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   リリアン視点

 結婚式から五年。
 私は二児の母になっていた。
 三歳のルドルフと今日一歳の誕生日パーティーをするアンドレア。
 共に黒髪に深いブルーの瞳の男の子だ。
 パーティーにはクラウディア様も来てくれた。
 クラウディア様は長男のケイン皇子(8歳)とクラウス皇子(6歳)ミカエル皇子(4歳)の三人の子持ちだ。
 クラウス皇子とミカエル皇子はザカリー家の特徴を色濃く受け継ぎ黒髪に碧眼だ。
「なんかこうしてみるとお兄様が増殖してるみたい。」
 たしかにレイモンド様に似てる子が四人もいる。
「かわいい…。」
「確かに今はかわいいよ。」
「あら、レイモンド様は今でもちょっとかわいいわよ。」
「うわぁ…。」
「なによ?クラウディア様自分もそっくりなのよ?」
「言わないで!
 あいつさあ、何なの?前髪とうとう後退しはじめたの?」
 レイモンド様は最近やっと人前でも前髪を下ろしてくれるようになった。
 鍛練もずっと続けていて歳を重ねるごとに色気も増してきた。
「ステキでしょう?だんだんかっこよくなってきて困ってるのよ。あからさまに色目を使ってくる女が増えて。」
 私達の視線に気づいたのか優しく微笑む。
 背後の奥様方から小さな悲鳴があがる。
 私に微笑んだんだからね!
「…笑った?ねえ、あいつあんな顔で笑うようになったの?」
「そうよ、かわいいでしょう?」
 そう、レイモンド様は表情が豊かになった。
 入り口辺りがざわめく。
 遅れて来たカイル皇太子殿下とケイン皇子だ。
 カイル殿下は相変わらずキラキラしてるのに加え、ケイン皇子も最近めっきりキラキラしはじめて眩しいったらないわ。
「ようこそお越しいただきまして、ありがとうございます。」
「アンドレアの誕生日おめでとう。
 君は相変わらずかわいい。レイモンドは優しくしてくれるかい?不満があればいつでも私を頼ってきなさい。」
 うん、カイル殿下も相変わらずね。
 髪の匂いを嗅ぐな!
「ケイン皇子もようこそお越しくださいました。」
「うん、遅くなってごめんね。
 法律の授業が長引いちゃって。」
 ケイン皇子は見た目はカイル殿下そっくりなのに、クラウディア様に似たのかとても優秀だ。カイル殿下が…とは言わないが。
「とても興味深い内容だったんだ。
 なんとね、我が国の法では血縁関係の無い伯母と甥は結婚できるんだよ。」
 ん~…。
「伯父上に万が一の事があればいつでも僕に頼ってね。」
 手を取り口付けをする。
 ん~…。困った父子だこと。
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