初恋と悪あがき

村上りく

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第2章

ノアは心配性

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sideアイ

「……じゃあ、その物凄い腫れてる目元は、友情の証ってことでまとめて良いの?」

「うん」
「まあ、一応ね」

ノアの問いかけに、私と紅花ホンファちゃんは答えた。
「一応って何!?」と聞くと、面倒臭そうに目を逸らされた。
さっきまで共に泣き、笑い合った仲だと言うのに………!?!?
私は納得いかずに紅花ちゃんを見た。

「……これ、一応。じゃああたし帰るから」

紅花ちゃんはメモ帳を私の掌に置くと、あっさり下駄箱へ向かってしまった。
何故!?
どうして!?
芽生えた友情は、枯れてしまったのか。
私が紅花ちゃんの後ろ姿に手を振っていると、ノアがニコニコしながら覗き込んで来た。

「本っ当に何も無いんだな?」

「え、あ、もちろん!」

「本当に、誰かに泣かされたわけじゃないんだよな?」

笑顔だけどどこか禍々しいオーラを放つノア。
これ、誰かに泣かされたって言ったらその人の人生を終了させようとしてる顔だよ。
ノアって怒らせるとやばいんだよな……と思いながら掌を見た。
紅花ちゃんから貰った紙には、連絡先が書いてあった。
これって………!!
紅花ちゃん、連絡先教えてくれたんだ。

「アイ、ポワポワしてないでちゃんと前見ろよ」

「うん!」

私は嬉しくなってテンション高めで返事をした。
紅花ちゃんとの距離が近付いたことが嬉しすぎて今なら高所テストの塔も一瞬で登れる気がする~。

そう思ってから気付いた。

あれ、私。
テスト全部やってないぞ?
紅花ちゃんを助けた後、精神力と魔力を使いすぎて全然動けなかった。
まずい。
私、確実に紅花ちゃんに負けてる。
頭を抱えたけど、どうにもならない。

「本当に大丈夫か?」

「う、うん。………しょうがないことだから…」

私が勝負に負けて、守護者ガーディアン研修生希望者合宿に行けないかもしれないと話すと、ノアは、

「紅花さんだって理解してくれるだろ。アイは恩人なんだぞ?」

「そうだと良いけど……」
 
私がため息をつくと、ノアは笑った。

「アイはすごいな。色んな人を助けてる」

ノアは大袈裟だな。
私が「そんなことないよ」と言うと、ノアは真剣な顔付きになった。

「助けてる分、アイも何かあったら絶対に言うんだぞ」

前からそうだったけど、最近のノアは特に過保護だ。
「何かあったら言え」って、何度も言ってくる。
私ってそんなに頼りないのかな。

「心配いらないって。ノアこそ、溜め込まないようにね?」



格好付けてそんな事を言ったが、1週間後に助けを求めることになった─────




٭❀*




「赤点及び未受験者はこれから1週間補習よぉ?」

担任のニコル先生はおっとりとした口調で言った。
今日の朝から、先週行われた実技テストの順位が廊下に張り出されている。
私の名前はランク外だ。
未受験者扱いになったのだろう。
補習って……そんな…。
しかも、課題もある。
苦手な数学だ。



「ノア、お願い!」

私はノアの前で両手を合わせた。
今は昼休み。
ノアとリュカくんとアレクくんと────なんとなんと、紅花ちゃん。
5人で昼食を取っているのだ。
実は実技テストの次の日から、「お昼一緒に食べよう」と誘うと、いつも受け入れてくれるのだ。
と、言っても紅花ちゃんはさっきから黙ってパンを頬張っていて、リュカくんとアレクくんは完全に幼馴染2人の世界だ。
そして私は絶賛ノア頼み中。
数学の課題を週末に手伝って欲しいというお願い。
「心配いらないって」とか言ってた1週間前の自分が恥ずかしくて堪らない。
早速頼っている。

「じゃあ、俺の家で皆勉強する?」

リュカくんと話していたはずのアレクくんが急に入って来た。

「勉強会しようよ」

アレクくんは「な?」とリュカくんに同意を求めた。

「アイがどうしてもって言うなら俺ん家でも良いぞ。どうしてもって言うならな!」

リュカくんは偉そうに腰に手を当てた。
全然、リュカくんの家に行きたいとは言っていないけど勉強会は有難い。
もしかして、紅花ちゃんも行くかもしれないし。
私は期待を込めて隣でクリームパンをがむしゃらに食べる紅花ちゃんを見た。

「…………あたしも行く空気にしないでくれる?」

「来たくないなら来んじゃねぇ」

「は?あんたの家なんて行き過ぎて飽きてるし」

紅花ちゃんとリュカくんの言い合いが始まってしまった。

「2人とも落ち着いてくれよ。間をとって俺の家で皆で勉強しよう、どうだ?」

ノアがまとめた。
そして結局、マクファーソン宅で勉強会が行われることになったのだ。





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次話は少し時間が戻ります。
実技テスト中、後のsideリュカになります( ¨̮ )


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