初恋と悪あがき

村上りく

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第1章

奇跡は私の知らない間に 4

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sideアイ

《ゴンゾウって何だよ!やめろやめろやめろ……》

何よ、可愛いじゃない権蔵って。
契約した精霊の名は人間が付ける決まりだ。
どうしてもサン国風の名前にしたかったので「権蔵」だ。

「それではアイ・ラッセルと権蔵ごんぞうの契約は、これで成立とします」

騒ぎ立てる権蔵さんはその一言で容赦なく第一形態に戻された。
大型の精霊は普段は体力の消費の少ない第一形態で過ごす。
権蔵さんは、ライオンのぬいぐるみのように可愛らしい姿になって私の腕の中に収まった。

か、か、かわいい~…。
毛並みもふわふわで、気持ちが良い。
鋭い目付きで私を睨む権蔵さんを抱えたまま教会の出口に向かった。

《おい、カプセルの中に戻せ!第一形態を他の精霊やつらに見られたらどうすんだよ》

「カプセル」に入ると、精霊は小さな光の玉に見える。
精霊は基本的に光の玉の状態で生活する。

「可愛いですよ」

権蔵さんにそう言って、教会を出るとノアが待っていてくれた。
《舐められるから嫌なんだ》と不貞腐れている権蔵さんは放っておくことにした。

「アイ契約おめでと……………え!!」

ノアは権蔵を見ると目を見開いた。

「アイ、カタルスと契約したのか」

「カタルス?」

《おいお前、俺の事ずっとライオンだと思ってたろ?》

「違うんですか?」

《オレはカタルスって言う魔獣だよ、覚えとけ!……こいつは知ってたみたいだな、誰だ?》

権蔵さんはノアを見てそう言った。
ノアは権蔵さんを見て目を輝かせている。

「すごい…初めて見た、第一形態だ」

「権蔵さん、彼はノア・マクファーソンです」

《オレのすごさが分かってるってことはそれなりに勉強してるんだな、【精霊付】みたいだし》

そうだ、ノアも【精霊付】になったんだった。
ミリア先生によると、ビニールハウスに入った瞬間精霊たちがノアを取り合っていた…とか。
開始10分しない内に契約する精霊を連れて教会に一番乗りだったらしい。
流石ノアだ。

「カタルスはネコ科の魔獣だよ。まぁ、ライオンと間違えるのも無理ないよ。そっくりだもんな」

そうなんだ。
全く知らなかった。
《あんな奴らと同じにするな》と、ライオンのぬいぐるみ感満載の権蔵さんは言った。

「俺も紹介しなきゃな」

ノアはそう言って近くの木に止まっていた光の玉を肩に乗せた。
すると、光はみるみる形を変えた。

「俺が契約した、メラニーだ」

ノアの肩にいたのは真っ黒なフクロウだった。

《ごきげんよう、ノアのパートナーのメラニーよ。話は聞いていたわ。アイと権蔵ね》

上品で落ち着いた話し方。
人間だったら絶対綺麗系のお姉さんだ。
さっきまで偉そうにしていた権蔵さんもうっとりしている様子。

「はい!よろしくお願いします」

「じゃあ、紹介も終わったしそろそろクラスのところへ行こうか」

「そうだね」

権蔵さんとメラニーさんは光の玉になり、私たちは集合場所まで歩いた。


٭❀*


「2人とも【精霊付】になれて良かったな。アイが遅くて心配してたんだぞ」

「ごめんね…実は気を失っちゃって」

ははは…と軽く笑いながら言った。
クラスの集合場所へ着くとまだ全員揃っていなかったので、ベンチに座って2人で話していた。

ノアは酷く心配そうな顔で、

「そういうことは早く言えよ………顔色は、悪くないな。熱か?」

そう言いながら頬っぺたやおでこを触って来る。
いや、そんな事されたら熱が出る。
恥ずかしくて、顔が赤くなるのを感じた。

「だ、いじょうぶっ!」

「そうか?顔、赤いけど。具合悪くなったらすぐ言えよ」

「ありがとうね、でも大丈夫!」

ノアは「そっか」と言いながら笑った。
心臓がより一層うるさくなった。
静まれ私の心臓…。
他のことを考えよう。

権蔵さん仲良くなりたいな、どうすれば良いだろう。
まずは家に帰って自己紹介を改めてして、『オニ』についても色々聞きたいことがあるし…。

「あ」

記憶を少し思い出したことをノアに言ってない。

「アイ、どうした?」

「あ」が声に出ていたらしい。
ノアが不思議そうな顔をする。

「うん、あのね…」


私は権蔵さんと契約した経緯を話した。






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