初恋と悪あがき

村上りく

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第2章

今も昔も (sideリュカ)

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「決戦の日 3」頃からのsideリュカです。
リュカの話が何話か続きます。


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sideリュカ

実技テスト最終日。
俺は、凡人との格の違いを見せつけていた。
今のところ学年全体で見てもトップだろう。
テストの最中に女子生徒はキャーキャー騒ぐ。
非常に良い気分だ。
高所テストが終わり、塔から降りても歓声は止まなかった。

「リュカくん~」
「流石だね、リュカくん!」

可愛い女の子たちが俺を褒める褒める。
この感覚だ、最近の俺に足りないものは。
気分よくファンの子に手を振っていると、列の中にいち…………じゃなくて、アイを発見した。
アイも俺にうっとりしていたのだろう、目がバッチリ合った。

「お、アイ!」

さりげなく声を掛けた。
そこまでは良かったのだが、テンションが高くなっていた俺は変なことも言った。

「もしかして俺のこと見てたか!?」

言ってから後悔した。
俺がアイに見られてて嬉しい、みたいな言い方をしちまった。

「うん、並んでたからね。すごかったよ」

しかしアイの返事は、俺をからかうでも無く、憎まれ口を叩くでも無く、シンプルな賞賛だった。
……………は?
俺はものすごい違和感を覚えた。
アイの言葉にどう返せば良いのか分からなくて、フリーズした。
固まる俺を、不思議そうな顔でアイが見つめる。

俺は、お前の方が不思議で仕方ないよ。

「リュカくん?」

アイが首を傾げて覗き込んで来た。
近い。

「………らしくねぇ!!」

俺は振り絞ってそれだけ言って、アイと距離をとった。
何故か、モヤモヤした気持ちがせり挙がってきた。
…なんだこれ……………。

「気持ち悪りぃ!」

俺はそれだけ言って走った。
アイの視界からいなくなりたかった。




一華いちかは、そんなこと言わない。
一華は、そんな顔しない。
そんなのは、一華らしくない。

俺は、急に実感した。

アイ・ラッセルと城島じょうしま一華がほぼ正反対の性格だということを。
思い返せば、最初から全く違った。
初対面の俺に対して愛想笑いをするアイ。
ノアにもアレクにもニコニコするアイ。





本当にアイと一華は同一人物なのか?
今さらそんな疑問が浮かび上がった。



٭❀*



答えが出ないまま、淡々とテストをこなした。
そして、全て終了した後に聞いた。
夏 紅花シア ホンファが高所テスト中に倒れたのをアイ・ラッセルが助けた」と。
帰りの列車の中で、アレクが教えてくれたのだ。
アイと紅花は勝負中だ。
ライバルなのに、アイは紅花を助けたのか。

「アイって馬鹿だよな」

今も昔も、責任感の強さは変わってない。

「素直に褒めたら良いのに。アイって本当に良い子だよね。アイとノアって平和そのものって感じだし」

アレクは惚けた顔でそんな事を言う。
そうだ。
アイは良い子だ。
いつも笑顔で素直で真っ直ぐ。

「一華とは違うよな」

俺の言葉に、アレクは固まった。
ゆっくりと目を合わせてくる。

「流石にリュカもそう思ってたんだ」

「当たり前だろ、一華と何年過ごしてたと思ってんだ。一華は愛想のあの字も見当たらない女だぞ。アイとは全然違う」

「まあまあ、ノアが調べて来てくれるから、そしたらハッキリするでしょ」

パーティでノアは言っていた。
「アイと一華が同一人物か確かめられる方法」があると。
多分もう、ノアは結果を知っている。
知ってるのに、俺らにまだ何も言わない。

「何かやばい事まで分かっちまって言い出せないとかか?どうしてあいつは何も言わないんだよ、アレク」

「俺に聞かれてもな……。でも、ノアの事だから絶対に言ってくれるよ、信頼はリュカよりある!」

「はぁ!?おま、仮にも俺らガキの頃からの幼馴染だぞ」





丁度その日の夜だ。
『明日アイについて話したいことがある』と、ノアから連絡が来たのは。

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