初恋と悪あがき

村上りく

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第2章

やっぱり、少し苦手なタイプだ

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sideアイ

今日、私は知らない人に抱き締められた。



しかも、その相手はすごく嫌な人で。
人違いでハグをしてきたくせに謝らないし、私の尊敬している人を悪く言うし、すごく嫌な人!
でも、今日はルークくんの誕生日パーティがあるから気分を上げて、ルークくんが喜んでくれるようにしっかりお祝いしようと思った。
それに、ノアが友達を紹介してくれるって言っていたからとても楽しみにしていた。
門の外まで迎えに行くと立派な馬車の中から背の高い男の子が出て来た。
その男の子、アレクくんも私を誰かと勘違いしているみたい。
私の顔はさほど特徴がないよくいる顔だから……1日に2回間違われても不思議では無い、かな?

そう思って自分を納得させた瞬間。

馬車の中から金髪碧眼の男の子が出て来た。

「リュカくん!?どうしてここに!?」
「はぁ?何でここに居るんだよ!?」

叫んだのは、同じタイミングだった。

「私はルークくんをお祝いに来たの、親戚だし」

「俺はアレクに連れて来られたんだ!」

じゃあ、ノアが私に紹介したいと言っていた昔からの友人はアレクくんで、その幼馴染はリュカくんなんだ……。
すごい偶然。

「……2人、友達だったのか?」

ノアが顎に手を当てながら言った。
何と言えば良いんだろう、友達とは言えない。
今日会って抱き締められた仲……というか、間違え合った仲というか…。

「そんな訳ねぇだろ」

私が返答に困っていると、リュカくんは不機嫌な声で言った。

「ちょっと顔見た事あるだけだ。ほら、中入るぞ」

「リュカ、ちょっと待ってよ」

すたすたと歩き始めたリュカくんをアレクくんが慌てて追いかける。
「ちょっと顔見た事あるだけ」って、間違ってはいないけどさ…。
もう少し言い方をどうにか出来ないのか。
やっぱり、少し苦手なタイプだ。



٭❀*



「アイちゃん、皆と話して来て良いよ?」

ノア、アレクくん、リュカくんは3人で盛り上がっている。
私とルークくんは少し離れた所で飲み物を飲んでいた。
さっきからリュカくんを気にしてチラチラと見ているのにルークくんは気が付いたんだろう。

「ごめんねルークくん、大丈夫だよ」

「本当は、リュカくんとお友達?」

「一応ね」

リュカくんには「顔見た事あるだけ」と言われてしまったが、説明すると長くなるのでそういう事にした。
私が何故リュカくんを気にしているか。
それは、今日のパーティにサシャさんも来るらしいからだ。


『あの最低男の話すんじゃねぇ。気分が悪い』
『お前は顔に騙されてんだよ、本性知ったら多分泣くぜ?』


リュカくんの失礼極まりない発言を思い出すと、サシャさんと仲が良くないように思える。
2人が会ってしまって大丈夫なんだろうか。
兄弟なのに一緒に来ないということは、お互いが同じ場所に行くことを知らないんじゃないか。
そういった心配をし始めたら止まらなくなった。


せっかくのルークくんの誕生日なのに、兄弟喧嘩とかされたら困るよ…。


私は早くサシャさんを見つけようと、グラスを片手に会場を見廻す。
リュカくんはやっぱりサシャさんにそっくりでついつい見てしまう。
兄弟ってこんなに似るものなんだなぁ。
ノアとルークくんも似ているけど、そこまでじゃないし。
もしかして、ルークくんが大きくなったらもっと似てくるのかな。
ちっちゃくて可愛いままでいて欲しいと思っちゃうなーー…。


「アイちゃん!」

「はい!」

ぼんやりしていると、ルークくんが少し怒ったように言った。

「ねーえ、何考えてるの?せっかくなんだからお話しようよ」

「ごめん、ごめんねルークくん」

「……兄様のこと考えてた?」

「ノアのこと?」

「だってアイちゃんずっとあっち見てるよ」

拗ねてしまった。

私は謝りながら膝を折ってルークくんと目線を合わせた。

「ごめんごめん。でも、どっちかって言うとルークくんのこと考えてたよ」

そう言ってポンポン頭を撫でた。
ご機嫌ななめになった時はこれをすると許してくれる。

「……………ども扱い……」

「え?」

小声で何か言った気がしたけど聞き取れなかった。





「……しょうがないから許してあげる!」

ルークくんはほっぺを赤く染めて言った。




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