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  リリアン視点

 奴隷や隣国から流れてきた人々は得てして気性が荒い。
 北部ののんびりした領民は圧倒されてしまい、言いたい事もなかなか言えないのだ。ルールや人道的に劣る行為も注意できない。
 中央の治安部隊の手を借りることにした。
 治安部隊は北部にも配備されているけれど、こちらの騎士様は高齢で衛兵達も北部出身者が多いため優しい。今まで荒くれ者の相手などしたことがないのだから仕方ないか。
 首都で騎士をしている知り合いに連絡をとった。彼の父上は騎士団の団長をしている事を知っていたので直接コンタクトをとったほうが早いから。
 するとその知り合いの騎士様が数名の騎士を連れて直接派遣されて来た。
「ようこそ、北部へ。」
 彼にしては珍しくふてくされぎみに。
「父に話したら私に行くよう命令されました。
 そしてリリアンを落としてこいとね。」
 アレックス様だ。
 彼は学園を卒業後騎士団に入った。
 元からステキだったけど騎士団に入って鍛えられ逞しくなったみたい。胸板の厚みがいいわ。
「まさかアレックス様が派遣されて来るとは思わなかったわ。」
 一年間を目処に治安部隊を新しく編成し、訓練してくれる。
「一年くらいレナードは待ってくれるわよ。」
「なっ、ちょっ…それは!」
 ふふん、いつもすました顔しているアレックス様が慌てる。
 この男、私に会いにノクチュルヌ(ワインバー)に来ているのかと思いきや、目当てはレナードだった。(ちょっと悔しい)
「私の抜けた分の仕事を全部まかせてきたから、忙しくて女も男も作ってる暇なんてないわよ。」
 レナードにはヴィニョーブル全店の統括マネージャーを任せた。
「いつから知っていた?彼には何も言ってないよね?」
 うはぁ~欠点も弱点も無いようなアレックス様の秘密を握ってしまった。楽しい~。
「言ってないよぉ~誰にも言わないわ。私一人でニマニマしながら楽しむもの。」
 アレックス様が来てから楽しみが一つ増えた。
 治安部隊の訓練の見学。
 北部は美形が多いのだけれど、そこへ首都の洗練された騎士達が加わるとそれはもう見ごたえ満点。
 上半身裸だったりもするから筋肉眺めたり、勝手にカップリングしたり。(腐)
「リリアン…いやらしい目で騎士達を見ないでくれないかな?やたらやる気が上がって暑苦しくなるから。」
「あらやだアレックス様ったら、領主の娘として視察しているだけですわ。」(涎)
「レイモンド様と別れてから性格変わった?」
「変わってないよ、元から男好きですよ。」
「やめなよー、そんな冗談聞いたら本気になる奴でてくるよ。」
「アレックス様だからいいでしょ?」
「完全に対象外にされたな。」
「いいえ、アレックス様にはたいへん興味があるわ。
 …どっち?」
「…何が?」
「その…あれよ。」
 さすがに口にするのは憚られるわ。
 受けか攻めなんて。
 
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