初恋と悪あがき

村上りく

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第2章

私のこと嫌いでしょう? 2

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sideアイ

リュカくんが居なくなってからも暫く混乱状態だった私は、1限目が始まった現在もリュカくんが何を考えているか分からなかった。

『俺ら今日から友達になろうぜ』

……何か企んでいるとしか思えない。
今思えばあの時のリュカくん、悪い顔をしていた気がする。

はぁ。

今は紅花ホンファちゃんの事だけ考えたいのになぁ。
そう思いながら横目で隣を見る。
教科書も開かずに机に突っ伏している紅花ちゃん。
今日初めての授業なのに…。
数学の二ザリア先生は寝ている生徒がいても気にしないタイプみたいだ。
声が小さくて、細くて、オルゴールみたい。
私も眠くなってきてしまった。
ふああ、とついつい欠伸をしてしまう。

「「あ」」

紅花ちゃんと目が合った。
しかも、2人で欠伸をしながら。
紅花ちゃんは薄く笑って、慌てて真顔になった。

か、かわいっ!

満面ではないがスマイル頂きました。
美少女の微笑みは破壊力がとんでもない。
緩んだ顔をして紅花ちゃんを眺めていると、ギロリという効果音が聞こえてきそうな程睨まれた。
私、嫌われてるな~。
何とかして好感度を回復しないと、合宿勧誘どころか友達にさえなれない。

数学の授業の終わりを告げるチャイムがなった。

「あの、紅花ちゃん!」

「………何?」

紅花ちゃんは面倒臭そうに上目遣いで私を見た。

「お話があるんだけど、良いかな?」

「だから、何?」

これは…一応聞いて貰えるらしい。

「あのね、先生からも言われたと思うんだけど。守護者ガーディアン研修生候補合宿の話をしたいんだ」

「あんたも行くの?」

「私?うん、もちろん!」

「じゃ、1人で行けば」



ゴーーーン



一瞬で振られた。
しかし、こんな所でめげるアイ・ラッセルではない。
記憶喪失になってもピンピンしていた女だもん!

「あと、この前『紅花ちゃん』て呼ぶなって言ったでしょ」

紅花ちゃんは私をもうひと睨みして、教室を出て行った。



……説得するのは時間がかかりそうだ。



٭❀*



「ノアー!聞いてよ、紅花ちゃん全然聞く耳持たずって感じなんだよ!」

あの後も何十回と振られた私はかなり参っていたためお昼休みにノアについつい愚痴ってしまう。
2人で中庭のベンチに腰掛け、お弁当を広げる。
今日のおかずはクロエさん特製ミニハンバーグだが、疲れであまり味がしない。

「入学早々大変だな」

ノアは穏やかな声で言った。
眉毛をへの字にさせて、心配してくれているのだろう。

「そうなんだよ…。あ、それと、今日の朝いきなりリュカくんに呼ばれて……」

カシャーンッ

ノアが通信用魔石を地面に落とした。
大慌てで拾い上げると、食い気味で聞いてきた。

「もしかして、何か言われたのか?」

急に距離を詰められてビックリしてしまう。

「何かって程じゃないんだけど、……と、友達になろうって…」

「……ん?友達?」

ノアは元の距離感に座り直して、キョトンとした。

「そう。朝教室まで来て呼び出されるから何かなーと思ったら、『俺ら今日から友達になろうぜ』って言われたの」

リュカくんの声真似をして言うと、ノアが吹き出した。

「アイ……それは怒られるぞ」

「ノアも笑ってるけどー?」

2人で笑いあってから、ノアは少し真面目な顔つきになった。

「で、友達っていうのは?」

「私も分からない、いきなり言われたんだもん。『返事は放課後な』とか言ってくるし」

「…あいつ………」

「ノア、何か知ってる?」

ノアはリュカくんとすぐ仲良くなったみたいだから、何か聞いているかもしれない。

「え?…いや分からないな、リュカは不思議なところがあってさ。良かったら俺も放課後一緒にあいつのとこ行くよ」

「ありがとう」









呑気にお弁当を食べているこの時の私は知らなかった。
放課後にどんな修羅場が待ち受けているかなんて………。


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