71 / 81
第2章
ノアは心配性
しおりを挟む
sideアイ
「……じゃあ、その物凄い腫れてる目元は、友情の証ってことでまとめて良いの?」
「うん」
「まあ、一応ね」
ノアの問いかけに、私と紅花ちゃんは答えた。
「一応って何!?」と聞くと、面倒臭そうに目を逸らされた。
さっきまで共に泣き、笑い合った仲だと言うのに………!?!?
私は納得いかずに紅花ちゃんを見た。
「……これ、一応。じゃああたし帰るから」
紅花ちゃんはメモ帳を私の掌に置くと、あっさり下駄箱へ向かってしまった。
何故!?
どうして!?
芽生えた友情は、枯れてしまったのか。
私が紅花ちゃんの後ろ姿に手を振っていると、ノアがニコニコしながら覗き込んで来た。
「本っ当に何も無いんだな?」
「え、あ、もちろん!」
「本当に、誰かに泣かされたわけじゃないんだよな?」
笑顔だけどどこか禍々しいオーラを放つノア。
これ、誰かに泣かされたって言ったらその人の人生を終了させようとしてる顔だよ。
ノアって怒らせるとやばいんだよな……と思いながら掌を見た。
紅花ちゃんから貰った紙には、連絡先が書いてあった。
これって………!!
紅花ちゃん、連絡先教えてくれたんだ。
「アイ、ポワポワしてないでちゃんと前見ろよ」
「うん!」
私は嬉しくなってテンション高めで返事をした。
紅花ちゃんとの距離が近付いたことが嬉しすぎて今なら高所テストの塔も一瞬で登れる気がする~。
そう思ってから気付いた。
あれ、私。
テスト全部やってないぞ?
紅花ちゃんを助けた後、精神力と魔力を使いすぎて全然動けなかった。
まずい。
私、確実に紅花ちゃんに負けてる。
頭を抱えたけど、どうにもならない。
「本当に大丈夫か?」
「う、うん。………しょうがないことだから…」
私が勝負に負けて、守護者研修生希望者合宿に行けないかもしれないと話すと、ノアは、
「紅花さんだって理解してくれるだろ。アイは恩人なんだぞ?」
「そうだと良いけど……」
私がため息をつくと、ノアは笑った。
「アイはすごいな。色んな人を助けてる」
ノアは大袈裟だな。
私が「そんなことないよ」と言うと、ノアは真剣な顔付きになった。
「助けてる分、アイも何かあったら絶対に言うんだぞ」
前からそうだったけど、最近のノアは特に過保護だ。
「何かあったら言え」って、何度も言ってくる。
私ってそんなに頼りないのかな。
「心配いらないって。ノアこそ、溜め込まないようにね?」
格好付けてそんな事を言ったが、1週間後に助けを求めることになった─────
٭❀*
「赤点及び未受験者はこれから1週間補習よぉ?」
担任のニコル先生はおっとりとした口調で言った。
今日の朝から、先週行われた実技テストの順位が廊下に張り出されている。
私の名前はランク外だ。
未受験者扱いになったのだろう。
補習って……そんな…。
しかも、課題もある。
苦手な数学だ。
「ノア、お願い!」
私はノアの前で両手を合わせた。
今は昼休み。
ノアとリュカくんとアレクくんと────なんとなんと、紅花ちゃん。
5人で昼食を取っているのだ。
実は実技テストの次の日から、「お昼一緒に食べよう」と誘うと、いつも受け入れてくれるのだ。
と、言っても紅花ちゃんはさっきから黙ってパンを頬張っていて、リュカくんとアレクくんは完全に幼馴染2人の世界だ。
そして私は絶賛ノア頼み中。
数学の課題を週末に手伝って欲しいというお願い。
「心配いらないって」とか言ってた1週間前の自分が恥ずかしくて堪らない。
早速頼っている。
「じゃあ、俺の家で皆勉強する?」
リュカくんと話していたはずのアレクくんが急に入って来た。
「勉強会しようよ」
アレクくんは「な?」とリュカくんに同意を求めた。
「アイがどうしてもって言うなら俺ん家でも良いぞ。どうしてもって言うならな!」
リュカくんは偉そうに腰に手を当てた。
全然、リュカくんの家に行きたいとは言っていないけど勉強会は有難い。
もしかして、紅花ちゃんも行くかもしれないし。
私は期待を込めて隣でクリームパンをがむしゃらに食べる紅花ちゃんを見た。
「…………あたしも行く空気にしないでくれる?」
「来たくないなら来んじゃねぇ」
「は?あんたの家なんて行き過ぎて飽きてるし」
紅花ちゃんとリュカくんの言い合いが始まってしまった。
「2人とも落ち着いてくれよ。間をとって俺の家で皆で勉強しよう、どうだ?」
ノアがまとめた。
そして結局、マクファーソン宅で勉強会が行われることになったのだ。
-----------------------------------------------
次話は少し時間が戻ります。
実技テスト中、後のsideリュカになります( ¨̮ )
「……じゃあ、その物凄い腫れてる目元は、友情の証ってことでまとめて良いの?」
「うん」
「まあ、一応ね」
ノアの問いかけに、私と紅花ちゃんは答えた。
「一応って何!?」と聞くと、面倒臭そうに目を逸らされた。
さっきまで共に泣き、笑い合った仲だと言うのに………!?!?
私は納得いかずに紅花ちゃんを見た。
「……これ、一応。じゃああたし帰るから」
紅花ちゃんはメモ帳を私の掌に置くと、あっさり下駄箱へ向かってしまった。
何故!?
どうして!?
芽生えた友情は、枯れてしまったのか。
私が紅花ちゃんの後ろ姿に手を振っていると、ノアがニコニコしながら覗き込んで来た。
「本っ当に何も無いんだな?」
「え、あ、もちろん!」
「本当に、誰かに泣かされたわけじゃないんだよな?」
笑顔だけどどこか禍々しいオーラを放つノア。
これ、誰かに泣かされたって言ったらその人の人生を終了させようとしてる顔だよ。
ノアって怒らせるとやばいんだよな……と思いながら掌を見た。
紅花ちゃんから貰った紙には、連絡先が書いてあった。
これって………!!
紅花ちゃん、連絡先教えてくれたんだ。
「アイ、ポワポワしてないでちゃんと前見ろよ」
「うん!」
私は嬉しくなってテンション高めで返事をした。
紅花ちゃんとの距離が近付いたことが嬉しすぎて今なら高所テストの塔も一瞬で登れる気がする~。
そう思ってから気付いた。
あれ、私。
テスト全部やってないぞ?
紅花ちゃんを助けた後、精神力と魔力を使いすぎて全然動けなかった。
まずい。
私、確実に紅花ちゃんに負けてる。
頭を抱えたけど、どうにもならない。
「本当に大丈夫か?」
「う、うん。………しょうがないことだから…」
私が勝負に負けて、守護者研修生希望者合宿に行けないかもしれないと話すと、ノアは、
「紅花さんだって理解してくれるだろ。アイは恩人なんだぞ?」
「そうだと良いけど……」
私がため息をつくと、ノアは笑った。
「アイはすごいな。色んな人を助けてる」
ノアは大袈裟だな。
私が「そんなことないよ」と言うと、ノアは真剣な顔付きになった。
「助けてる分、アイも何かあったら絶対に言うんだぞ」
前からそうだったけど、最近のノアは特に過保護だ。
「何かあったら言え」って、何度も言ってくる。
私ってそんなに頼りないのかな。
「心配いらないって。ノアこそ、溜め込まないようにね?」
格好付けてそんな事を言ったが、1週間後に助けを求めることになった─────
٭❀*
「赤点及び未受験者はこれから1週間補習よぉ?」
担任のニコル先生はおっとりとした口調で言った。
今日の朝から、先週行われた実技テストの順位が廊下に張り出されている。
私の名前はランク外だ。
未受験者扱いになったのだろう。
補習って……そんな…。
しかも、課題もある。
苦手な数学だ。
「ノア、お願い!」
私はノアの前で両手を合わせた。
今は昼休み。
ノアとリュカくんとアレクくんと────なんとなんと、紅花ちゃん。
5人で昼食を取っているのだ。
実は実技テストの次の日から、「お昼一緒に食べよう」と誘うと、いつも受け入れてくれるのだ。
と、言っても紅花ちゃんはさっきから黙ってパンを頬張っていて、リュカくんとアレクくんは完全に幼馴染2人の世界だ。
そして私は絶賛ノア頼み中。
数学の課題を週末に手伝って欲しいというお願い。
「心配いらないって」とか言ってた1週間前の自分が恥ずかしくて堪らない。
早速頼っている。
「じゃあ、俺の家で皆勉強する?」
リュカくんと話していたはずのアレクくんが急に入って来た。
「勉強会しようよ」
アレクくんは「な?」とリュカくんに同意を求めた。
「アイがどうしてもって言うなら俺ん家でも良いぞ。どうしてもって言うならな!」
リュカくんは偉そうに腰に手を当てた。
全然、リュカくんの家に行きたいとは言っていないけど勉強会は有難い。
もしかして、紅花ちゃんも行くかもしれないし。
私は期待を込めて隣でクリームパンをがむしゃらに食べる紅花ちゃんを見た。
「…………あたしも行く空気にしないでくれる?」
「来たくないなら来んじゃねぇ」
「は?あんたの家なんて行き過ぎて飽きてるし」
紅花ちゃんとリュカくんの言い合いが始まってしまった。
「2人とも落ち着いてくれよ。間をとって俺の家で皆で勉強しよう、どうだ?」
ノアがまとめた。
そして結局、マクファーソン宅で勉強会が行われることになったのだ。
-----------------------------------------------
次話は少し時間が戻ります。
実技テスト中、後のsideリュカになります( ¨̮ )
0
あなたにおすすめの小説
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
いや、無理。 (本編完結)
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。
一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。
もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、
「わかってくれるだろう?ミーナ」
と手を差し伸べた。
だから私はこう答えた。
「いや、無理」
と。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる