初恋と悪あがき

村上りく

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第1章

天邪鬼少年 1(sideリュカ)

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「気付かなくてごめんなさい。」のsideリュカです。
リュカくんのこと、覚えていますでしょうか…?
リュカ・アザール 14歳
一華(アイ)の元ご主人様です。

-----------------------------------------------



sideリュカ

アイツと初めて会ったのは4年前。
父親や母親だけじゃなく、親戚も全員殺されたらしい。
従姉妹の誕生日パーティー中、全員分の食事に毒が仕込まれてたなんてとんでもない話だよな。
親父が勝手に引き取ってきて一族全員大反対だったけど、俺が「良いじゃん、かわいそーだし」と言ったら皆納得した。
当時の俺の天使のような見た目に皆メロメロだったからな。
アイツの絶望のどん底にいます、みたいな顔を見たらさすがに哀れになって言ってやった。
世界の共通語であるアン語の読み書き出来ないし魔法も使えないって言った時はさすがにマジかと思ったけど、覚えが早いから良しとした。

愛想がなくて生意気だけど、時々嬉しそうな顔や幸せそうな顔を見せる。
ずっと俺の傍に置いておくつもりだ。
だって、俺が拾ったんだから俺のモノだろ?


٭❀*


「めんどくせぇ」

「そんな事を仰らないでください、もう14歳ですから婚約を視野に入れないといけません」

執事のグリゴリーがぺったりしたロマンスグレーの髪の毛を撫でながら言った。

「最有力としましては、シャローヴァ家のご令嬢ソフィア様ですね。可愛らしいご容貌ですし、お家柄も申し分ありません」

見合いの写真のソフィア様とやらは確かに顔は可愛い。
でもなー、なんか性格悪そう。
それに婚約とかまだしたくねぇし。

「じゃあ見合いだけはそいつとするよ、すればいいんだろ?会うだけなら良いよ」

「承知致しました。それでは明日の朝にいらっしゃいますので準備のほどをよろしくお願い致します」

それ、勝手に決めてただろ。
面倒臭いから言わないけど。
アザール家の次男として生まれ、何不自由なく生活してきたけど最近結婚だの婚約だの見合いだの、周りがうっとおしい。

「あ、グリゴリー。一華いちかに茶を運ばせろ」

「……一華でなくてもよろしいですか?」

「早くしろ」

「……承知致しました」

グリゴリーは何か言いたげな顔をしていたけど無視した。
たぶん一華をよく思ってないから文句があるんだろう、無視するけど。

数分後、一華が紅茶とケーキを持って現れた。

「失礼します、お持ちしました」

「あ?そこら辺置いとけ」

「紅茶が冷めてしまいますよ?」

「じゃあお前が飲めばいいだろ」

「これはリュカ様の紅茶とケーキです」

「良いって言ってんだろ?そこに座って早く飲めよ」

一華はにこりともせずソファに座り、まだ熱いであろう紅茶を一気に飲んだ。
おいおい、そんなに早く飲んだら火傷するだろ。
表情を変えずに飲みきり、「あつ…」と小声で言った。

「そりゃ、熱いだろ。バカなのか?」

「リュカ様が飲めと仰ったんですよ」

「ゆっくり飲んでけば良いじゃねぇか」

「仕事中です」

「じゃあ、ケーキ食べさせろよ」

「え?」

俺はベッドから起き上がり、一華の正面に座った。

「主人の命令だろ、仕事放棄すんのか?」

ニヤリと笑うと一華はため息をついて立ち上がった。
隣に座ってケーキを口に運んで来た。

「どうぞ」

ほんとは「あーん」とか言わせたいけどキレられるからやめとく。
最初の頃はやらせてたけどな。
最近こいつ、生意気になりやがって。

「ん、うまい」

「良かったです。後はご自分でどうぞ」

そう言いながら立ち上がった一華の頬は赤い。
表情は顔に出ないけど、しっかり赤いぞー。
これを見たくてやってるんだからもっと見せろ。

「まだ居ろ」

手を掴んで座らせる。

「し、仕事中なので失礼します!」

俺の手を振りほどき、部屋を出て行った。

「おもしれー」


一華の反応を見て楽しむ。
俺こと、リュカ・アザールの日課だ。
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