は明日の仕事の事を考えながらベッドに横になったまでは覚えているから、夜中に地震か何かあったのかもしれない。
　生まれ変わったわたくしは公爵令嬢。
　レティシア・エメリフィナ・アステローゼ。
　栗色の髪にエメラルドの瞳の知性的な美女。
　そしてこの世界のヒロイン！
　ここは前世で読んだ異世界ラブファンタジー「侯爵家の居候は愛される」の世界。
　ストーリーはこう。
　レティシアが生まれたアステローゼ公爵家はこの帝国に三つある公爵家の一つ。
　でも両親は事業に失敗し名門で富豪のザカリー侯爵家に借金をしてしまう。
　ザカリー侯爵はレティシアを息子のレイモンドの結婚相手にしたいがため、元々の婚約者だったアレックスとは婚約破棄させ、アステローゼ公爵家には帰れないように養子に跡を継がせた。
　しかし当のレイモンドにはリリアンという愛人がいて溺愛していた。
　リリアンは皇太子や第二皇子を始め、数多くの男を虜にした娼婦のような恥知らずな女。
　レイモンドは多くの男達を退け手に入れた事に満足し、それを愛だと勘違いしているだけ。
　行くあてもないレティシアはザカリー侯爵家でレイモンドには相手にもされず、さみしく居候の身となるのだが、次第に使用人達に認められ邸の女主人のように扱われるようになる。
　使用人達は元々卑しい身分のリリアンを嫌っており、高貴で上品な淑女のレティシアを夫人に迎え入れたいと思うのは当たり前だった。
　めったに侯爵邸に帰る事の無かったレイモンドだったがレティシアが待つ邸の居心地の良さに次第に邸に留まる事が多くなる。
　そしてリリアンの下品で教養の無い振る舞いに嫌気が指しレティシアを愛するようになるのだった。
　と、そんな話。
　わたくしは公爵令嬢として知性と教養を身につければそれだけで将来は大富豪の侯爵夫人になるのよ。
　侯爵の地位は公爵より下だけど、正直家はあんまりお金が無い。
　なのに両親の金使いの荒らさは治らない。
　わたくしは前世の記憶があるからなんとか戒めたかったけど無理だった。まあいいか、最終的には助かるわけだし、両親も死ぬ事も無いし。
　それよりわたくしもお嬢様生活を満喫したい！
　お嬢様っていえば執事よ！
　イケメン執事をはべらせ身の回りの世話をさせた。
　レナードは黒髪に銀の瞳の落ち着いたお兄様系
　ミッシェルは金髪碧眼の王子様系。
　フランツは明るいベージュの髪に焦げ茶の瞳のカワイイペット系。
　はぁ～ん、幸せ。
　レナードはわがままを言うと眉間にシワを寄せてはいるけれど「しょうがないですね、」と聞いてくれる。
　ミッシェルは手とり足とり世話をしてくれる。きっと素知らぬそぶりでわたくしに触れときめいているのよ。
　そのてん、フランツはすぐに顔を赤らめて「ふざけるのはお止め下さい。」なんて言っちゃってカワイイったら無かったわ。
　なのになんでかみんな辞めちゃったのよね。