絶対許さない

雪猫 天

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14. 雇用先へのあいさつは大事

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「ミーツ、体調はどう?」

レストランの夜から翌々日、ミーツはルイはかいがいしく世話をされていた。

「…しばらく、顔を見たくないって昨日も言ったよね?」

「うん!今日はその見たくないが、どの程度まで見たくないになったか聞いたの」

「…会話が成り立っているのかなこれ…」

「君との会話ならどんなものでも成り立たせるよ」

とても晴れやかな笑顔でルイは答えた。
ようやくベットから出られるようになったミーツのために暖かい飲み物を準備し、朝食までセッティングがすんでいる。

焼きたての丸パンに湯気の立つスープ、カリっと焼かれたベーコンの上には黄金色の食べ御焼きが載っている。

ザ・朝食

大変おいしそうである。

「料理って、視界の暴力だよね」

「ん?それ誉め言葉?」


ルイとミーツは少し遅めの朝食を食べながら情報を整理した。

「そういえばミーツ、君これから一人歩きは禁止ね」

「なんで?」

「…狙われているからだよ」

「!」
すべて飲み込んでから言ってくれるのはありがたいと思いながら、驚くという器用な感情処理をしながらルイに話の続きを促す。
みた
「商業ギルドの捜査権限はね、捜査を依頼した人が法廷で宣言することで開始されるんだ。結構前に、捜査権限を政治利用した奴らがいてね。政敵の貴族を蹴落としたい奴がギルド加盟者を金で雇って捜査依頼を頻繁にさせたんだ。ギルドの捜査権は後ろ盾のない人間でも依頼できるし、ギルド以外に依頼した人間の情報が漏れないようになっていた。で、依頼したギルド加盟者は依頼だけしてあとは姿をくらますってことが続いてね。しかも捜査依頼の内容がでっち上げばかりだったんだ。その結果、依頼者にも責任を持たせるために捜査、逮捕を行う前に、法廷でその証言を行うことが義務図けられたんだ。これは代理をたてることはできない。」

「僕はこの1週間以内に法廷で証言する必要があるってこと?でそれをさせないためにブー子爵が俺になんかしてくると?」

「あー、子爵が何かしてくるっていうのはそう。ただ、君が証言をするのは捜査依頼日から1週間後、その日に証言する必要がある」

ミーツは口元に手を添えてうなる。

「うーん?その日限定?」

「厳密には、今は捜査権を使用していいですか?っていうのを上に通知して、許可をもらっている状態。そして捜査自体を始めるために法廷で依頼者の証言をとるっていうのが1週間後の日に当たる。法廷の日時とかも決まっているからギルドから連絡があるはずだよ。」

「ややこしいんだね」

「まあ、これを乗り切ればミーツはあとはゆっくりしていいからね」

「ん、わかった。ところで今日、外出って可能?」

コーヒーカップを持ちながら、言いづらそうにミーツは問いかけた。

「…今危険性を説明したところだよ。用事があるの?」

ルイは困った子を見つめる目で見ている。

「…借家の荷物取りに行きたい。今日が最終日だから。それで…」

コーヒーカップを机に置くと改めて頭を下げた。

「今日から、仕事をするのでよろしくお願いします。雇用主様」

ルイはポカーンとした顔ののち爆笑した。

「フハッ!今更?いや?そっか、そうだね。君ここにきてまだ、3日でほぼ僕とセックスして…」

「それを言わないで!!」
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