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第2章
涙の力
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sideアイ
サシャさんと紅花ちゃんを2人きりにしたのは、気を利かせたつもりだったから。
2人は絶対両思いなんだから、もしかして良い感じになってるかも、なんて思っていた。
「アイ」
私とノアが保健室を出て少し歩いた所にあるラウンジにいると、サシャさんがやって来た。
私が出て行ってからまだ10分も経っていないのに。
「あれ、サシャさん。紅花ちゃんの様子はどうですか?」
「ちょっと急用が出来ちゃって。来たばっかりで申し訳ないけど、帰るね。アイは紅花の所に戻ってやってくれないかな?」
サシャさんは顔の前で両手を合わせた。
急用って言われたらどうしようもない。
サシャさんは多忙な守護者だ。
もしかしたら【オニノヤガラ病】の人が出たのかもしれないし。
「紅花のこと、頼んだよ。…………ごめんね」
サシャさんはやけに思い詰めた顔で言った。
「送ります」とノアが言い、2人ともいなくなった。
「帰っちゃった……」
あんなに焦って紅花ちゃんに会いに来たのに、10分も話さず帰ってしまうなんて。
きっと、もっと話したかっただろうな。
私は教室に寄って荷物を取ってから向かった。
ノックをし、保健室に入ると、紅花ちゃんはぼんやりと窓の外を眺めていた。
私が入って来たのに気付かないくらい、ぼうっとしていた。
「紅花ちゃん?」
紅花ちゃんの目には、涙が溜まっていた。
…………どうして。
サシャさんと何かあったのかもしれない。
私はそこまで考えて、さっきの彼の表情を思い出した。
『紅花のこと、頼んだよ。…………ごめんね』
そう言った時のサシャさんは、どこか苦しそうだった。
「紅花ちゃん……何が、あったの…?」
「………アイ」
私が声をかけた時、紅花ちゃんは瞬きした。
涙が白い頬を伝った。
「サシャさんは帰った?」
紅花ちゃんの声は落ち着いていた。
そして、私が頷くと彼女は意外にも笑った。
「今回は、好きって言わせてもくれなかったの。言う前に、止められちゃった」
彼女の悲しそうな笑顔に、心臓が掴まれたみたいに苦しくなった。
そして、サシャさんの行動が理解できなかった。
サシャさんは優しくて大人で、人の気持ちを大切にする人だ。
自分を思ってくれている子の告白を聞かないなんて有り得ない。
「……ははっ、何でそっちが泣いてんの?」
紅花ちゃんは笑ったけど、私はダメだった。
紅花ちゃんの方がうんと辛いのに、私は泣く権利なんてないのに。
「ごめん、なさ……」
涙は止まってくれなかった。
好きな人に思いを伝えられないまま終わってしまう。
それがどれだけ辛いことか。
私は知っていた。
「ほ、紅花ちゃ…………。どうして」
「笑ってるの」と聞きたかったけど、声が出なかった。
「『初恋は叶わない』って、本当にそうだよね。…………もー、あたしより泣かないでよ!」
紅花ちゃんはワイシャツの袖で私の顔をごしごし拭いてくれた。
ちょっと痛い……と思ったけど、私はもう喋れる状態じゃなかった。
「紅花ぢゃぁぁん」と、なんとか鼻声で言いながら抱きついた。
「ちょ、汚い!泣き方きたな!」
紅花ちゃんはそう言いながらも離れようとはしなかった。
٭❀*
鼻をかみ、涙を乾かし、落ち着いてきた。
まさか私まで号泣するとは。
紅花ちゃんはぐしょぐしょになったワイシャツを見て、私を睨んだ。
「ちょっと、クリーニング代払ってよね」
「は、払う!ごめんね………」
私はクリーニング代っていくら位だろうと考えながらカバンを漁った。
「あーー、やっぱ良いよ。面倒だから」
「えっでも…」
「その代わり」
その代わりぃ!?
一体どんなすごい条件が……。
「あたしの恋に協力してよ」
「へぇ?」
自分でもびっくりする程間抜けな声が出た。
だって、恋に協力??
さっき、恋が終わって泣いてたのでは??
私は目一杯頭を使った。
けど、その意味は分からない。
「あたしがサシャさんのこと諦めたとでも思ってる?」
嘘でしょ?
「え、だって。さっき初恋は叶わない~とか何とか言ってたから……」
「叶わないって言われてるってだけの話でしょ?努力でカバーするんでしょ?足掻いて足掻いて、足掻き抜いて、成就するのよ!」
紅花ちゃんはガッツポーズした。
ええええええええ。
じゃあさっき泣いたのは何??
そう思いながら紅花ちゃんを見た。
すると、心を読んだみたいに紅花ちゃんは言った。
「泣くとスッキリするでしょ?そしたらもう1回仕切り直し!!」
私は苦笑した。
だって、さっきまでボロボロ泣いてたんだよ?
それなのにこの切り替えの速さ……。
私は、紅花ちゃんのことがもっと好きになった。
サシャさんと紅花ちゃんを2人きりにしたのは、気を利かせたつもりだったから。
2人は絶対両思いなんだから、もしかして良い感じになってるかも、なんて思っていた。
「アイ」
私とノアが保健室を出て少し歩いた所にあるラウンジにいると、サシャさんがやって来た。
私が出て行ってからまだ10分も経っていないのに。
「あれ、サシャさん。紅花ちゃんの様子はどうですか?」
「ちょっと急用が出来ちゃって。来たばっかりで申し訳ないけど、帰るね。アイは紅花の所に戻ってやってくれないかな?」
サシャさんは顔の前で両手を合わせた。
急用って言われたらどうしようもない。
サシャさんは多忙な守護者だ。
もしかしたら【オニノヤガラ病】の人が出たのかもしれないし。
「紅花のこと、頼んだよ。…………ごめんね」
サシャさんはやけに思い詰めた顔で言った。
「送ります」とノアが言い、2人ともいなくなった。
「帰っちゃった……」
あんなに焦って紅花ちゃんに会いに来たのに、10分も話さず帰ってしまうなんて。
きっと、もっと話したかっただろうな。
私は教室に寄って荷物を取ってから向かった。
ノックをし、保健室に入ると、紅花ちゃんはぼんやりと窓の外を眺めていた。
私が入って来たのに気付かないくらい、ぼうっとしていた。
「紅花ちゃん?」
紅花ちゃんの目には、涙が溜まっていた。
…………どうして。
サシャさんと何かあったのかもしれない。
私はそこまで考えて、さっきの彼の表情を思い出した。
『紅花のこと、頼んだよ。…………ごめんね』
そう言った時のサシャさんは、どこか苦しそうだった。
「紅花ちゃん……何が、あったの…?」
「………アイ」
私が声をかけた時、紅花ちゃんは瞬きした。
涙が白い頬を伝った。
「サシャさんは帰った?」
紅花ちゃんの声は落ち着いていた。
そして、私が頷くと彼女は意外にも笑った。
「今回は、好きって言わせてもくれなかったの。言う前に、止められちゃった」
彼女の悲しそうな笑顔に、心臓が掴まれたみたいに苦しくなった。
そして、サシャさんの行動が理解できなかった。
サシャさんは優しくて大人で、人の気持ちを大切にする人だ。
自分を思ってくれている子の告白を聞かないなんて有り得ない。
「……ははっ、何でそっちが泣いてんの?」
紅花ちゃんは笑ったけど、私はダメだった。
紅花ちゃんの方がうんと辛いのに、私は泣く権利なんてないのに。
「ごめん、なさ……」
涙は止まってくれなかった。
好きな人に思いを伝えられないまま終わってしまう。
それがどれだけ辛いことか。
私は知っていた。
「ほ、紅花ちゃ…………。どうして」
「笑ってるの」と聞きたかったけど、声が出なかった。
「『初恋は叶わない』って、本当にそうだよね。…………もー、あたしより泣かないでよ!」
紅花ちゃんはワイシャツの袖で私の顔をごしごし拭いてくれた。
ちょっと痛い……と思ったけど、私はもう喋れる状態じゃなかった。
「紅花ぢゃぁぁん」と、なんとか鼻声で言いながら抱きついた。
「ちょ、汚い!泣き方きたな!」
紅花ちゃんはそう言いながらも離れようとはしなかった。
٭❀*
鼻をかみ、涙を乾かし、落ち着いてきた。
まさか私まで号泣するとは。
紅花ちゃんはぐしょぐしょになったワイシャツを見て、私を睨んだ。
「ちょっと、クリーニング代払ってよね」
「は、払う!ごめんね………」
私はクリーニング代っていくら位だろうと考えながらカバンを漁った。
「あーー、やっぱ良いよ。面倒だから」
「えっでも…」
「その代わり」
その代わりぃ!?
一体どんなすごい条件が……。
「あたしの恋に協力してよ」
「へぇ?」
自分でもびっくりする程間抜けな声が出た。
だって、恋に協力??
さっき、恋が終わって泣いてたのでは??
私は目一杯頭を使った。
けど、その意味は分からない。
「あたしがサシャさんのこと諦めたとでも思ってる?」
嘘でしょ?
「え、だって。さっき初恋は叶わない~とか何とか言ってたから……」
「叶わないって言われてるってだけの話でしょ?努力でカバーするんでしょ?足掻いて足掻いて、足掻き抜いて、成就するのよ!」
紅花ちゃんはガッツポーズした。
ええええええええ。
じゃあさっき泣いたのは何??
そう思いながら紅花ちゃんを見た。
すると、心を読んだみたいに紅花ちゃんは言った。
「泣くとスッキリするでしょ?そしたらもう1回仕切り直し!!」
私は苦笑した。
だって、さっきまでボロボロ泣いてたんだよ?
それなのにこの切り替えの速さ……。
私は、紅花ちゃんのことがもっと好きになった。
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